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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
三章 異世界とは妖精さんが居る世界
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馬鹿が魔神と成ったなら.1



 ようやくこの地に私の美を讃える像が作られるのね、と気持ち良くミユンと言う精霊が消えない様に、女神たるこの私自らが世界樹に頼み事をしていると、どこからか帰って来た魔王がお立ち台に上り、少ししたら世界樹に絡まれて湖に落ちた。

 別にそれは良いのよ。

 だってあの魔王ならそうそう死にはしないし、中々にタフだもの。

 ただし、その後が問題だった。

 急に神軍、しかも転生神の御使達が現れてリシュエルを探していると言う。

 手には剣を持っており、このままだとあの時の様な戦が始まってしまう。


「仕方ないわね、魔王への貸し一つよ」


 転生神の御使は脳筋ばかりだから、絶対に武力行使するものね。

 そう思いながら近付いて声をかける。


「私の庭で何してるの貴方達」

『これはアルテラ様、なぜこの様な地に居られるのですか?』

『神気を下げている御様子、どうされたのでしょうか』

『まさか我等の邪魔を?』

『神の一柱であらせられる貴女様が、我等の行動を止められるのですか』

『私共は転生神様の命でリシュエルを捜索しておりますので、邪魔をされては困ります』


 ふん……彼奴の命令なのね。でも命じられたのは捜索だけで、戦闘は許可されていないんじゃないかしら。彼奴、自分の仕事が増やされるのが一番嫌って言ってたもの。


「我は……邪魔だから……離れるのぢゃ」


 あの龍、小さくなって逃げましたわね。

 昔は見てくる者なら見境無く襲いかかって、神軍すらも喰い物と認識していたのに……なんか残念ですわ。


「貴女達、転生神の命以外の事を勝手に行うなら、それなりの覚悟があるのでしょうね。もし命に無い事するのなら、私の力を解放してでも殲滅するわよ」


 嘘ではないわ、だって神軍にこの場所を攻撃されたら更地になっちゃうし、その後だったら力を出せますもの。


 バシャッ────「お水飲んだのっケホッ!」

「ミルンお姉ちゃん大丈夫?」


 あれは、魔王の娘達じゃ無いの、魔王は何処行ったのよ。


『──っ、総員あの娘を捕らえよ! リシュエルの気配を纏っているぞ!』

「──二人共逃げなさい!」


 何よリシュエルの奴、あの娘にも変な称号付けてるわけ!?


「あっ、桃色アルテラ婆な──っ何!?」

『私の剣を避けるか!?』

「お姉ちゃんに何するの!」


 凄いわねあのミルンって獣族、御使の一撃をギリギリで避けたし一瞬で臨戦態勢に入ったわ。これなら、私が三匹、龍が一匹抑えれば時間稼ぎにはなるわね。

 ただ、上空に待機している軍が来たら終わるんだけど。


「一匹ぐらいなら我でも戦えるのじゃ、加減出来ぬ故消滅しても知らぬぞ」

『古き龍よ、なぜ邪魔をする』


 ミルンとミユンに危険が及ぶと知ったからか龍がヤル気になったわね。


『大人しく見ていて下さい女神アルテラ様』

『女神とて、そこまで弱体していれば我等に敵わないと理解出来ますでしょう』

『我等はあそこに居るリシュエルの気配をさせている者を、主の下へ連れて行かねばなりませんので邪魔をしないで頂きたい』

「そんなの知らないわよ、あの子を連れて行かれたら私の像が作れないから困るのよ」


 それと、魔王が帰って来るまでの時間稼ぎだけどね。女神たる私を殴り付けたのだから、間違い無く貴女達の天敵だもの。

 それに、たかが御使風情が私に向かって敵うのかですって……。


「たかだか産まれて数千年の餓鬼共が、私に敵意を向けたと判断するわよ……」


           ◇ ◇ ◇


『たかが獣族が何故私の剣を避けれる!』

「お父さんの足の速さに比べたら、お前なんてただのゴブリンなの!」


 右、左、右斜めからの回って突きなの!

 正直言ってギリギリです。

 さっきからこの知らない人、腕とか脚とかばかり狙って来てるから殺すつもりは無いんだろうけど、痛いのは嫌!


「なんでミルンを狙うの! あと貴女はだあれ!?」

『リシュエルは何処だ! 貴様がリシュエルに関係している事は分かっているぞ!』


 話が通じません。

 リシュエルって前に黒姫とドンぱちやってた御使だよね。そのリシュエルをこの人は探していると……、居場所なんて知らないよ!


「私は居場所なんて知らないの! だからお帰り下さい!」

『白々しい嘘を吐くな! 貴様を捕らえて主の前に跪かせ、必ず居場所を吐かせてやる!』


 主ってだあれ?

 あと貴女もだあれ?

 普通に通り魔だと思います!


「ミルンお姉ちゃんに何するの!」


 ミユンが地面に手をついた瞬間、植物の蔓が知らない人に向かって伸びていくけど──『邪魔するな精霊!』やっぱり効かないの!


「ミユン! 一度撤退します!」

「分かったのミルンお姉ちゃん!」

『待て逃げるな!』


 やっぱり純粋な速さならミルンの方が上なのです。あの姿、リシュエルって言う御使に似ているから魔法も撃てるんだろうけど、私を捕獲する為に使わないのかな。

 儀式に参加している人達はリティナが避難させているから、私達は逆に世界樹の有る湖の中心を目指すの!

 全力で泳ぎます! 

 ミユンは沈んで来てもらいます!


『何故その速さで泳げる!?』


 空を飛んで来るのは反則だと思います!

 追い付かれたら不味いから世界樹の根っこがある所をジグザグに泳ぐの!


『糞っ! 面倒な獣め!』

「それは褒め言葉です! とお父さんなら言います!」


 でもこのままだといつか追い付かれるし、どうしたものだろぅ────何でレモモが浮いてるの?

 泳いでいる先に、綺麗なレモモがぷかぷか浮いてるけども、今は食欲より逃げる方が優先なの! 逃げる先で偶々偶然レモモを拾うだけだから大丈夫なの!


「──レモモ頂きま……お父さんのお尻!?」

『追い付いたぞ獣め! 貴様……何だそこの半裸わ!?』


 知らない人が慄いてるの! 流石お父さんの立派なお尻! レモモより艶が有ります。


『ふん、まぁ良い。そこの人種からもリシュエルの気配を感じるからな。二人纏めて主の元へ連行してやる! 勿論手足を切り取ってな!』


 不味いっ、動きを止めてしまったから狙い易くなって──『お前……今なんて言った』お父さんが起きたの!


「ぷぽぽぽ──浮いてこれた!」


 ミユンも浮いて来たの! コレで勝つる!



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