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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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領地運営は先ず破壊から.4



 ミユンにお願いして布に包まれた子を埋葬し、影さんに料理を作って貰っている内に村を一回りしている。


「お父さん落ち着いた?」

「あぁ、大丈夫だミルン、心配かけたな」

「パパは気にしなくて良いの、あの子の最後の願いを守れば報われます!」


 ミユンは見えていた様だな、精霊だからか?

 

「取り敢えず、この残党供を向こうに贈らないとご飯の邪魔だな」


 村を一回りしている理由がコレ。

 小さい村だがあちこちに隠れる場所が有り、俺の知覚に反応があった場所を回って、『助けてく──』根刮ぎ悪意を持つ奴を『嫌だ──』セーフアース贈りにしていると言う訳だ。

 村から出て逃げようとしている奴もいたけど、半径十キロまで知覚内だから絶対に逃しはしない。


「お父さんが強くなってるの……腕相撲する!」

「ミルンお姉ちゃん、パパの腕がもげます」


 そうだぞミルン、何故か力のステータスだけは未だに低いんだ。今のミルンと腕相撲したら間違い無く、俺の腕が明後日の方向に飛んで行くからね。


「これで片付いたかな、戻ってご飯にしよう」

「お肉多めでお願いします」

「お野菜多めでお願いします」


 ミルンはいつも通り、ミユンもお肉は食べるけど、どっちかと言うとお野菜派だな。どちらにしても食べる量は桁違いだけど……。


「お帰りなさいませ流様、御食事の準備が整っております」

「影が下手にでてるの、いつもと違う!」

「さっきのパパが怖かったからなの、院長影ならきっと普通なの」


 確かに、院長影さんなら絶対に普通だろうな。だってあの影さん、魔眼持ちでステータス見れて力隠してる系だもん。


「おーいお嬢さん方、ご飯食べるからこっち来なさいな」

「……ゔぁい」

「……」

「い……」


 うぬぅ、何か俺したかな……あの子を埋葬してからというもの、助けた女性達がまるで、神を見るかの如く眼差しで平伏してくる。


「俺は神様じゃないですよーい」

「お父さんムゴムゴッ、魔神だからムゴムゴ、神様で間違い無いのっ」


 ミルンさんや、お口に食べ物を入れた状態でお喋りは駄目ですよ。そんなミルンには、リティナ二号の称号を心の中であげよう。


「ムゴムゴ……お父さんが何か失礼な事を考えてる……気がするの」

「間違い無くもちゅもちゅ、失礼な事なのもちゅもちゅ」


 ミユンにはリティナ三号だな。

 まだ食べこぼしていないだけマシだけど、そろそろ御食事のマナーを覚えさせた方が良いかも知れない。

 

「帰ったら、ミルンとミユンには御作法のお勉強だな」

「お父さん! 御作法は完璧ですのわ!」

「シャルネ怖いシャルネ怖いシャルネ怖いですわ!」


 あれ? 勉強教えてるのってドゥシャさんや院長影さんじゃ無いのか? シャルネが礼儀作法教えてるって……うん怖いな。


「ふふっ…」


 ようやく一人笑ったな……他の女性達も少し口元がニヤついてるし、これならなんとかなりそうだ。


「流様、出来ましたら、お持ちの簡易小屋を出して頂けますと有り難いのですが……リティナ様が来られるとしても数日有りますし、あの娘達を寝かせるにしても……」

「確かに、嫌な思い出しかない家で寝るのは、精神的に宜しく無いからな。簡易小屋セットなら山程有るし、十一人も居るから五つ建てようか」


 二人一部屋、一つだけ三人になるけど、それでも寝るには十分な広さだぞ。


「いつ見てもお父さんのスキルは便利なの」

「パパのスキルは非戦闘系メインなの」

「それじゃあミルン、ミユン、簡易小屋セットを建てるの手伝ってくれ」


 ミルンなら組み方知ってるし、ミユンがサポートにつけば楽だ『無料では働きません』、『御作法無しなら良いの』と思ったけど、交換条件とは末恐ろしいなぁ、誰の影響だよマジで。

 

            ◇ ◇ ◇


 女性達に食事を振る舞いながら無人の家々を漁り、ボロ屋を壊しながら五日が過ぎた頃にようやくリティナが来た。


「ごるぁ! 流にーちゃんはここかぁあ!!」

「リティナ様、怪我人も居ますのでぇ、ここは穏便にいきましょぅ」

 

 何かリティナが激怒になってるじゃん。


「よっ、待ってたぜリティナ、ニアノールさん」

「よっ、まってたぜやあるかいな!? ウチら寝とるとこに影はん寄越しおってからに! ホンマあんた大概にせーよ!」


 影さんリティナに夜襲したのかよ、急いでいたから仕方無いけどさ。


「私もぉ、まさかお花摘み真最中に連れられるとは思いませんでしたけどねぇ」

「……マジか、何かスマン、緊急だったから許してくれ。取り敢えず簡易小屋の中でゆっくりして貰ってるから、来て早々で悪いが治療よろ」


 何か急がないと胸騒ぎと言うか悪い予感がするからな、さっさと次の村へ行きたいんだ。


「はぁ……幾ら出すねん流にーちゃん」

「1人あたり金貨五枚、十一人居るから五十五枚だけど、キリ良く六十枚出す。喉切られて喋れないんだ、治してやってくれ」


 一人五十万ストールも出してその価値が有るのかと問われれば、今後の領地運営を考えれば有ると答えるだろうな。糞供は害にしかならないから贈るけど。


「偉い出しよるな……まぁ、流にーちゃんの悪いとこでも有るし、良いところでもあるな」

「見捨てられないのでしょうねぇ、良い領主様じゃないですかぁ」

 

 褒めても何も出ないんだけどなぁ。

 

「影は褒めて欲しいところです、戻りました流様」

「……急に現れても驚かなくなったわ!?」


 それじゃあここは任せて、次の村へ急ぐか。


 

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