プロローグ②
気付いたら、私は地面に座っていた。
辺りを見ると、獣族の子供達が楽しそうに遊んでいる……、私もまざりたい。
「わたちもっまわる……」
おかしい……。声が上手く出せない。
体も……、妙に重いし。
「なじぇ……」
足がふらつき、立つのも遅く、ふらふらと左右にゆれながら、いわゆる『よちよち歩き』をしながら、そのモノは、獣族の子供に近づいていく。
「……あなた、だあれ?」
歩く事に、集中しすぎてきたか……、接近にまったく気付かなかった。
金の瞳を持つ獣族の子供が、話しかけて来たが、私は──、その子に見覚えがある。
「みゆんだ……、みちゅけや!」
また上手く発音出来ない……。
「ミユンって言うの? 私と似てる名前だ……」
違う……、貴女の名前を言っただけだ。
私の名前は────私は何だろうか?
少し前まで……、何か……、大事な……、事を誰かに言わなきゃと……、あれ?
「なぬぅ……、あんやったや……」
おかしい……、非常におかしい。
何故、何も思い出せないっ。
腕を組んで考えるが────?
腕が小さい……、と言うか地面が近い……。
顔をペタペタと触り、手を見て、足を見てから、目の前のミルンを見る。
ミルンの身体が──、デカい。
「こっこえや……、どゆよと?」
小さな、四枚の羽を背中に生やした、まっ裸の幼児が、近づいて来たミルンに頬をぷにぷにされながら、その場で茫然と、口を開けたまま、固まっていた。
「子供を捕獲しました!!」
高らかに叫ぶミルンの顔は、新しい妹を、見つけたかの様な笑みを浮かべていた。