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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
三章 異世界とは妖精さんが居る世界
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馬鹿が魔神と成ったなら.3


「それでは裁判を始めたいと思います」


 役場の一室にて、魔神状態を継続したままの俺の前には、五人の御使達が正座させられており、こっちを睨んできてます。

 副裁判官にミルンとミユン、黒姫と桃色お化けを任命して、いつでもタコ殴り出来る状態で相対中。

 簡易の傍聴席には村長とリティナ、ニアノールさんと影さんが居るし、何か混沌とした部屋になってるから早く終わらせようかな。


「裁判長! 罪人が睨んで生意気なので、黒姫の角で尻をぶっ刺すの!」

「ミルン副裁判官! それは罪状が確定してから執行する刑だから却下だ!」


 ミルンは何故かいつも、敵対する奴に黒姫の角を刺そうとするよな。


「裁判長! ちゃんと角を磨いておくのぢゃ!」

「黒姫副裁判官! それは今する事じゃ無いから却下だ!」


 黒姫ものりのりで角を綺麗な布で磨いているけど、尻に刺したら汚れになるからね。


「裁判長! 御使は中々死なないので四肢を捥いでおくの! 捥ぎ捥ぎするの!」

「ミユン副裁判官! なんか種族変えてから交戦的になってるけどグロは却下だ!」


 一瞬御使達の顔色が変わったけど、流石の俺でもグロはダメです。あとミユンが何気に涎垂らしてるから……御使喰う気なのかね。


「裁判長? 貴方魔王から神になったのね、しかも魔の神というふざけた神に」

「あぁ、世界樹の奴が俺を精霊神にしたかったみたいだけど、何か知らんが魔神に成った。しかもデバフ付き遠距離移動砲撃特化型と言う、尖ったステータスになってるぞ」


 あのオリジナル神殺しが有るから、ちょっとした戦闘も楽に使えて馬鹿みたいな威力も出るからな。


「それで結局ミユンはどうなったのかしら、語りべの精霊から何に成ったの?」


 何で桃色お化けがそこを気にするんだ? まぁ別に黙っておくことじゃ無いが。

 俺は好きに下位精霊の種族を変更できるからな、世界樹と親和性の高い精霊にしてみました。


「ミユンは大地の精霊なの! 畑を耕します!」

「ミルンと一緒にお土を掘るの!」

「へぇー貴方にしては考えたわね。土の精霊が居る場所なら作物の実りも良いし、虫害などもその力で防げるでしょう」


 そうなのか? そんなん考えずにやったけど結果オーライだな。


『我々をどうするつもりだ……』


 そうだ忘れてた……コイツ等どうしようか。

 御使と言えども俺達からしたらただの侵略者だし、殺人未遂、誘拐未遂、暴行といった罪状だから──「身ぐるみ剥いで炭鉱行きかなぁ」


『貴様、御使で在る我等の物を奪うつもりか! 今なら許してやる、大人しくリシュエルの居場所を吐け!』

『悪しき神が我等に命令するか!』

『必ず報いを受けさせるぞ!』

『我等が身に付けている物をそう容易く奪えると思うな!』

『主の御意向に逆らう気か!』


 キャンキャンと煩い奴等だなぁ。


「なぁ桃色お化け、コイツ等の身に付けている物を剥いだら、力を失ったりするのか?」

「そうね、大体七割ぐらいは力を失うわ」


 残り三割ねぇ……それなら脅威にならないかな、コイツ等そこまで強く無いし。


「取り敢えず『空間収納』で身ぐるみ剥いで、あとは判決だけど──お前等リーダー格は炭鉱で無償労働五十年、残りの奴等は、そこまで強く無いから農地で無償労働五年だな」


 御使は食事要らずで中々死なないし、炭鉱の犯罪者共の良い相手になるだろう。


「と言うか何で装備剥いだら全裸なのお前等……下着とか履かないのかよ」

「公衆の面前で……痴女なの」

「あんなの恥ずかしくてお出かけ出来ないの」

「恥晒しなのぢゃ」


 ミルンとミユンの教育に悪い奴等だな、やっぱり刑罰を重くするか?


