表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンが居る世界
168/314

17話 一難去ってまた一難.1



 さて……リシュエルが何処かへと消えた事により、これで一件落着もう何も無いよね。お休みなさい──と言うわけにもいかず、屋敷が無くなったので、一先ずは冒険者ギルドの一室にて、俺、ミルン、黒姫、桃色お化け、ドゥシャさんと影さん、ルシィ、村長に、アルカディアスのレイズ国王、シャルネ御嬢様が円卓を囲んで座っている。


 誰も口を開かず……ミルンは出されたクッキーをモゴモゴとしながら黒姫を見つめ、黒姫はまじまじと桃色お化けを見て、桃色お化けは欠伸をしながら椅子に背を預け、ルシィは俺を睨み付け、レイズ国王はお茶をすすり、シャルネ御嬢様は俺を見つめている。


 誰が最初に声を発するか……それによっては、この円卓が血に染まる事になる……かも知れない。


「うむ。ここは儂から言おうかのぅ」


 ナイスだレイズ国王! 生贄は君に決めた!


「ジアストール王よ。アレは……何だったのかね」

 ルシィにパスしたぞ!ほれルシィ答えろ!


「知らぬ。儂より詳しい者がおるじゃろそこに」


 どこに居るんだろぅ詳しい人……あっ成程。俺の方を向きつつ黒姫に言ってるのか。


「黒姫。ルシィが詳しく説明しろってさ」


「我かや!? むぅ……絶対魔王に聞いておるじゃろう。まぁ良いわ!説明するのじゃ」


 五百年前に起きた初代ジアストールと、魔王との戦いの原因。それは、リシュエルがジアストールへと渡した、あの王の剣が関係していた。

 特定の者への精神干渉による洗脳。

 それにより、魔王はジアストールに斬られ、傷を負い、黒姫が怒り狂って暴れたが、御使達にフルボッコされ、その途中で封印されたとの事。


「えっ……御使ってリシュエルだけじゃ無いの」


「当たり前じゃ。あの時、リシュエルだけであれば、我が良い様にされる事は無かったのじゃ」


 へ──っ。まあ力が落ちても、リシュエルと互角だったもんなぁ……黒姫って最強クラス?


「それで……何で黒姫の封印が解けたんだ」


 最強クラスを封じる封印を、力が弱った黒姫が自力で解くってのも、おかしな話だしな。


「知らぬわ!……いや……あの時、神の波動を感じたのじゃ。それも下級神の様な者では無く、そこの……そうじゃ!そこの女神の波動じゃ!」


 えっ……桃色お化けの波動?

 というか桃色お化けは下級神では無いのか。


「どういう事だ、桃色お化け」


 急に話を振られた所為か、キョトンっとした顔をしてるんじゃ無いよ話きけよ。


「私は何もしてないわよ? 全盛期の龍を封じ込めた封印が、私の波動だけで解ける訳がないじゃないの」


 訳がないじゃないとの言われても、それが本当かどうか何て判断つかないんだよ。


「ふむ。そうだ流殿……あの空に現れた巨大な……そこのミルンとやらは、一体何だったのじゃ」


 唐突に話変えやがったなレイズ国王。

 あの魔法なぁ……口から水みたいなビーム出してた巨大ミルン。それを何かと聞かれれば────分からん。


「怒りと悲しみが混ざり合って、ミルン像の事ばかり考えて魔法撃ったら……ああなった」


「おっきなミルン強かったの!」


 ミルンも見てたのか……アレだけ大きいなら何処からでも見えるわな。


「アレは素晴らしい魔法で御座います旦那様。ミルン御嬢様の御姿が毛並みの一本にいたる迄再現されており、私の未熟さを痛感致しました」


 あの魔法。ドゥシャさん作のミルン像壊されて、頭にきて魔法撃ったらああなったから、それほどにミルン像が、ミルンにそっくりだったと言う事だからね。


「ドゥシャさん。悪いけど、またミルン像作ってくれよな。今度は湖にも設置しようぜ」


 待てよ……各門に設置するのも有りなんじゃ無いか────それだ!!


「また魔王が、変な事を思い付いた顔をしてるのじゃ……大概にせぬとミルンに嫌われてしまうぞ」


 ミルンが俺を嫌う事は無い!

