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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
三章 異世界とは妖精さんが居る世界
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間話 対外的な準備物.2



 顎下まで有る襟や肩にも装飾が施され、胸元にはジアストールの象徴の様なモノが彫られたブローチを付けて、全身を鏡でチェックする。

 黒を基調とした正装となっており、パッと見で言うと……ただの裏組織の幹部服だ。


「やっぱりお父さんはムグムグ、黒が似合うの」

「立派な魔神なの! もちゅもちゅ」

「見てくれが裏組『大変お似合いで御座います小々波様』被せるで無いのぢゃ!」


 また黒姫だけ……。


「もうコレで良いや、同じヤツをあと二着用意してくれ。あと、ミルンやミユン、黒姫の正装も頼む」

「御安心下さいませ、ドゥシャ様より承っておりますので、御用意させて頂きました」


 流石ドゥシャさん分かってる。

 ミルンも成長期だし、正装はいくらあっても困らん。ミユンにも買わないとだし、黒姫も買ってやらないと拗ねるからなぁ。


「ミユンにはやっぱり緑のドレスなの!」

「ミルンお姉ちゃんはピンクなの!」


 和むなぁ……二人で見せ合いながら選んでるし、久々にミルンの尻尾をまじまじ見て居られる至福のお時間ですね。


「……我だけなぜメイド服なのぢゃ」

「使用人にはドレスを売るなとドゥシャ様からの指示で御座います」


 ドゥシャさんが黒姫を使用人として伝えた? そんな事有り得るか……? ドゥシャさんは黒姫を良く弄るけど、使用人と言うより俺の身内として接して居た筈……。


「なぁパゥンさん、ドゥシャさんが黒姫の事を使用人と言ってたのは本当か? 黒姫はこれでも魔龍と呼ばれた存在だし、使用人では無いのだが」

「いやいや小々波様もお人が悪い、魔龍なぞ伝説の御伽話では無いですか。その使用人はただの角族で御座いましょうて」


 おぉ……なんか凄い久々に見たぞあからさまな種族差別。しかもコイツ、黒姫の事を知らないって事は、最近ここに来たヤツじゃん。

 ミルンの方をチラッと見るとパゥンに向かって目を鋭くさせてるし、ミユンはこっそりと装飾されてる石をもちゅもちゅしてる。黒姫に至っては、ちょっとだけ項垂れて、いつもののぢゃのぢゃとした元気が無い。


「よし! ミルン、ミユン、黒姫、帰るぞー」

「分かったのお父さん!」

「もちゅもちゅ、了解したの!」

「帰ってドゥシャに文句を言うのぢゃ!」


 俺の行動にパゥンは固まったかと思いきや、直ぐに復活して来やがった。


「お待ち下さい小々波様! 私共はドゥシャ様より指示を受けているのです! この品々をお買い上げ頂けねば困ります!」

「知らんがなそんな事、別に俺が指示した訳でも無し。あとパゥン、お前今日中にこのファンガーデンから出ていかないと、俺の家族に対しての侮辱罪で厳罰に処すからな」


 ドゥシャさんの手前即刻取り押さえるのは止めるけど、明日来てまだ居たら店ごと潰す。


「我、家族って言われたのぢゃぁ」

「黒姫が嬉しそうなの!」

「黒姫お姉ちゃんは家族なの!」

「おっお待ち下さい! いくら御領主様とてそれは横暴ですぞ! 私は正式な手続きを経てこの場所で商いをしているのですから!」


 俺が決めた許認可制ね、はいはい理解してますよっと。


「お前、ちゃんと許認可受ける際に同意してるだろ、獣族に対して不当な差別は行いませんって書かれた書類にな」


 それを破れば即刻許認可は取り消しされ、今日みたいな事ならば、領主の家族を侮辱したのだから……まぁ終わりだな。

 ファンガーデンだから死罪にならないだけで、他領なら首が飛んでたぞマジで。


「そんなっ!? そこの角族一匹の為に何故私の商いが邪魔されなければならないのですか!」


 だから黒姫は角族じゃ無いし、角族であってもこの都市でそれはあかんやろ……。


「なあなあ黒姫さんや、ちょっくらお外で姿を見せたらどうだろうか」

「気分転換でお空を飛ぶの! ミルンも乗る!」

「ミユンも乗るの!」


 ついでに王都に行って、洋服店のおばちゃんの店で買おうかね。こいつからは絶対買わん。

 と言う事で、店の外に出て直ぐ黒姫が龍の姿に成ると、『いやぁあああ!? 化物ぉおおおおおおおおお!!』とパゥンは直ぐに店に戻り扉の鍵を閉めた。


「んじゃ黒姫、このまま王都に行って皆んなで服買おう」

「流……有難うなのじゃ」

「黒姫が御礼言った!? 墜落するの!」

「しっかり掴まってます!」


 ミルンとミユンの反応が面白いな。

 それじゃあ久しぶりに、洋服店のおばあちゃんに会いに行こうかね。



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