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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
三章 異世界とは妖精さんが居る世界
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馬鹿が魔神と成ったなら.2



 何か知らない間にまたズボンがズレていた様で、艶のある俺のお尻が出てしまっていたようだな。


「と言うか、今アイツミルンの可愛い手足をチョンパするって言ったよな……」

「お父さん大丈夫?」

「魔……魔王じゃ無くなってる?」


 空の奴は、パタパタと空飛んで見た目はリシュエルに若干似てやがるけど、何か違う。


『貴様は何だ……何故神の気を宿している!』


 煩いコカトリスだな。

 まぁ、先ずは手っ取り早くミユンの件を片付けるか。


「ミユン、こっちゃー来い来い」

「なあに魔……魔王?」


 今まで魔王魔王ばっかり言ってたから、何て呼べば良いのか分からん様だな。ちょっと面白いぞ。

 それじゃあ『精霊神からの贈り物』を発動させて、ミユンの頭をポンポン撫でたら──ほい完了しました種族変更っと。


「──っ!? 何したの魔王? 何でミユンの記憶が戻って……お姉……ちゃん?」

「ミユンどうしたの、何処か痛いの? お父さんミユンに何したの!」


 あ──何て言おうか、語りべの精霊から種族変更する時に、ミユンの実姉の記憶も一緒に流したから泣いちゃったんだってミルンに伝えても、どこまで分かってくれるかなぁ。


「良いのミルンお姉ちゃん! 魔王がね、ミユンの種族を変えてくれたから、嬉しいだけなの」

「──ミユン消えない?」

「消えないの、ずっとミルンお姉ちゃんと一緒に居れるの!」


 ミルンの顔が──嬉しい顔と泣顔が合体したくしゃくしゃの顔になっていくんだけど、流石にジロジロは見ちゃいかんな。


『……終わったのか』

「なんだよ、待っていてくれたのか御使さんよ」


 流石魔神のスキル、知覚できる範囲内に御使が五人居て、三人は桃色お化け、一人は黒姫が対応してるな。


『リシュエルの気配を出す者よ、何故貴様から神の気を感じるのだ……。まぁ良い、我が主の元へ一緒に来てもらうぞ』


 コイツは何を言ってるんだろうか。

 今現在コイツ等は俺の領地に無断で攻め込み、俺の娘達に刃を向けて、俺の領民達に危害を加えている真っ最中の犯罪者集団であり、しかも目の前のコイツは、さっきミルンの可愛い手足をチョンパすると宣っていた。

 と言う事はだ、神様だか何だかが俺に向かって戦争吹っかけて来たと言う事に他ならない。


『──聞いて居るのか貴様!』


 そう言えば、大量の魔石を消費して放つ神殺しだけど、俺のスキルを活用すれば撃てるのかな。


『チッ、返答無しか。ならば覚悟しろ!』


 おっ、向かって来るなぁ……遅!?

 黒姫とリシュエルが戦っていた時はこんなに遅く無かったのに、もしかしてコイツ等、リシュエルより遥かに弱い?

 まぁ良いや──「──威圧全開ですよっと」


『なっ、何だその姿は……あっ……』

       ────ポチャッ────

 えっ、白目剥いて湖に落ちたんだけどあの御使……飛ぶ鳥落とす勢いですか……蚊だな。


 あれか、精神汚染の効果なのかコレ? 御使にも効くってめっちゃ怖いんですけど……しかも落ち方が蚊取り線香のCMみたいだったし。


「お父さん姿変わったの! 格好良い!」

「魔王が精霊神と混じってるの……なんで?」


 何々、俺の姿が変わったって何がだよと湖を見て姿を確認────黒い角はそのままで、両目が虹色に輝いて、服が甲冑で肩から雲の様な羽衣を纏っており、何コレ和洋折衷ですか?

 魔神って……服も勝手に変わるのかよ。

 変身ヒーローでは無いよな。だって俺の姿、側から見ても角生やしたラスボスですから! しかも魔王より上の魔神ですからね!


「お父さん……何かお空光ってるの」

「アレは不味いの! 魔法撃ってくるの!」


 上空にもアイツ等の仲間居たのかよ。

 どうやら俺の知覚に入っていた御使は蚊取り線香宜しく、全員気絶して湖に落ちたみたいだけど、流石に雲の上は知覚出来ないからなぁ。

 そういや自然過ぎて気が付かなかったんだけど、俺今湖の上に浮いてるんだよ。

 流石神様の力だ、このまま上空まで行けないものか……無理そうだな。楽しい水上スキーが出来るだけだ。


「黒姫に乗っても魔法発動まで間に合わないだろうし、ここは試し撃ちでもしておくか」

「何撃つの? 魔法?」

「さっき湖の下に有った物なの!」


 ミユン大正解です。

 より正確には、世界樹の下に有った物。

 恐らくは古き時代の人が、これを増産したが為に神達が怒り地上へと侵攻したのであろう。んで、それを精霊神が解析して魔法としたのが、あの神殺しと言う訳だな。


「ほいオリジナルの神殺し」


 よく分からない空間から浮いて来る前に、空間収納で回収できて良かったぞ。

 因みにオリジナルの神殺しは、俺がセーフアースで放った様な大きな大砲などでは無く、地球で言う所のロケットランチャーサイズです。

 精霊神にも完璧に模倣出来ない技術って、古き時代の人等ってある意味天才だよな。武器作って結局滅んだ馬鹿でもあるけどさ。

 空の光が強くなってきた、あの感じは、『ファイヤオブジャッジメント』っぽい光だよな。


「それじゃあ神殺しを肩に担いで、光ってる空に狙いを定めてから……どう撃つんだ?」

「お父さん知らないの!?」

「神殺しの説明書読むの!」


 え──っと、俺の魔力を込めて魔法をイメージしたら、魔法を撃つ時の感覚でここのボタンを押せば良いと……魔力?


「魔力って……なあに?」

「お父さん!?」

「ヤバいの撃ってくるの!?」


 あっ、ボタン押しちゃった……。

 ミルンとミユンに急かされて勢い余ってボタンをポチり、その時の俺の頭の中には、豚野郎の斧を持つミルンとミユンがフラッシュバックしており、結果は見ての通りだ。


     ────玉潰す股潰す!────

     ────もちゅもちゅ!────


 神殺しが発動したのだろう。

 ミルン砲第二弾、ミルンとミユンの姉妹砲と命名しよう。

 二人の姿を形取った神殺しが、遥か上空へと獲物を狙うかのごとく飛んで行き、鳴り響く轟音で湖が波打つ。


「ミユンが飛んで行ったの……なんで」

「ミルンお姉ちゃんが斧持ってたの……なんで」


 うむぅ、ミルン砲より威力が落ちる様だ。それに、魔石を使った神殺しよりも威力が低いし、オリジナルと言っても強い訳じゃ無いんだな。


「それでも御使には効く様だ……落ちて来てるなぁ」


 空にあんなに居たのかよ。

 御使だから地面に華を咲かせても早々死なんだろうし、良く分からん理由で襲って来た罰だな。



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