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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
三章 異世界とは妖精さんが居る世界
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エイドノア世界会議.3



 さて、俺がルシィに求める特権の内容だけど、非常に簡単分かりやすい。


 辺境伯の肩書きは有難く貰ってやろう。しかし、それに付随する授与式の不参加と、貴族達のお茶会やら晩餐会やらパーティー等の拒否権及び、国の存亡に関わる事以外での命令を拒否する権利と、自由裁量権に、自由に国内外へと動く事が出来る権利をくれるなら──、この安心安全毒無効が付与されたお皿をプレゼント。

 

 ルシィが『ぬぐぅうううっ』と頭を抱えて悩んでいるけど、『連邦国家としては、流さんなら自由に入出国しても良いと免状を発行しよう』と連邦国家のイケメン(死語)が爽やかに言い放ち、『東は小国が点在する為、和土国のみなら免状を発行できます』と和土国の和風美人が追随した為に、ルシィは諦めて頷いた。


「流石旦那様です。このタイミングを狙っていたのですね」


「前に──ドゥシャさんが俺の立場云々言ってたから、このタイミングしか無いかなって思ったんだぞ」


 他国の代表が居る前で俺の立場を明確に分かり易くする。まさかお皿一枚で解決するとは──儲けものですね。という事で早速権利を行使しましょう。


「んじゃ早速。ドゥシャさん、自由裁量権に基づき俺の拘束を解いてくれ」


「──畏まりました旦那様」


「なっ、何をしておるドゥシャ!? 儂の命令無く魔王の拘束を解くで無いわ!!」


 やっぱりルシィちゃんと聞いて無かったな。

 因みにこの場には、第三者であるシャルネが話している内容を紙に残している。言った言ってない問題を起こさない為だな。


「ルシィ──俺はちゃんと説明して、お前がそれを了承したんだぞ? シャルネ、ルシィに今の内容を伝えてくれ」


「畏まりましたわ流様。陛下、流様が求め、陛下が了承した特権は以下になります」


 一、辺境伯授与式の不参加。

 二、夜会等のパーティー全ての拒否権。

 三、国の存亡に関わる事以外での命令の拒否権。

 四、自由裁量権。

 五、国内外へ自由に行動できる権利。

 

「儂……こんなモンを了承したのか……」


 そうだね──これって、籍はジアストールに置くけども、俺の行動を国として縛る事が出来無いという──自由を認める権だよね!


「さてと……んじゃ説明したし、俺帰るから。和土国と連邦国家の免状は、ファンガーデンに送ってくれよな」


「分かったよ流さん。ちゃんと送るから、遊びに来て下さいよ」

 

「直ぐ届ける様手配致します! 是非とも精霊様と共に足をお運び下さいませ!」


 さーて、キングマッスルホースの足で二ヶ月だから、俺の足だと全力でも一ヶ月半ぐらいかかるかなぁ……。


 セーフアースに居た日より長い移動じゃん。

 他領の貴族の家にお邪魔して──色々御馳走して貰おう。自由裁量権の乱用ですね!! 


「異世界に来た時以来だなぁ」


 ちょっとワクワクしているぞ。だってガチな一人旅だからね! しかもしっかりと帰る場所が有り、帰りを待っている人が居るんだから、楽しいに決まっている!!


「お土産、どこかの村か町で買わないとな!」


 俺は──ゆっくりと歩みを進めた。


            ◇ ◇ ◇


「陛下……流さんにしてやられましたね」


 まさかあの様な特権を求めるとは。しかも最初は何てない特権を言った後に肝となる特権を混ぜてカモフラージュし、陛下に上手く誤魔化して了承を得るとは。


「これでは……魔王をこの国に留めておけぬでは無いか! 下手をしたらドゥシャよ、其方との婚約も無かった事にされるやもしれぬっ」


 それは心配していないですね。

 ミルン御嬢様は私を好いており、余程の事が無い限り婚約を解消される事は無いでしょう。


「君のそんな顔を見るのは久しぶりだね。やっぱり流さんは凄い人の様だ。まさか国宝級を──ポンっと渡されるとは思わなかったよ」


「儂は高くついたがの!! 魔王は、初めて遭った時から儂にだけ厳しいのじゃ!!」


 それは間違い無く門兵の所為でしょう。

 流さんは赤だった為捕まりましたが、まさか門兵がミルン御嬢様にまで危害を加えようとするとは。まぁその門兵も、陛下の命により解雇されて鉱山送りとなりましたが、時すでに遅しで御座いますね。


「では私はお先に失礼致します。守護者様がいつ来られても良い様に準備しなければなりませんので──」


 和土国の代表ですか……。

 影達の報告では、今のところダントツで間者を送り込んで来ており、一体流さんに何の御用なのかがハッキリしない国ですね。


「私も帰るとするか。それではなジアストール王よ、ドゥシャ殿もお元気で」


 連邦国家の代表……。

 正直言って顔が良いだけの凡人という印象ですね。確かに、若くして総統という地位にいる存在ですが、流さんの様な意味不明な事はせずに、堅実に一歩一歩と進むタイプで──面白味に欠けます。


「主もなハバノア代表殿。さてと──っ、後片付けはそこで寝とる暫定皇帝とやらに任せて、儂らも帰るとするかのぉ。シャルネ嬢よ、面倒をかけたな」


「私もそれなりに楽しめましたので、お気にならずとも大丈夫ですわ」


 海洋国家アルカディアスの姫。

 流さんとの婚姻を望んでおり、今の所はミルン御嬢様が嫌がっている為問題は無いですが、隙を見せたら力尽くで流さんと契りを交わしそうで気が抜けません。


「では陛下、近衛に馬車をまわして貰いますので少しお待ち下さい」


 外へと出て、待機している近衛に合図を送り、帰り支度をする。


 流さんは徒歩で帰った様ですが、帰り道の町や村でどの様な問題を起こすのか……、少し楽しみではありますね。



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