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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
四章 異世界とは悪魔っ娘が居る世界
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プロローグ④ セーフアース報告.1



 何処までも続く花畑。

 世界樹から歩き続けて、もう二ヶ月が経とうとしている。

 ドゥシャ様からの呼び出しも無く、ただひたすら前へ前へと歩き続けるが、もういい加減花畑は見飽きてきた。

 四人の影がこのセーフアースに残り、流様から教えて頂いた異世界のジャンケンなる遊びで負けてしまい、一番の貧乏籤を引かされて、こうしてただひたすらに歩いている。

 一番に勝った影が海岸に残り、二人は海沿いに別れて進んでいるが、何か見つける事は出来たのであろうか。

 

「流石にもう、水も食料も心許無いですね」


 暗部に所属し、一定の期間従事する事で陛下より下賜されるこの袋。見た目よりも多く物を収納出来る為重宝しているが、流石に流様の様な規格外の容量は持っておらず、帰りも考えたら、もって後三日と言うところでしょう。

 

「収穫無しだと、他の影にぐちぐちネチネチ言われてしまいますね」


 地形的にセーフアースは孤島だと思うのですが、どうでしょうかね。『遠見』で先を見ても、いつも通りの────陸地が途切れている?


「ようやく端まで辿り着いたのでしょうか」


 少しだけ嬉しい気持ちになれましたね。

 花畑は綺麗なのですが、ずっとその中を歩いていると、生きているのか死んでいるのかが不安になるので安心しました。

 少しずつ花畑が途切れている所に近付くにつれて、その先が見えて来ましたが、これをどう陛下やドゥシャに説明すればいいのでしょう。

 私の目の前の海には巨大な渦が巻いており、まるで、此処より先に行かせまいとしている様ではありませんか。


「渦の先にセーフアースより広大な大地ですか、黒姫様ならば何か御存じかも知れませんね……」


 黒姫様はこちらから聞かないと何も応えてくれない。我々を試すかの様に振る舞うその姿に多少不満があったりするので、時折りモチモチぷにぷにと弄ってしまいますが、やはり流様のように心を開いて下さる事は無い。


「嫌われてるのでしょうか……」


 ミルン御嬢様派か黒姫様派かと問われれば、私は断然黒姫様派です。特にあの幼女姿の黒姫様のポヨっとしたお腹と、ぷにっとした頬は、至高の一品を触るよりも良い触り心地であり、確かにミルン御嬢様の尻尾のもふもふも素晴らしいですが、やはり私はぷにポヨ派です。


「着きましたか……どうやってあそこまで行きましょう……」


 船を造ろうにも此処は花畑しか有りませんし、造れたとしてもあの渦に呑まれて終わりますね。


「やはり空しかありませんか」


 黒姫様ならば簡単にあの地へ行けるのですが、あそこまでの距離だと、流石に羽人達でも体力が持ちませんからね。

 羽根を持つ魔物ならば、体力が有るので行けそうなのですけどね。


「魔物が言う事を聞けばの話ですが……無理でしょうね」


 一度世界樹に戻るとしましょう。他の影とも情報交換しつつ、対策を練らないといけませんね。

 はぁ……、またこの花畑を歩くのですか。

 この任務が終わったらドゥシャ様に相談して、少し休暇を貰うとしましょう。


「訓練された影と言えど、これは流石に心が殺られてしまいます」


 それから二ヶ月かけて花畑を歩き世界樹まで戻ってみると……『ピピピィッピュアッ』何故か魔物達が世界樹を中心にのんびりと集落を作っていた。


「オカエリナサイマセカゲサマ、マノカミナガレサマヨリ、コノチニスマウコトヲユルサレマシタ、ウッドドールノ『モクメ』トモウシマス。コンゴトモヨロシクオネガイイタシマス」

「えっ、ええ宜しくモクメさん……」

 

 ウッドドールがまだ存在していたとは、絶滅したとばかり思っていました。しかもこの様な温厚な存在だとは……流様は本当に不思議なお方ですね。

 それに『ピピピュッ』、『ピュアッ』空を自由に飛んでいるのは、あの男の天敵であるハーピィではありませんか。ハーピィならば体力も有りますし、あの地へ行けるかも知れません。


「流様……流石に御座います」

「カゲサマハ、ミナサマスコシカワッテマスネ」


 喋る魔物に言われたく有りませんよ。



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