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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンが居る世界
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15話 のぢゃっ子フルスロットル!.5



 危うく乙女になる所だった……ミルンが俺の股間数ミリ手前の地面にパンチをした時は……風圧で一瞬潰れたかと思ったよ。


「次ミルンを置いていったら……潰すね」


 この眼はマジだ……耳と尻尾も逆立ってるし逆らうと……男が終わる。


「悪かった、もう置いていかないよミルン」


 そう言うと、ミルンが俺に抱きついて来た。

 身体を震わせて……心配かけちゃったなぁ。


「ミルン御免な。帰ったら埋め合わせするから、今はアレをどうするか、一緒に考えてくれ」


「黒姫と……だあれ?」


 リシュエルって言う元凶です。と言って良いモノか迷うんだよなぁ……出来ればミルンにアイツと関わって欲しく無いけどっ。


「アレが、俺の頭の中で、時々変な事言ってくる元凶の、リシュエルと言う化物だ」


 誤魔化しても、いつかはバレる可能性が有る以上、ここは素直に言うべきだよな。


「ふむ、初耳じゃの魔王よ。今は長話している暇がない故、端的に話すが良い」


 偉そうに言いやがるなルシィめ、ざっくり言っても時間がかかるわ。


「端的にも何も、さっきも言ったがアレが元凶だ。五百年前だかにあった魔龍の伝説も、あのリシュエルが深く関わってるんだろうさ」


 剣折ったらリシュエルが現れました!って説明しても分からんだろうし、俺もわからん!!

 と言うか……剣折っちゃったからどうしよう……ルシィ泣くかなぁ。


「陛下、話をするにしても、この場所では危険です。一度ファンガーデンへと戻り、防備を整えられた方が宜しいかと……」


 全裸の村長がマトモな事言うと、変態が変な事を言ってる様にしか見えないぞ。


「お父さん、お空光ってる!」


 あぁ、あの二人の魔法だな。

 どっかで見た魔法をポンポンポンポン撃ちまくって、少しでもズレたらファンガーデンどころから大陸が消し飛ぶかもね……シャレにならん。


「いっその事ここから魔法撃ってみるか……いや、当たらないだろうなぁ。リシュエルの奴めっちゃ動いてるし……御使ねぇ……御使?」


 神の御使……何か忘れてないか……御使。

 さっき空間収納見た時確か────あっ……居たわ……この状況どうにか出来る奴。


「ミルン、村長、ルシィ、急いでファンガーデンに戻るぞ!!」


「お父さんどうしたの?」


「何か思いついたのかね!?」


「リシュエルとやらの話を聞いておらぬぞ!」


 この女王置いて行こうかな……影さん達に怒られそうだから無理か。


「話は後だ。ミルン、俺の背中にしがみついて離すなよ。村長はそこの女王様を全裸で抱っこしてやりな! 先にいくぞ────ふっ!!」


「まつのじゃ魔────!?」


 ミルンを抱っこして直ぐ全力ダッシュをかまし、ルシィが何か言っていたが、既にかなりの距離を移動している為聴こえない。


「お父さん凄く速い!?」


 そりゃぁ速力だけは高いからね! 成人男性の四倍の速力が出ます! 魔法は不安定だけど、ステータスは裏切りませんってか、力が上がればなぁ。


「おっ裏門見えてきた────そう言えば会談途中だったな。今は無視だ!!」


 裏門で空を見上げて震えている一団、アルカディアスのレイス国王と、シャルネ御嬢様を無視して、全力で駆け抜ける────とドゥシャさんが追従して来た。


「旦那様!ご指示を!!」


 流石出来るメイドさんだ。


「裏門付近の住民を反対側、正門付近へ誘導!アルカディアス国王と御嬢様も避難させろ! また、後から女王と全裸の村長も来るから保護を頼む! 俺は空でドンぱちやってる奴等をどうにかする! かかれ!!」


「御意に!!」


 何も質問せず、指示を仰ぐ。緊急事態だからこそ、必要な能力だよね。

 よっしゃあそこだ!!

 歓楽街と繁華街の隙間に建っている店。

 ニート化していたが、立場的には間違い無くあのリシュエルより上位の存在。


「桃色お化けは居るかぁあああ────!!」


 勢いそのままに扉をバギィイイッとブチ壊し店内へと滑り込む。


「来たわね魔王……待っていたわ」


 そこには────酒瓶片手に干し肉を齧りながら偉そうにしている女神、アルテラが居た。

 

             ※


「桃色お化け、状況は──分かってるよな。どうにかあの二人、というかリシュエルをどうにかしたい。力を貸せ」


 くっちゃくっちゃっと行儀悪く干し肉齧りやがって、これが女神かよ……いや、抑えろ俺、今はコイツに頼る他にすべが無い。


「来ると思ってたわ──でも無理ね。無理無理む──り絶っ対っ無理!」


 はぁ……コイツ酔ってないか?


「何でだ、お前女神なんだろ。御使の一人や二人、押さえる事が出来ないっていうのか」


 マジなのか、巫山戯ているだけなのかが全く分からん。コイツ女神なんだよな?


「良く考えてみなさいよ──! 何で女神である私が、貴方みたいなポっとでの魔王にやられたのか」


 あ──確かに。

 この桃色お化け、一度俺に負けて、身に付けていた装備一式俺に剥がれたもんな。女神と称する存在にしてはクソ弱かったけど……まさか、力が出せなかった?


「理解した様で何よりだわ。女神たるこの私が、もし力を抑えずにこの世界に現れていたら、貴方の存在なんて息吹くだけで消せるわよ。存在を抑えに抑えて、削り取って、やっと現出出来るの。それでも十分な筈だったのに……まさか魔王ごときに、こんな姿にされるなんてね」


 マジかよ……これ詰んだ?

 いや、諦めるな。


「少しの時間で良い。リシュエルの動きを止める事は出来るか」


 俺の言葉に桃色お化けは少し考え、頷く。


「私の衣服、装飾を返してくれるのならば、出来なくはないわ。ほんの少しだけどね」


 なら、止めている間にリシュエルに魔法をぶち込めるって事だな。


「でもお断りするわ」


 は?……何でだ。


「この地に住まう者がどうなろうと、私には関係ないし、私の信徒さえ護れればそれでいいもの」


 こいつっ……マジでもう一度殴ろうかっ。

 抑えろ俺……ふぅっ。

 今は交渉している時間が無いんだ。


「この地に新たな聖堂を造り、お前そっくりの像を置く。像を作るのは、俺の屋敷に有るこの可愛いミルンをもした像を作った人に頼む。これでどうだ」


 クソっ、嫌な笑顔作りやがって。


「じゃあそれで契約成立ね。リシュエル如き、押さえるのなんて楽なものよ」


 絶対に、お前そっくりの像を作ってやるからな。楽しみにしておくと良い。


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