 と言うか黒姫はいつまで、そのナイスバディな姿でいる気だ……ミルンがずっと胸を見てるぞ。


「黒姫は元の姿に戻らないのか」


「我は本来この姿なのじゃ! あの姿は弱っておったからで、この姿の方が良いじゃろ魔王!」


 ほれ!っと胸を強調してますけど、確かに立派な御胸様ですけど……ミルンがこっそり近づいてるぞ──ほれ見ろ。


「のじゃ!? 痛たたたっミルンやめるのじゃ!!」


「立派な御胸は、黒姫には似合わないの!」


 全力で握り潰しにかかってますねミルンさん。そんなに黒姫の御胸様が嫌いなのかな。


「分かった!分かったのじゃミルン────! この姿で居ろと言う事なのぢゃな!!」


 お──っ凄い。一瞬でいつものぷにっと黒姫に戻ったな。やっぱり黒姫はその姿が一番しっくりくるぞ。


「黒姫はずっとそのままで良いの!」


「なぜぢゃ!?」


 うんうん。黒姫に抱きついて、頬っぺたをぷにぷにとするミルンが可愛いなぁ。


「いっこうに話が進まぬ……陛下、とりあえず流君達には、退席して貰ってはいかがでしょうか。このままでは、時間ばかりが過ぎてしまいますぞ!」


 村長良い事言うじゃん。

 俺が居ても邪魔になるだけだし、そろそろゆっくりだらだらしたい。


「それは困るぞヘラクレス殿。我が娘のシャルネが、そこの流殿との婚姻を望んでおるのじゃ。本人が退席しては、話がすすまぬ!」


「子供は十人欲しいですの、魔王様」


 何か言ってるけど嫌だからね。

 そんな鉄仮面に細筋を搭載した、頭のおかしい殺戮人形もとい、筋肉人形シャルネ御嬢様と結婚何てした日には……俺死ぬよね。


「口を挟み申し訳御座いませんアルカディアス王。其れに関しましては、無理かと存じます」


 ドゥシャさん……助けてくれるんだね!


「そちらの魔王様は、私の婚約者となっております。他国の御嬢様と、婚約を認める事が出来ません」


 んっ……?

 俺の聞き間違いか……ドゥシャさんが可笑しな事を言った様な、気がするんだけど。


「ドゥシャなら良いの!」

 

 ミルンさん何を認めたんだい?

 おいルシィ……何を頷いている?


「魔王よ、気づいておらなんだか。このドゥシャは、お主に会ってからずっと、旦那様としか言っておらぬだろう」


「どう言う事だルシィ。俺、何も聞いてないし、婚約した記憶も無いんだが……」


 マジでどう言う事なの!?


「魔王……気付いておらぬのぢゃ」

 

 黒姫まで何なんだよ。

 俺に分かるように説明してくれ!


「流君。君を、この国に縛る為の鎖の様なものだ。まさか、気付いていなかったとは……」


 村長まで!? 何ドゥシャさん呆れた顔してっ、おい桃色お化けまで、馬鹿の子を見る様な目で見て来るなよ!


「ぽっと出の、素性も知れないしかも魔王が、この都市の代表の一人となっている事に、違和感を覚えるべきだわ」


 お前にマトモな事を言われると腹が立つ!!

 じゃあ何か……王都から、ミルン付きメイドとしてついて来ただけじゃ無くて、俺の婚約者としても来たって事!?


「ドゥシャさんはそれでいいのか!?」


 ドゥシャさん間違い無く暗部の人間でしょ? そんな偉い人が……いざとなったら俺を処分する為なのか!?


「ミルン御嬢様の母となれるのならば、このドゥシャ、魔王様とも契りを結ぶ所存に御座います。子供は二十人欲しいところですね」


 それ、俺を殺す気じゃないか?


「うむぅ……ならば側室しか無いのぅ。我が娘が側室となるのは非常に不快じゃが……」


「御父様、私は構いませんわ。魔王様と婚姻出来るだけでも、幸せですもの」


 お前ら親子は少し黙ってろよ!!

 そんなこんなで、何も始まらず、何も決まらずに、この話し合いは、後日に持ち越された。

 ただの無駄話しだったよ。

 ミルンと黒姫連れて、何処か旅にでも出ようかな────どこかに温泉でもないものか。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