『貴様がやった事だろう! 何故我等が貶されるのだ!』

『我等の衣服を返せ!』

『主が知ればお前は終わるのだぞ!』

『嫁入り前の肌を見たな魔神!?』

『絶対貴様を殺してやる!』


 うわぁ、恥じらいも無く隠さずに居るよ。

 御使って変わった奴多いよなぁ、一人だけヤンでる系の御使が居るし。


「んじゃ院長影さん、悪いけどコイツ等を例の炭鉱へ連れて行ってくれ」

「分かりました流さん。ヘラクレス様、続きはまた後日致しましょう」

「むぅ……勝ち逃げされてしまったな!」


 傍聴席で何故か村長とマスゲームをしている影さんにお願いして、衣服や武器を剥いだ御使達をそのまま直で炭鉱へ送りました。

 大丈夫だ御使達、お前等の様な美貌の持主なら優しくしてくれる筈だから。


「我思うに、ミルンの事となると何よりも悪辣非道になる流なのぢゃ」


 おっ、初めて黒姫が俺の事を名前で呼んだ! ちょっと嬉しいんですけど。


「そうだ、黒姫が以前同行してた魔王な、俺の父さんで生きてるらしいぞ」

「のぢゃ!? 何故今しれっと言うのぢゃ!? 彼奴生きとるのかや! どこぢゃ! どこに居るのぢゃ! と言うか彼奴の息子!?」


 何だよそんなに会いたいのか? まぁ記憶の中の父さんと黒姫、仲良く酒呑んでるもんな。


「彼奴の息子だったとは……似とらぬのぢゃ!」

「そりゃあ父さん若返ってるし、見た目だけなら俺の方がおっさんだからな。それにこの世界の何処かには居るらしいんだけど、場所は知らんぞ」


 父を訪ねて何千里とかは嫌だなぁ。

 俺からしたらもう鬼籍に入った人だし、葬式もちゃんとしたから別に会う必要が無い。

 のんびり人生を謳歌しながら会えれば良いと思います。


「そうなのかや、まぁ彼奴の事ぢゃから何処ぞで女子に追われとるぢゃろうて」


 だろうな……俺より冒険しててハーレムチートって何だよ!? 俺なんかハーレムどころか娘しか居ないぞ! それで良いけどさ!!


「お父さんにはミルンが居ます!」

「パパにはミユンが居ます!」

「我は娘では無いのぢゃ!」

「俺……嬉し涙が出てくるよ……」


 ミユンにパパって言われたし……もう良いけどさ、取り敢えずは一件落着かなぁ。

 夜も遅いし、もう俺は寝たいんです。


「魔神、私に言うことは無いのかしら」


 もう俺は寝たいんですけど、そうだな。


「前もそうだけど助かった、アンタが居なけりゃミルン達が危なかっただろうし……有難う御座います女神アルテラ」

「──っ、気持ち悪いわ!? 貴方に礼を言われると気持ちわるいから止めて! いつも通りで良いわよ! 下位とは言え貴方も神の力を得たのだし、普通になさい!」


 なんだろう、ちゃんとお礼言ったのに気持ち悪いって酷くないか……。


            ◇ ◇ ◇


「みたいなことがあったんだよドゥシャさん」

「左様で御座いますか。もうこれは驚きを通り越して、諦めるしか無いでしょうか」


 夜のうちに御使達を炭鉱へと送り出し、家に帰ってぐっすり寝て、起きたら普通にドゥシャさんが朝食を作っていた。

 いつの間に帰ってきたのやら……なので俺が知る限りの出来事を伝えたんだけど、呆れられましたね。


「魔王様は魔神様に成られたのですね、とても喜ばしい事ですわ」


 シャルネはシャルネで何か喜んでるし、当たり前の様に朝御飯を食べてるな……いつまで居るんだろうか。

 そう言えばミルンとミユン、黒姫の姿が見えないけど、いつもなら朝御飯をもりもり食べる時間の筈なんだが。


「ミルン達こんな早くに何処行ったんだ?」

「ミルン御嬢様はミユン様や黒姫様と畑を耕すとかで、居住区の方へ向かわれました」


 あぁミユンの力の確認か……。

 俺も一度何処かでスキルの確認をしとかないとな、特に緑化魔法。セーフアースでミユンが砂漠を緑に変えてたけど、同じスキルの様な気がする。


「使えれば、一方通行の転移装置になるからな」

「なにがでしょうか?」

「転移装置……?」


 ヤベ……口に出しちゃった、ドゥシャさんとシャルネがめっちゃ見てくるっ。


「いや、何かそんな物が有ったら便利だよなーって話だよ! 二人共何か知ってるか?」

「申し訳御座いません旦那様、転移装置なる物には心当たりは御座いません」

「私もしりませんわ」


 良し! 誤魔化し成功……まだ見てくる。


「ゴホンッ、俺もちょっと用事有るから、少し出かけてきます……」

「左様で御座いますか、行ってらっしゃいませ」

「怪しいですわ……」


 そそくさと準備して、逃げる様に外へと出ますよ、用事有るのは間違い無いからな。



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