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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
三章 異世界とは妖精さんが居る世界
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働きたくない症候群.4



 だから出たく無かったんだ……。


 影さん達に簀巻きにされたまま、開通式の会場へと運ばれて、服を剥がされ、着せられて、貴族に囲まれ苛々と、俺の血管キレちゃうぞ。


「ふむ、貴殿が相談役殿か。我は────」


「ふんっ! どことも知れぬ者が! 光栄に思うが良い! 我は────」


「お初にお目にかかる。我は────」


「平伏せよ下民! 我は────」


 こんな奴等ばっかり俺の所へ来て、良く分からん口上を長々と言い、俺が無視していたらキレて何処かへ去って行く……俺がキレたいわ!


「そう苛々と、顔にだすものでは無いぞ魔王」


 俺の機嫌が悪い事を察知したのか、ルシィが凄いドレス姿で、腰をくねくねと歩いて来るけど『気持ちわるぅ!?』と、しっかり伝えてやったら怒ったぞ。


「貴様はほんっ────とうに無礼な奴じゃ! 儂が抑えんかったら、近衛に斬られるのじゃぞ!」


 確かになぁ──。ルシィの後ろに控えている鎧姿の奴等……、俺がルシィに、気持ち悪いって言ったら、腰に手を伸ばしたからな……。


「大丈夫だルシィ。万が一にでも、後ろのそいつらが剣を抜いたら──、あの時使ったミルン砲をぶっ放して、国外に逃げるからな……」


 俺は、有言実行型の人間だ。

 そして敵には容赦し無いと決めているので、頼むから剣を抜か無いでね!


「怖い事を申すで無いわ!! あの様な、魔法とも分からぬモノを放てば、どうなるか想像も出来ぬでは無いか!!」


 大丈夫だルシィ……、マジだからニヤニヤ。


「────っ、分かっておるのじゃ。貴様は何を仕出かすか分からぬ魔王じゃからの!!」


 それは良かった。

 俺もミルン砲を放たずに済むし、ぶっちゃけミルン砲の出し方分からんからな。


「そういや、剣は治ったんだな」


 ルシィの腰にぶら下がっているモノ。

 『御使の剣』は、あの時俺が折ってから、空間収納へ保管してたんだけど、完璧に真っ二つに折れたのに、ルシィに返す時には何かくっついていた。キズはあったが……。


「ふんっ、この剣の事は良く分からぬ。貴様から折ったと聞かされた時は────嫌、勝手に傷も修復されておったし、もう良いのじゃ」


 聞かされた時は、殺してやろうかと思ったけど、勝手に修復されたからもう良いと。


「こわっ……、睨むなって。そこそこの美人が台無しだぞ、そこそこの美人が」


「誰がそこそこじゃ!! はぁ……貴様と話しておると疲れるのじゃ……」


 そう言い残してルシィが離れて行ったけど、大丈夫か……、更年期はまだ先だろうに。


「旦那様、あまり陛下を虐め無いで下さいませ。陛下は孤独な身。旦那様の様に気安く話せるお方は、非常に少う御座います故」


「へいへい。分かりましたよドゥ────貴女はだあれ?」


 ドゥシャさんの声がしたので、後ろを振り向いたら凄い美女がいた。


 身体にフィットした、黒のドレスを身に纏とい、その御立派様をこれでもかと主張して、その御立派様から、お尻にかけての引き締まったその肉体美は、戦乙女とでも言うのだろうか。脱いだら絶対に腹筋が八割れであろう事が、そのドレス越しでも分かる。


「旦那様……、どうなさいましたか?」


「お父さんがまた旅立ってるの!」


「不気味な魔王なのぢゃ……」


「まよう、やおやへん」


 あ────っ、ドゥシャさんだったのか。

 マジかぁ……いつものメイド姿じゃ無いから、誰か分からなかったぞ。

 

「メイド姿よりそっちのが良いな……、凄い綺麗だぞ。似合ってるし、ルシィより美人だ」


 服装だけで、こんなに印象が変わるのかぁ。

 ドゥシャさん顔赤いけど……風邪か?


「お父さん! ミルンは!」

「我はどうなのぢゃ──」

「わたちゅわ!」


 ミルンのドレスは、前に王都で買った物では無く、今回はルシィが用意した物。


「ほぅ……、良いな」


 ふっわふわの素材で編み上げられた、ふっわふわのドレスから、ミルンの可愛い尻尾が──ここに元々有りましたよ? と主張しているが、ふっわふわな為にドレスと一体化して、もはやふっわふわの可愛いミルンである。


「また旅立ってるの!」


 黒姫は────鱗じゃない!?

 いつもはこれが服と偽って、いやお前それ鱗だろ? と言う事は全裸じゃん。と言っても聞かずに、のぢゃのぢゃとはぐらかしてばかりいた、あの黒姫がっ!? マトモなドレスを着用している!! 今日で世界は終わるだろう。


「絶対悪い事を考えているのぢゃ!!」


 あとは……全裸だった幼児、女か。

 何と言うか……、森だな。

 こんなドレスもあるんだなぁ。

 大きい葉を編み上げた様な、瑞々しい緑色のドレスで、所々に花が咲いており、それがアクセントとなって、それはまるで、森の精がそのまま姿を現したかの様な……、幼児なのに何処か神々しい。


 可愛いが──、若干不気味だ。

 この不気味さは、あの桃色お化けに似た感じで、なぜか素直に可愛いとは言えない。

 口には出せないけどね。

 何なんだろうな、この幼児は……。


「まよう、どゆ?」


 これは────魔王、どうって言ってるのか? ここは無難に答えておくかな。


「ミルンも、ミユンも可愛いぞ」


 ミルンもミユンも笑顔で、凄く嬉しそうだな……、俺の考えすぎか?

 

「我だけ無しなのぢゃ!?」


 黒姫が、のぢゃのぢゃと言っているが、感想を聞きたいのなら、今後も服を着る事────いや、ここはあえて褒める事で、今後も服を着るかも知れない……。


「黒姫……、綺麗だぞ(服が)」


「のぢゃ! そんなに綺麗かや!(我が)」


 良しっ! これで今後、服を着てくれるかも知れないな。


「旦那様は時折、天然を発揮致しますね」


「えっ、何がだドゥシャさん?」


 何で黙るのさ……何が天然?

 魚? 魚は食べたいけど……違う?

 お──い、ドゥシャさ──ん。


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