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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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プロローグ⑤ セーフアース報告.2



 左には大海原、右には花畑が続く海岸沿いをひたすら歩いてもう一ヶ月と少し経つ。

 ジャンケンの二番目に負けた影としては、最初に負けた影よりもマシだと思いたい気持ちでいっぱいだけども、やはりというか戦闘何も無いと流石に暇過ぎる。

 なので、時折り暇潰しに釣りをしながら進んでいるが、他の影にバレたら怒られるだろう。


「諜報や暗殺の方が得意なのに、陛下の命令とは言えこれは……疲れる」


 単純作業程苦になるモノは無い。

 少し前までミルン御嬢様親衛隊だったのに、ドゥシャ様への報告をしくじってこんな事になるとは……ミルン御嬢様の尻尾を愛でたい。


「ファンガーデンに帰ったら、ミルン御嬢様にお願いして尻尾を触らせて貰おう」


 そう思っていないと、この苦行に堪えられそうに無い程辛い。


「海岸が右に、緩やかに曲がっているから孤島だと思うのだけど、中々終わりが見えないですね」


 人魚達に聞いても『ここが孤島かどうかなんて知りませんわ、先に行けませんもの』と要領を得ず、結局見に行くしか無かった。

 

「変わった事が有れば良いのですけど……、何も無いですからね」


 そう思いながら歩いていたら、海岸が緩やかな坂道となり、とうとう砂浜の終着点へと来てしまった。


「若干海面が渦を巻いていますね……それ以外目立ったモノも無いので、戻りましょうか」


 この渦の中だと、海の魔物でも泳ぐ事は出来ないでしょうね。


            ◇ ◇ ◇


「お帰りなさい影、海岸沿いはどうでしたか」


 人魚達と優雅に長椅子に寝そべり、冷えているであろう飲み物を片手に留守番係の影が聞いて来た。


「一月と少し歩いた所で海岸は途切れていましたね。それと、その先の海面が渦を巻いていました……」

「そうですか。後は、反対側の影が戻って来たら世界樹へ行って、陸地横断をしている影の帰りを待つとしましょう」


 この影は何でこんなにも寛いでいるのか……帰ったらドゥシャ様に報告して、この影に一日中再教育をして貰おう。


「影、こちらは何も異常は無かったですか」

「この場所に異常は無いですね、ングッ──ぷはっ、しいて言うなら陽の光が強すぎて、肌が焼けてしまいそうです」


 飲みながら話をする暗部の影……この影はこんなんだったか? 見ているとなぜか、ファンガーデンに居る女神アルテラを思い出すのですが……殴りたいっ。


「影……食っちゃ寝しながら過ごしていましたね、お腹が少しぷにってますよ」

「大丈夫です影、ここに怖いドゥシャ様は居ませんので、ゆっくり自堕落に過ごせます」


 駄目な影に成っている……どうしましょう。


「只今戻りました影……この影は何をしているのですか」

「私も今し方戻って来たのですが、この影はどうやら怠け癖が付いてしまった様です」

「失礼ですよ影、こうして椅子に寝そべりながら、この場所に異常が無いかどうか見ているのです」


 この影、帰ったら暗部を解雇されるのでは無いでしょうか……そうなったら間違い無く、外出禁止の飼い殺し事務作業係に任命させられるのに、馬鹿な影ですね。


「影、さっさと起きなさい。一度世界樹へ戻って、陸地横断中の影の帰りを待ちますよ」

「はぁ……影……働きたく無い。流様のお気持ちが良く分かります……」


 そこを真似されたら暗部を解雇どころか事務作業すら怪しい……死体処理係にされてしまうやも知れませんね。

 暑い日の処理等……やりたく無いです。


「さっさと準備なさい影!」

「影! 帰ったらドゥシャ様に報告です!」

「影、それはやめて欲しい……」


 環境がこうも暗部を変えてしまうとは、ドゥシャ様に報告して、来れる人員を厳選して貰いましょう。


「誰が何を言ってるのか、外套被ってるので分かり辛いですわね……」


 人魚がこちらを見てそう言ったが、そこは我等ならではの術の一つですね。

 この場所では意味を為しませんが……。



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