表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
251/318

知らない町を駆け回ろう.4



 と言うわけでこの町、ダルバスの粗探しをする為に表通りから逸れて、裏路地の奥に足を踏み入れたんだけど、ミルンとミユンが爆走してます。


「そっちに逃げたのミユン! 捕まえてお尻をペンペンします!」


 四足歩行の速度特化型ミルン(尻尾がふりふりとして可愛らしい)が、敵と言うか俺のダミーの財布を盗んだ泥棒を追いかけて疾走し、ミユンは地面に根を生やし、逃道を塞ぐサポート(背中の羽が意味も無くパタパタして可愛らしい)をしながら追いかけている真最中です。


「ミルンお姉ちゃんとミユンから逃げられると思わないの! 捕まえて糞尿抜き取る!」


 糞尿抜き取るって殺る気じゃないよね。

 まさか裏路地入って直ぐスリに合うとは思わないし、しかもさっきの子、チラッと見ただけだけど……褐色の肌に白銀の髪か。


「どっかで見た事ある様な姿してたな……」

「お父さんも捕まえるのー!」


 ミルンが少し怒っちゃってるよ、別に銅貨数枚しか入ってないから良いんだけど。


「……それじゃぁ……魔神の力を見せてやるぜっ!」


 頭の中に徒競走の曲が流れていく。


 第一コース! ケモ耳ケモ尻尾がトレードマークのお肉大好き娘、ミルン選手──!


「お肉の事ならミルンにお任せ!」


 第二コース! 背中の羽根で飛ぶ事が出来ない畑大好き娘、ミユン選手──!


「畑に肥料(ヒト由来の成分)を撒きましょう!」


 第三コース! 青の瞳に銀髪褐色肌他人の空似性別不明、泥棒選手──!


「コレだけしか入ってないのかよ!?」


 第四コース! 魔王に成っても魔神に成っても腕力が上がらない男、流選手──!


「彼女は欲しいが結婚はしたく無い!」


 各選手出揃いました。腕、脚を曲げ、準備に余念が有りません。

 さあさあ各選手、スタート位置に向かい、準備が完了した様です。


 オン・ユア・マークス────パンッ!


 各選手一斉にスタート!

 先ず前に出たのは──泥棒選手だぁあああ!

 必死に腕を振り障害物を避け! まるで猫の様な動きで後続を引き離すぅううう!

 おっとぉおおお! そこへミルン選手が凄い形相で迫っているぅううう! 何と四足走法で速い速い! まるで獲物を狙う狼の様な速さで──泥棒選手の背後に迫るぅううう!


 ミユン選手の、次々に泥棒選手の前方に根を出す妨害が効いていますね、素晴らしいコンビネーションです。


 おぉっとぉ──泥棒選手が転倒だぁあああ!

 しかしミルン選手の勢い止まらず! 追い越してしまったぁあああ! 


 泥棒選手は運が良いですね、ですがまだ、ミユン選手が迫ってますよ。


 泥棒選手素早く立ち上がり──コースを変更だぁあああ! ミユン選手が涎を垂らしながら迫りますが! 若干泥棒選手の方が速いかぁあああ! ミルン選手追いつけないぃいいい!

 あぁ──っとぉおおお! ミルン選手が目の色を変えて走って来たぁあああ! 金色の眼が血走っているぅううう!


 相当苛々している様ですね、地理は泥棒選手の方が有利ですので、コレは──どうなるか分かりませんよ。


 ミルン選手が刻々と泥棒選手に迫っているぅううう! そしてキタ──! 泥棒選手の目の前に! 突如として流選手が現れたぁあああ!

 泥棒選手! 前後に挟まれ逃げ場が無い! とうとう捕まるのかぁあああ! 

 あっ──ミルン選手が泥棒選手を捕まえようと飛び出した瞬間! 泥棒選手がしゃがみ込み! ミルン選手が泥棒選手を飛び越えてしまったぁあああ! 

 流選手の顔面に直撃だぁあああ!!


 コレは痛いですね、ミルン選手の勢いそのままに良い感じでぶつかりましたよ。

 

 泥棒選手! これ幸いと再度走り出したが! あ──とっ! 走れ無い! 泥棒選手の足首に根っこが絡み付き! 逃すまいと食い込んでいくぅううう!


 ミユン選手がもちゅもちゅ言いながらゆっくり歩いて来ましたね、溶かす気満々でしょう。


 そして──泥棒選手捕まってしまったぁあああ──! ゲームセット! ウィナーミユン選手だぁあああ!!


「今回の勝利お見事です、今の御気持ちをどうぞ」

「パパがまた壊れてる……」

「いつもの事なの、諦めてます……」

「何だよお前らっ、離せ! 離せよ!」


 別に俺、壊れてないからね。

 ちょっと顔面痛かったけど、防御ステが高くてよかったぞマジで……前の俺なら顔面陥没レベルです。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