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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
三章 異世界とは妖精さんが居る世界
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帰ってお茶を濁しましょう.1



「はぁ──けったいやなぁ。神々と魔王が未だ戦っとった時代の壁画やん」


「大きい絵なの!」


 ミルン達と合流して、取り敢えず俺が見た物を案内している真っ最中な訳だけど、やっぱりリティナはこれが何か知ってる様だな。


「リティナ。この壁画っていつ頃のモノなんだ。俺には魔王が世界樹を護りながら、神達とドンぱちやってる様にしか見えないんだけど」


 リティナは──壁画を見て考えている。

 アルテラ教から聖女認定されているだけあって、こういった事には詳しい筈……、あくまで俺の考えだけどな。


「正直、いつ描かれたモノかは分からん。けどな、これと似た絵をウチは見た事あんねん。確か──流にーちゃんが粉微塵にした、大聖堂に保管されとった筈やで」


 お……マジですか。

 じゃあこれが何なのかは分からないと。


「この絵は、魔王が描いたって世界樹が言ってるの! 年代はわからないけど、まだここに人が住んでいた時の絵なの!」


 俺に抱っこされてるミユンが、急に変な事を言い出したんだけど……、世界樹が言ってる? ここまで何かの電波が届いてるのか?


「ミユン、お前はこの壁画の内容が分かるのか? と言うか、世界樹が言ってるって何?」


「そや、流にーちゃんに言うの忘れてたわ。そのミユンちゅう精霊な、世界樹と同化しとるで」


 おぉ──ミユンは妖精じゃ無くて精霊だったのか。この背中の羽はどうみても妖精のソレだけど。


「良く分からないの……なんで?」

「ミユンはまだ小さいの。大きくなったら、分かる日が来るの」


 世界樹が何か言ってるのか……。そう言えば黒姫が時々、世界樹に向かって『のぢゃのぢゃ』言ってる時があるんだよなぁ。黒姫と合流できたら聞いてみるか。


「分かんなかったら、分かる奴に聞けばいい。それよりもだ、結局温泉は無かったぞ。ぬるい水ならその奥で流れてたから、体は洗えるけど」


「温泉無かったの!?」

「妖精達後でお仕置きなの!」


 妖精達にお仕置きって……俺この世界に来て、まだ妖精を見た事が無いんだよなぁ。やっぱり見た目は、ミユンと似てるんだろうか。


「なあミユン。妖精って、俺見た事無いんだけど、どこに居るんだ?」


 ちょっと見てみたい気がする。


「いっぱい居るの。この山にもうじゃうじゃ居て、大体は姿を隠してるの。人間に見つかったら捕まえられて、ペットにされるって思ってる子達なの……」


 うじゃうじゃって虫かよ。

 捕まえられてペットにされるって事は、余程可愛い存在なんだろうな。


「少し見てみたかったが、それじゃあ仕方無いな。取り敢えず埃を落として来なさいな、目欲しい物はあらかた取ったし、少し休んで地上に戻ろう」


「さんせーや。ウチ疲れたわほんま……」

「ミユンのお体洗うの!」

「ミルンお姉ちゃんのお背中流すの!」

「じゃあ私はリティナ様の髪を洗いますねぇ」


 男が俺一人だと、肩身が狭いなぁ。

 取り敢えずこの場所は、セーフハウス別荘として使う事にしよう。今後何か起きたら、この大地に逃げて来れば安全だからな。


「月に一回は遊びに来たいなぁ……。距離的に無理か」


           ◇ ◇ ◇


 結局俺達は直ぐに出ず、遺跡の中で飯を食べて睡眠をとった後に外へと出た。地味に疲れていた事もあるが、他に隠し扉とか財宝が無いか確認する為に粗探ししていた事が理由である。


「やっぱ一日経ってたのかよ……」


 外に出たら──海の向こうから朝日が顔を出しており、やっぱり地下に潜っていると、時間の感覚が狂うのは異世界でも同じ様だ。


「風が気持ちいいの──」

「姿を見せるの妖精達! 温泉無かったの!」


 ミルンは尻尾をゆっくり振り振りして、風に身を任せて気持ち良さそうだけど、ミユンは妖精達に御立腹の様だな。温泉が有ると言われたから行ったのに、結局無かったもんなぁ。


「なんやこの山……妖精の気配が密集しとる」

「そうなのですかリティナ様?」


 妖精の気配って言ってもなぁ……俺は何も感じないし、周りを見ても木々だらけで──妖精なんて居ないぞ……? 左目と右目で何かが違う……なんだコレ。


 木の根っこに何かが居るなと思ってしゃがみ、指で摘んで見ると──「小人……?」

 俺の顔と同じくらいの大きさの女の子が、眼をクワってさせて俺の顔を見て震え、逃げようと必死にもがいている……。


「魔王それ妖精なの! 離しちゃだめ!」


 ミユンが走って来て小人を掴み、説教し始めたけど──それが妖精なのか。


「なんや流にーちゃん、その気色悪い眼、妖精見えるんかいな。普通は妖精なんて見えへんし、触る事も出来へんのに……」


「私には一人芝居に見えますよぉ」

「気配は感じるけど、ミルンには見えないの!」


 へぇ──この右目、大砲の取説だけじゃ無くて、他の機能もあったんだなぁ……見えるだけとかじゃ無いよな。

 辺りを眼を凝らして見てみると……別に何も変わったところは──何かうじゃうじゃ居る!?

 良く見たら、小さな女の子が至る所から俺達に目を向けていた。



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