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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
三章 異世界とは妖精さんが居る世界
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砂漠にお花を咲かせましょう.2



 ミルンの強烈な可愛いパンチがミユンのお腹にブローした為、一旦簡易テントを建てて、中でミユンはお休み中。


「ミルン。せっかくミユンからお話を聞けそうだったのに、ボディは駄目だろ」


 テントの外で頬っぺたをぷくっと膨らませてご不満な顔のミルンを、ちょっとだけ叱りつけています。


「ミユンが危ないと思ったもん……」


 耳と尻尾に元気が無い。

 俺は叱りたく無いんだよミルン。だけど悪い事、駄目な事をしたらちゃんと大人が叱らないと、全てを腕力で解決しようとするケモ耳幼女が誕生してしまうからなぁ。


「そうだな、ミユンを助けようとしたんだもんな。でもミユンを殴ったことは変わらないから、起きたらしっかり謝りなさい。ミルンはミユンのお姉さんなんだろ?」


 俺がそう言うとミルンは俺の目を見て頷き、テントの中へと走って行った。

 おそらくミユンを看病するのだろう。


「なら俺は、少し調べておくか……」


 目の前に広がる砂漠──では無く魔石の海に近付き、空間収納内に次々と入れて行く。

 アルカディアスとファンガーデンを繋ぐ交易路を作る為、山を削り取った時と同じやり方で半径十メートル四方をくり抜いていき、少しずつ、少しずつ掘り進めて行く。

 そして丁度──縦三十メートル程を掘り進めたその時、大地に辿り着いた。


「砂は──乾燥してるな。この場所だけなのか、それとも遥か先まで砂漠化してるのか……」


 問題は……縦三十メートルの魔石の粉が、遥か彼方まで大地を埋め尽くしているという事実。流石に一ヶ月やそこいらで終わる量じゃ無いし、出来る範囲でやっておこうかな。


 魔石の粉といえど魔石には違い無いので、何かの役には立つだろう。

 そう思い、次々に魔石の粉を回収していく。

 崩れない様に段々畑の様な形で回収して行き、ちょっとだけ休憩……。


「こんなに魔石の粉が積み重なっているって事は、昔に魔物の大量発生でもあったのかねぇ」


 そもそも、あの山の斜面に在った洞窟……どう見ても人工物だったよなぁ。と言う事はだ、どれ程昔か分からんが、ここに人か──それに近しい存在が住んでいたって事だよな……。


「魔物の大量発生で違う大陸へ逃げた……んで、別の大陸に住み着いて、帰ってこようとしても海の魔物が邪魔で帰れなかった……」


 それなら何故、ここに魔物が居ないんだ。

 その残骸がこの大量の魔石なら、誰が魔物達を殲滅させた……「あ──分からん!!」

 ごちゃごちゃ考えても埒があかない!!

 もしかしたらこの先に誰か居るかも知れないし、考えるのは止めだ!


「今は少しでも多く──こいつを回収して、ミユンが起きたら話を聞こう。そういや、魔石が魔法の触媒になるなら……この魔石の粉は触媒になるのかな?」


 試してみるか──「小さな声で……火よぉ」

 なんてな──はえ? 

 粉が光ってえぇえええええ────っ!?


 粉が輝き──周りの粉も共鳴するかの如く輝きを放ち、その輝きが徐々に広がって行き、遥か先──視界を埋め尽くす程の魔石の粉までその輝きで満ちた時、それは起こった。


 その輝きが天に向かって伸び、まるで──地球にあった大砲の様な形を作ったと思ったその時────そこから目を焼くのではと思う程の光が天に向かって撃ち放たれた。


    ────《神殺し》────


 古の時代、神々が争いを続ける中で、一柱の神が争いを終わらせる為に創り出した神器の一つ。

 発動条件は────使う者が『魔王』である事と、『世界樹の守護』を得ている事。


「目がぁあああああ────────!?」


 頭の中に使用条件が流れ込んできたが、そんな事よりも輝きをモロに見てしまい目が死にそうですと地面に転がり悶えてますね!?


ピンポンパンポ──ン


レベ──(私のお家が潰れましたぁ!?)


ピンポンパンポ──ン


 よっしゃぁあああああああああ────!!

 何か知らんがこの光がリシュエルが居るであろう場所まで届き、その住まいをぶち壊したらしいな──ざまぁだけど目が痛てぇっ!!


 どれ程悶えていたのだろうか……チラッと目を開けると既に輝きは収まっており、若干頭が痛いけど問題無く起き上がる。


「うへぇ……魔石の砂はどこ行ったよ……。しかも思った通りの砂漠が出て来たし……」


 目の前には、先程まで大地を覆っていた魔石の粉が全て消失しており、そこに在ったのは、草木も生えぬ広大な砂漠。


「お父さんまた何かしたの……」

「まちぇきやない!?」


 いつの間にかミルンとミユンが近くに居た。

 ミルンはまじまじと俺を見つめて、ミユンは魔石の粉が無くなっている事に落胆している。


「お父さん……右目の色が変なの……」


 ミルンが不穏な言葉を口にした。

 右目の色が変? 

 それはアレか……魔眼が覚醒したとかか?

 どれどれ右目を意識して……何コレ?


「神殺し取り扱い説明書……」


 右目を意識したら目の前にその文字が浮かび上がり、赤色の表示が点滅している。


「えっと……神殺し再使用には──魔物の核を二十億個と五百年の待機時間が必要ですっと成程なぁ……えっ、無理だろ死ぬわ……」


「まよう! まちぇきちょうらい!」


 ミユンが魔石を強請って来るけど見て分かる通り砂漠しか無いし、さっき掘った分が空間収納内に有るけど……、あげて良いモノかどうか判断に迷うんだよなぁ。


「ミユンは、魔石を食べても大丈夫なのか」


「あい!」


 ふむ……あまり宜しくは無いが、魔石寄越せ寄越せオーラが凄すぎてちょっと怖いな。

 少しずつ与えてみるか……。


「少しずつなら食べて良いけど、少しでも危ないと思ったらまた吐き出させるからな……」


 そう言って空間収納から手のひらに納まる程度を出して、ミユンの手へ移すと──『もちゅもちゅ』と食べ始め、ミルンが不安そうにそれを見ている。


「ミユンは、魔石食べても平気なの?」


「俺にも分からんよミルン……」


 不安だけど、ちょっと見守っていようかな。


「もちゅもちゅ……旨しっ」


 今もの凄い流暢な言葉で『旨しっ』て言わなかったかミユンの奴……気のせいか。

 ミルンも口をポカンと開けて尻尾がはてなマークになってるし可愛いなぁ……尻尾。



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