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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
三章 異世界とは妖精さんが居る世界
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異世界サバイバルではありません.5



 人魚がタコカマキリとハッピーなイカを呼んで来てくれたのは良いんだけど、名は体を表すと言うが……そのままじゃ無いか。


 八本の脚がまるでカマキリの様に鋭く尖り、脚を振る度に海が割れて凄い斬れ味のオクトパスマンティスと、十本の脚がまるでクラッカーの様な形をしており、そこから水を圧縮して打ち出しているパラダイスクラーケン。


 しかも二匹共話が通じないので、試しにお馴染みの『威圧』を全力で放ち、ついでに『豪炎』を撃ち込んでみたら────俺の前方約五十メートル程の海が瞬時に蒸発して塩となり、二匹の魔物と──子分も含め、イカ焼きとタコ焼きが上手に焼けました──!


「おっと空間収納空間収納──っと。これでいつでもタコとイカが食べれるな」


「思った通りなの……お父さん容赦ない」

「まようたおたえる」


 ミルン、ミユンがセーフハウスの裏から顔を覗かせて見てくりけど、これは仕方が無い事だと思うんだ。


「話通じて無かったからなぁ……タコ焼き食いたかったし、これで良いか人魚さん」


 俺の隣に居る人魚さんが、頭を低くしてと言うか三角座りをしながら震えている。

 そんなにさっきの豪炎熱かったかな……、ミルン砲の試射をしようか迷ったけど、流石に、空間に亀裂を入れる様な魔法を撃ち込んだら海がどうなるか分からないから、結構加減したと思うのだけど。


「ダイジョウブデス。アリガトウゴザイマシタマオウサマ……オレイノシナハ、カナラズオワタシイタシマス……」


 なんか機械的に言ってる気がする。

 俺と目を合わさないし、一体どうしたんだ。


「お父さんの魔法の威力がおかしいの!」

「まようやおそよしいの……」


 海なら被害を気にせず撃てるからな。

 ついでに海の幸も手に入れる事が出来て、一石二鳥の素晴らしい練習方法だ。


「そういや人魚さんに大事な事を訊くの忘れてた。エイドノア大陸に帰りたいんだけど、場所知ってるか?」


 さっきの二匹のどちらかがエイドノア大陸に攻め込む予定だったのなら、勿論その場所を知らないと行けないもんな。


「はい! 存じております滅ぼさないで!」


 急になんだよ……何で俺が人魚さん達を滅ぼさにゃならんのだ。


「じゃあ俺達を──そうだなぁ……太陽が三十回巡った後に、エイドノア大陸まで案内してくれるか」


 この人魚は、アルカディアスの海域からずっと俺たちストーカーしてたから『勿論です!』出来ない訳が無いよな。


 良しっ、これで帰る当てが出来たし、のんびり森や山を探検出来るぞ。

 黒姫やドゥシャさんは心配しているだろうが、この地はエイドノアの大陸に住まう誰もが踏み入ったことのない新たな大地。

 何が有るか探検して、お宝が有ればそのまま持ち帰るのだ。


「ミルン! ミユン! これでいつでも帰れるし、予定通り目の前の森や山を探検して、お宝を見つけるのだ!」


「お宝! ピカピカっ!」

「やうそうみちゅけゆの!」


 ミルンは結構光り物、貴金属とかが好きで、家に置いてあるお座りミルン像の目には、ミルンの綺麗な石コレクションが嵌っている。

 ミユンは……薬草か?

 見知らぬ大地の植生に興味津々な様だ。


「人魚さんは──陸地だから無理だよな。すまんがここで留守番しておいてくれ。セーフハウスの中に有る食料や水等を好きに飲み食いして、のんびりしたら良い」


 人魚さんが凄い嬉しそうだな。

 尾ヒレを地面に打ち付けて、目がキラキラしているけど──そこまで喜ぶもんか?


「あのぉ……魔王様。出来ましたら子供達を連れて来ても……宜しいでしょうか……」


 上目遣いで両手を前に組むと──、立派な御山が主張して来るから止めろっ!! 

 ミルンの眼がコッチを狙ってるからな!!


「好きにしたら良いさ。一応ここを拠点に動くからセーフハウスをもう一個組み立てれば良いし、良ければ使ってくれ」


「有難う御座います魔王様! 直ぐに子供達を呼んで来ますので、少しだけお待ち下さい!」


 綺麗な飛び込みだなぁ……人魚か。

 子供が居るって事は──旦那も居るって事だけど、子供だけ連れて来るのかな?

 

「お父さんまだ行かないの?」


 もうちょっとだけ待って様な──ミルン。

 人魚さんは直ぐ来るって言ってたけど、あまり遅いと行けなくなるからなぁ。


「かゆうまうま……もちゅもちゅ」


 ミユンなんて暇潰しに貝を生食してるし、有れはどうやって溶かしてるんだ……。

 そんな事を思ってたら人魚さんが帰って来たんだけど……絶対子供じゃ無いよな。


「お待たせしました魔王様。こちらが私の娘達でございます。娘達はまだ、人種の言葉は喋れませんが、私共シャーク族一同魔王様に忠誠を誓います」


 忠誠云々よりもさ……全員大人の女性に見えるし、御山まるだしの人魚が十人も居る……絶景すぎるぅ!!


「え──っと、人魚さんや……人魚さんの種族には、男性は居ないのかな?」


「はい! 私共シャーク族は──漁師等の男達を海に引き摺り込んで子を成しますが、産まれてくる子は皆女となっております! 勿論海に引き摺り込んだ男は死にますので、死んだ後は私達の御馳走として、しっかりと残さず食べ尽くします!」


 どこに突っ込みを入れて良いか分からん!!

 要は、人を海に引き摺り込んで搾り尽くしたら、最後は残さず骨までって怖いわ!?


「俺は無詠唱で魔法をブチ込めるからな。間違っても、海に引き摺り込んで搾り尽くそうなんて思うなよ……頼むから」


「お父さんには嫁候補がいるの! お魚はお呼びで無いの!」

「もちゅもちゅ……」


 なんか良く分からんが、ミルンが人魚達を警戒しているなぁ。流石の俺も人喰い魔物にはピクリともしないよ……多分。


「大丈夫です。私の娘達は人の血が濃いので、後少しで陸地での生活が出来る様になります。その時に少しだけ……、娘達の相手をして頂けたらと思っただけですの」


 水陸両用魔物ってヤバく無いか。

 いや、人の血が濃いって言ってるから、流石に人間を喰う事は──しないでね。


「その時が有ればの話だ。取り敢えず俺達は探検に行くから、この場所を好きに使っててくれ」


「有難う御座います魔王様、行ってらっしゃいませ。この場所の守りはお任せ下さい」

「ぎゅぎょぎぎぎ」

「じょごるるるっ」


 鳴き声怖!? 

 俺の事をガン見している二匹が何か言っているが、魔物の言葉なんて分からないぞ。


「よっしゃ──ミルン、ミユン、ようやく出発だ!」


「アイアイサ──っ、お父さん!」

「もちゅも──っ、いくよ!」



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