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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
三章 異世界とは妖精さんが居る世界
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むかーしむかしある所に.1



 ファンガーデンに帰って直ぐヤバげな儀式を見てしまい、リティナに理由を聞いてミルンに捕まりやって来ました一段高いお立ち台。


「ミルン……せめて明日の朝に御祈りしないか? このままだと、俺が邪教のボスにされかねないのだけど……」


 肩の上のミルンに聞いてみるけど、尻尾でペシペシと俺の背中を無言で叩いて来る。


「魔王もミユンの為に祈って!」

「我もやっておるのぢゃ! 祈るのぢゃ!」


 くっ、ミユンは自分の為に祈ってくれているのが嬉しいのか多少ハイになってるし、黒姫もノリノリでのぢゃのぢゃ言ってる。

 ふと考えたんだけど、俺のミルン砲マニュアル兼翻訳機能付き右目を使えば、世界樹が言葉を発しているなら翻訳表示されんじゃね。


「おーい、世界樹さんやーい……」

「お父さん何してるの! 祈って下さい!」


 ちょっとミルン待って肩の上で暴れないでくれ、バランスが取れないから!


「ミルン聞いてくれ! 俺の右目な、ハーピィの様な魔物の言葉が翻訳されたんだ。だから世界樹が言葉を発しているなら何某ら反応ある筈だから、少し大人しくしてような」

「そんなの聞いた事ないよ?」

「ミユンも無い!」

「魔物の言葉が分かる魔眼なぞ聞いた事がないのぢゃ」


 黒姫ですら知らないのか。

 守護者のデフォじゃ無いのかよ、マジでこの目意味分からんぞ。


「俺も会談帰りに初めて分かったからな。だから祈るのは実験の後にするから、少しまってくれな」

「……分かったのお父さん」

「大人しくします」

「魔王毎に授かる力が違うのかも知れないのぢゃ、我も少しだけ黙るのぢゃ……」


 聞き分けが良いのか悪いのか……邪魔しないなら良いけどさ。気を取り直してもう一回問いかけてみますかね。


「世界樹さんやーい、俺の声は聞こえるかー」


 …………何も反応無いな。

 魔物じゃないと翻訳しないのか、世界樹が言葉を発していないのか、それとも世界樹の翻訳に右目が対応してないのか……分からん。


「おっ、根っこがコッチに来てるじゃん」


 俺の言葉が届いたのか根っこがシュルシュルと近づいて来て俺の腰に纏わりつき、そのまま持ち上げられてっ────

「ちょっと待てぇええええ────!?」

────そのまま湖へダイブしました。


「魔王──っ、止めよ世界樹!?」

「ミルンもぉおおお────! ぽぽぽぷ!」

「緩い水なのぉおおお────! ぽもぷも!」


 ミルンは俺の肩に乗ってたから道連れだし、ミユンは俺の腰にしがみついて離さないから一緒に沈みますよね!


 これはあれか? またセーフアースに連れて行かれるのだろうか……『ぽぽうぱん!』ミルンのお顔が口に空気を含んでいるからリスさんになってて可愛いよね!

 あれ、一向にセーフアースに連れて行ってくれない……このままだと俺達溺れて死ぬんですけどぉおおお──っ。


「がぱぷぽっ、ぱぱえぱいっ!?」


 クソっ、腰に巻き付いている根っこが離れやしない! マジで苦しいんだって世界樹さんやマジで離せこの根っこ!!


「ぱぱぽぷぷぷ──?」


 ミユンなんでお前はそんなに元気──そうだ……ミユンはこう見えても精霊なんだったよ水中でも平気って何なのチート?


「ぽぽうぱん、ぽぺ……」


 なんだミルン何を見て────っ何だあれ、何で世界樹の下にっ息が持たんっ!?


「ぽがっ…………」……あっ、死ぬぞこれ……。

「ぱぽう! ぱぱぱぽ!」

「ぽぽうぱん!?」


 何言っ……てる…の……二人…共…………。


            ◇ ◇ ◇


「……浮かんで来ないのぢゃ」


 世界樹の奴が湖に引き込んだのぢゃからいつもならあのセーフアースに転移する筈ぢゃが、その兆候が見られぬのぢゃ。


「えっ、まさか死んだのかや?」


 いやいや魔王とミルンとミユンぢゃぞ、そう簡単に魔王は死なぬしミルンならば魔法で簡単に抜け出せよう。ミユンに至っては精霊なのぢゃから水に浸かろうとも溺れぬし、絶対、多分、恐らくは大丈夫な筈なのぢゃ。


「もしかしたら以前の我の様に魔龍の川から飛び出してくるやも知れぬし、早々焦る必要も無いのぢゃ……」

「おーい黒姫はんやーい、流にーちゃん浮かんでこーへんけど大丈夫なんかー」


 聖女がお立ち台に近付いて来るけど今は無視なのぢゃ。我の所為では無く、世界樹が勝手にしているだけだから我は問題無いのぢゃ。


「むぅ……いつになったら浮かんで来るのぢゃ」


 我、ご飯まだ『リシュエルの気配を感じます』食べとらん……のぢゃ? 


「──っ、神軍!? 何故この地に降りて来たのじゃ!」


 力を解放して臨戦態勢じゃっ!!


「なんやアンタ、どこから現れてん!?」


 近づくで無いわリティナ!

 不味いっ、ここに住民が集まり過ぎておる、このままでは戦えぬぞ!


『古き龍ですか』

『あの時よりも遥かに弱っていますね』

『此度の主の命は戦に非ず』

『貴様等が御使と呼ぶ者、リシュエルのみ』

『忌々しい世界樹を滅する事が出来ず残念だ』


 リシュエルじゃと……彼奴の場所なぞ知らぬし、神域の何処かに居る筈じゃぞ。


「リシュエルは神域に居らぬのかや! 我等は彼奴の場所なぞ知らぬし、なんなら敵対しておるのじゃ!」

『リシュエルの加護を持つ者が先程迄居た筈、何処へ消えた』


 魔王かや!? 湖に沈んでおる筈じゃが此奴等が感知出来ないと言う事は、やはり何処かへ転移したのじゃな……。


「知らぬ! そんな事は世界樹の奴に聞くが良いわ! まぁ我も含め世界樹の言葉なぞ聞ける筈も無いがの!」

『そうですか、ならばこの地を消してからまた探すとしましょう───総員剣を構えよ』


 神軍はコレじゃから阿呆なのぢゃ!?

 不味い、非常に不味いのぢゃ。神軍の中でもリシュエルに並ぶ存在が五匹に、遥か上空にも百の気配を感じるのじゃ……。


「じゃが……我は貴様等が言う主と同質の存在、負ける訳にはいかぬのじゃっ」


 あぁ……コレ我産まれ変わり確定かのぅ。


『総員、攻撃開────』

「私の庭で何してるの貴方達」


 おぉ、そう言えば此奴が居ったのじゃ、桃色女神アルテラ婆なのじゃ!



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