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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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何ちゃって聖女と泥棒娘.2



 さて、もう中に入っても大丈夫だろ。

 扉を少し開けて中をチラッと──うわぁ、泥棒娘が尻を押さえて悶絶してるぅ。


「入ってええで流にーちゃん、処置終わっとるからな」

「いや、泥棒娘の尻丸出しじゃん。ミルン、ミユン、頼むからその尻を隠してくれ」

「分かったの、汚い尻をコレで隠します」

「……肥料出なかったの、残念です」


 尻刺された挙句にその尻を貶されるって、悶絶してて良かったな泥棒娘。

 良し良し、尻が隠されたから入って大丈夫だろう、セクハラ、駄目、犯罪、だからな。


「ほんま疲れたわ……何でコイツ、あの熱でここまで動けんねんな、普通ちゃうで」


 それはきっと、泥棒娘が悪魔だからだろう。

 人間が三十九度の熱出してたら、我慢しててもふらつくし、態度で分かるからな。


「ミルンはお風邪ひいたことないの!」

「ミユンはお風邪ひかないの! 精霊には無縁のお話です!」


 確かに、ミルンとミユンは全く風邪を引かないと言うか、この都市で獣族が風邪を引いたと言う話を聞いた事がない。ミユンは精霊だからと言われれば、納得しちゃうけど。


「それはそやろ。獣族は元々が山に住んどる者達やし、毒を自然治癒する様な体質やで、風邪なんて逃げてまうわ」

「お風邪さんが逃げる!? ミルンは強い!」

「ミルンお姉ちゃんは何をしてもお風邪引きそうに無いの! ずっと元気なの!」


 獣族って毒の抗体でも持ってるのか、身体丈夫過ぎだろ。


「なあリティナ、何で泥棒娘が熱を出してるって分かったんだ、何かしてたのか?」


 しかも二人共が半裸って、本当に何してたんだろうか。


「……言いた無い」


 何でプィ──って明後日の方に顔を向けるんだ、おかしい事聞いてないだろうに。


「お父さん、お父さん、お洋服いっぱい落ちてる」


 確かに、下着も散乱してるし、フリフリの付いた服や着物みたいな服も置きっぱなしだ。


「パパ、パパ、この下着に何で世界樹の葉が付いてるの? これじゃあ意味無いの」


 なんか凄い下着だ……散乱した下着と服に、リティナと似た顔の泥棒娘か……あぁ、分かっちゃった。


「……リティナ、お前……」

「言わんでええ流にーちゃん! 頼むから言わんといて!」


 顔を真っ赤にして下着や服を片付け始めたぞ、いつもなら出したら出しっぱなしの雑リティナがだ。

 リティナのやつ、自分と顔が似てるからって、面白半分で泥棒娘を着せ替え人形にしてたな。

 着替えをさせている時に泥棒娘の体に触れて、物凄く熱かったから薬をぶち込もうとしてたという事、だろうな。


「お父さん、赤い紐が落ちてるの」

「パパ、このぷにぷにしたスライムなあに?」

「──っあかん! 二人共それ返せや!」

 

 リティナ……仮にも聖女が紐パンに胸パッドって、お前まだ子供だろうに。


「なんや流にーちゃんのその顔……まるで親父が娘の醜態を見た後のよーな悲しい顔しとる! やめぃ!その顔! ウチ泣くでホンマ!!」

「尻…尻痛い……俺生きてる……」


 リティナの大声で泥棒娘が生き返ったぞ。

 まだ尻押さえてぷるぷるしてるけど、後で焼鳥食わせてやるか。


「まぁあれだリティナ、『なんや……』取り敢えず服着なさい」


 下着姿のままだぞお前。


「いつものリティナなの、痴女まっしぐら」

「品性のカケラも無いの、下着も卑猥なの」

「お前らホンマ容赦無いなぁ! ウチは痴女でも無いし下着は流行モンや!」


 良いから早く服を着てくれ、慣れているとは言え悲しくなってくるから。


「ミルンとミユンはリティナを真似しちゃ駄目だぞ、家の中でも服は着ようなー」

「分かってるのお父さん」

「目の前のリティナみたいにはなりません」


 あぁ……リティナが膝から崩れ落ちた。


「ウチは…………痴女じゃ無いわぼけぇええええええええええ────!!」

 

 怒り狂ったリティナが下着を脱ぎ出し、ミルンとミユンがソレを拾って、未だ尻を押さえている泥棒娘に瞬時に履かせ、リティナには泥棒娘の尻に被せていた布を巻かせて──娘達の連携が凄い。


「……この布尻に巻いてたやつやん……ほんま、ウチっ、泣いでぇ、いいんが……ぐずっ」


 不味いっ!? おちょくり過ぎてリティナが泣いてしまいそう『流さぁん、リティナ様に何をしてるんですかぁ』っ猫耳メイドが帰って来てた!?


 開いた扉には、猫耳メイド姿のニアノールさんが、今から戦闘できますよぅと言わんばかりにナイフを手に持ち立っていた……若干目が怖い。


「ニアァアアア──! 流にーちゃんがウチを虐めるねん! 虐めてくるねぇえええん!」

「俺……の尻……何だこの下着……」

「ニアノール! 悪いのはお父さんです!」

「パパが主犯なの! ミユンは悪く無い!」


 あっハイ、娘二人に裏切られました。俺、今回何もしてないよね。


「流さぁん、ニアを泣かせた罪はー大きいですよぉ、ちゃぁんと責任取って貰わないとぉ、領主様ですものねぇ」


 責任とってリティナと結婚でもしろってか、絶対嫌だぞそんな責任。今の俺ならニアノールさんの攻撃ぐらい避けれるし、避けれるよね、避けれないと死ぬよ俺っ。


「お父さんはずっと結婚しないの、永遠に独り身で居て下さい」

「パパは地味に鈍感鈍ちん野郎なので安心なの」


 余裕だよねミルン、ミユン、頼むからニアノールさんを刺激する様な事は言わないでくれ!


「責任のぉ取り方はー細切れですねぇ」


 うん、ニアノールさんならそう言うと思ってたよ……逃げ道無いし避け続けるぞ!! 死にたく無いからね!!



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