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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンが居る世界
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16話 ただ怒りのままに一撃を.1



 魔龍の川を越えた先の上空で、未だ戦い合う黒姫とリシュエル。

 両者共に若干の苛立ちを顔に滲ませている。


『さっさとぉ、くたばってほしいのですがぁ』

 リシュエルは、ずっと手に持ったままの光の槍に、更に光を集束させていく。


「ふんっ。貴様こそ、だいぶ消耗してるのぅ。これならあと一息と言うた所のようじゃ」

 黒姫は、両手に黒き火を灯し、魔法をいつでも撃てる状態を保ちつつ、リシュエルへと突っ込む。


 互いに、撃っては避けて、避けては撃って、撃ち合って相殺するという、一進一退の攻防が際限無く繰り返され、その余波が辺り一面に吹き荒れる。


『さて、遊びも終わりにしましょうねぇ』


 最早太陽と見紛う程の光を放つ槍を構え、大地に向かって────投げ放った。


「馬鹿者がっ、あの都市が滅びてしまうじゃろう!」


 黒姫は一瞬で大地へと降り立ち、光の槍へ向けて両手の黒い火を撃ち放ち、相殺したかに思えたが────「チッ無理かのぅ」────小さくはなったが、それでも槍が向かってくる。


「我が無事でも地上か保たぬ。なれば、受け止める他無いようじゃな!」


 ダメージは受ける前提で受け止めて、リシュエルに投げ返す。そう考え、黒姫が意識を一瞬リシュエルから外してしまった。

 その瞬間に────


『ふふふ、お馬鹿なドラゴンですねぇ』


────リシュエルの手に握られた剣が、黒姫の背を斬りつけた。


「ぐっ────っ舐めるなぁああああ!!」


 即座に振り向き、鱗の刀を横薙ぎにリシュエルへ振るが、受け止められる。


「他にも剣があったとは、驚きじゃのっ」


『別にあれ一本とは、言ってませんからねぇ。背に傷を負った状態で、あの槍を防ぎきれるかしらぁ』


 光の槍が────黒姫に突き刺さった様に見えたが、黒姫がみずからの角で、その光の槍を押さえ込み、弾き飛ばした────その方向には────「しまったのじゃ!?」


 細かくなった光の槍が、ファンガーデンに向かって飛んで行った。


             ※


「それじゃあ装備、装飾一式、返したからな。約束通り少しでも良い、リシュエルを押さえろよ」


 桃色お化けに何としてでもやって貰わないと、俺じゃあリシュエルの動きに追いつけないからなぁ。


「分かっているわよ。そっちこそ、約束を守りなさいよ。じゃないと、本気でここを消し去るからね」


 抑えてる力を解放ってか……そんな事したら間違い無くこの場所と言うか、大陸自体消し飛ぶんじゃ無いか。


「分かってる。こっちが言い出した事だし、間違い無くお前そっくりの像を作るから、マジで頼む」


 本当はのんびりしたいのになぁ。

「お父さん。ミルンは何したら良いの!」

 ミルンもヤル気満々だ。


「ミルンはそうだな──ドゥシャさんや影さん達と一緒に、皆んなの避難誘導を手伝って来てくれ」


 本当はこのまま、ミルンの尻尾をモフりたいし、なんなら寝て全てを忘れたい。


「分かった!お手伝いして来ます!」


 フンスッと鼻を鳴らして走って行っちゃった……寂しいよぅミルン……くっ。


「ねぇ魔王」


「なんだよ。こっちは寂しい気持ちを堪えてる最中なんだけど……どうした」


 桃色お化けが何か指刺してる。

 何が────あっ。

 空から光の槍が、まるでその場所を狙ったかの様に、屋敷が有るであろう場所へ落ちて────真っ白い光が視界を覆い、それが次第に広がり、この都市を呑み込まんとした時、何も無かったかの様に一瞬でソレが消えた。


「えっ……何、今の……」


 何も起きて無い……屋敷に落ちた?

 ドゥシャさんにアルカディアス一団や、ルシィと村長の保護と避難をお願いしてあるから、誰も屋敷には居ないと思いたいけど。


「魔王、貴方命拾いしたわね。まさかアレがこの地で復活してるなんて……驚きよ」


 アレって何だよ。

 それよりも────!?


「しまった!屋敷にはアレがまだっ」


 俺は屋敷に向かい走り出す。

 屋敷には、アレがまだある。絶対に無くしたくない物。アレが有るのと無いのとでは、天と地ほどの差がある物。


「頼むっ!無事であってくれ!!」


 全力で屋敷へと向かい、そこには────何も無かった。屋敷が文字通り消えていた。

 いや、一つだけ残る物。

 屋敷の入口に設置していたミルン像が残っていた。


「奇跡だ……風呂場の像は仕方ないが……これだけでも残ってくれていて、良かった」


 これが有るから、嫌な仕事も耐えれていた。

 屋敷を出る時に頭を撫で、帰って来た時にも頭を撫で、勿論ミルンもモフるけど、同じ位愛着が湧いていた。


「直ぐに空間収納へ保管しなきゃ」


 そう思いスキルを使おうとした時、小さな、ほんの小さな小石が飛ばされて来て、ミルン像にコツンっと当たった瞬間────ミルン像が粉々に砕けた。


 ミルン像との日々が────俺の脳内を駆け巡る。


「ちょっと魔王、置いていかないでよ。どうしたのそんな項垂れてっ!?」


 どうした桃色お化け?

 ああ俺の顔色悪いって?

 大丈夫大丈夫俺は元気だ。とりあえずお前に早くリシュエルを押さえて貰わないとな。じゃ無いと同じ様な被害が出て、誰か怪我しちゃうかも知れないし、ミルン像の落とし前もつけて貰わないと……何突っ立てるんだよ早く行って押さえてくれよ。


「さっさと行ってリシュエル押さえろじゃ無いと今直ぐお前に魔法ぶち込むぞ」


 威圧も使ってないのに何怯えてるんだ?

 あっ……ようやく行ったなぁ。


「じゃあ俺は、城壁の上で準備だな」


 魔法のイメージは完璧だ。

 全力でぶち込むぞ……リシュェエエエエエル。



 いつの間にやら10,000PV有難うございます!!

 二ヶ月間休まず投稿して良かったぁ……これも皆様に見て頂いているお陰ですね!有難う御座います!!


 桃色お化けがキーマン? ウーマンなんです!なんて事を思いながら悶々と書いておりました。


 色々とぶっ飛んだ内容なのに、見て頂けて嬉しい思いがいっぱいでは有りますが、まだまだ未熟者でございます故、気を引き締める所存!!


 評価などなどして頂きましたら、励みになりますので、是非とも宜しくお願い致します!!


 ではでは、またの後書きでぇ。

 ミルン像……作りたいなぁ。


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