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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
258/318

何ちゃって聖女と泥棒娘.1



 さて、目の前のコイツらをどうするか。

 影さんに悪魔とは何ぞやと聞いた後、俺とミルン、ミユンは一度、泥棒娘の様子を見にリテイナの住んでいる治療院まで来たんだけど……目の前の惨状をどうしたものか。


「おどれ尻に腕突っ込んでそのまま中身ぶちまけたるからなぁあああ──!!」

「やってみろよほれほれー遅いんだよ間抜け──っ!? あぶっ、当たらねぇよばーか!」


 キャットファイトと言えば聞こえは良いが、猫耳ニアノールさん居ないし、ただの痴女の殴り合いに見えてしまう。

 リティナが下着のまま手に細長い瓶を持ち、煽っている泥棒娘の尻目掛けて突きを繰り出しているが、泥棒娘はギリギリで避け──更にリティナを挑発している……泥棒娘も下着姿だ。


「醜い争いなの……お父さんには眼の毒です」

「ミルンお姉ちゃん大丈夫なの、リティナと泥棒はぺったん(むすめ)だから、パパには無害です」


 初めてぺったん(むすめ)という言葉を聞いたぞ。

 まな板なら分かるけど、異世界ではぺったん(むすめ)って言うんだな……ぺったん(むすめ)、じわじわ来るモノが有る。


「くそっ、なんやお前っ妙にすばしっこいやっちゃな! ええ加減大人しく尻に刺されろや!」

「誰がそんなモノ刺すか! 俺は別に病気でも何でも無いし! コレが普通なんだよ!」


 おや、喧嘩と思って見てたけど、そんな感じじゃ無さそうだな。


「あ──、お前ら半裸で何やってんの。仲良くするのは良い事だけど、まだ外明るいのに半裸って……だらし無いにも限度があるぞ」

「泥棒のお尻に何か刺そうとしてるの」

「お父さん、リティナが持ってるの、臭いがお薬なの。苦々の不味いやつなの」


 ほぉ……なんで薬を尻に刺そうとしてるんだ、普通は飲ませるだろ。


「──! 流にーちゃん良い所に帰って来たわ! コイツ押さえといてくれへんか! 熱でとるし──尻から薬刺せば早よ治るねん!」


 あぁ! 座薬的なやつか! 俺も一度、熱で救急搬送された時に病院で突っ込まれたな、美人の看護師さんに……嫌な記憶だぞ。

 確かに座薬なら熱の治りも早いけど、熱出してるにしては泥棒娘元気だよね。


「おっさん頼むからコイツをどうにかしてくれ! 俺はコレで平熱なんだ! どこも悪く無いし病気でも無い!」


 そんな事言われても俺熱の測り方しらんし、そういやどうやって熱測ってるんだ。


「おっ、あれか……水銀体温計じゃね? この世界にも有るんだこんなの、実物見たの初めてだわ……三十九度!?」


 泥棒娘、三十九度の熱出てるのにあんなに動き回れるの!? どう見ても高熱じゃねぇか!


「ミルン! ミユン! 泥棒娘を捕まえて押さえ込みなさい!」

「アイアイサ──ボス!」

「ミルンお姉ちゃんが急に敬礼した!?」


 俺が指示するや否やミルンが泥棒娘の背後を取り腕を掴み、ミユンが右脚にしがみつき、リティナが左足首を掴んで……俺は外に出た。


「っしゃあ捕まえたで──! 大人しくしとれば痛くは無いから安心せぇ!!」

「泥棒は逃さないの! お父さんのお財布を盗んだ罰を今受けろなの!」

「土の肥やしを捻り出すの! さあ出すの!」


 外に出ても聞こえる……治療院だし、防音設備でも整えてやろうかな、ミユンだけ違うモノを期待してるし。


「やめろ! 金盗んだの謝るからやめてくれ! 俺は本当に大丈夫なんだぁああああああ! あ────」


 少し時間を置いてから中に入ろう、今入ったら間違い無く泣かれてしまう。


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