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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンが居る世界
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15話 のぢゃっ子フルスロットル!.1



 俺の思い描く龍とは、長い爪が生えた手に宝玉を握りしめ、その長い胴体でもって空を泳ぎ天候を操る存在。

 俺の思い描くドラゴンとは、口から炎を吐き、その巨体で砲弾の如く空を飛び、その重量で大地を踏み砕く存在。

 じゃあ……今まさに、俺とミルン、村長とルシィを飛びながら追いかけて来ている存在はどちらか。

 黒い鱗で覆われた姿は、ずんぐりとした丸みを帯びており、手足は太く、大きく、尻尾は長い。その巨体の背には更に巨大な翼が生えており、その存在が、突風を撒き散らしながら迫って来る。


「黒姫絶対ドラゴンだよねぇええええそんちょぉおおおおおおお!!」


「私に分かるものか流くぅうううううん!!」


「黒姫怒ってるのぉおおおおおおお!!」


「なぜ儂らを追って来るのじゃ?」


 うん!四人揃って山に向かって走ってます! だって大きくなった黒姫がブチ切れ全開であのままだと都市に被害が及ぶかも知れないからマジダッシュで走ってるんだけど一番近くの門が屋敷裏門だったから逃げる方向しぼられるよねぇええええええええ!!


「ガァアアアアアアアア────ッ!!」


「おい黒姫マジで野生化してないか!というか重いんだよルシィ!!」


「儂は魔王みたいに速く走れぬ。置いて行かれては直ぐに潰されてしまうわ!」


 じゃあ村長におぶされよ!なんで俺の背中にしがみつく様にくっついてるんだこの女王様は!?


「コォオオオオオオオオッ────ッ」


 何の音かな嫌な予感しかしないけどぉおおおおおおおおお────チラッと後を……!?


「ブレス来るぞぉおおおおおお────!!」


「コレはいかん!限界突破ぁあああああ!!」


 村長の筋肉が肥大して服が弾け飛ぶがそんな事を気にしてられない!!

 走っているミルンを掴み更に脚に力を込め────限界を超えろ俺の脚筋!!


「ゴァアアアアアアアアアア────!!」


 熱っ熱いぞ後ろどうなってるの見たく無いんですけど足止めたら死ぬよねぇえええええ!?


「村長裸ではしってくるの!」


 ミルンさんその報告は要らないから黒姫の事教えてくれるかなぁあああああ!!


「おい魔王よ、ヘラクレスが全裸なのじゃが、不敬罪で罰しても良い者だろうかの?」


「だから今それどころじゃねぇえええええ!!」


「熱いなコレはっ!ふっふっふっ!!」


 村長大丈夫────マジ全裸じゃねぇか気持ち悪いんだよぉおおおおお────!?


「ギィガァアアアアアアギャァア────!?」


 黒姫も何か一瞬怯んだんじゃ無いか村長の全裸見てっはっはっはっふ────っ!!


【15話 のぢゃっ子フルスロットル!】


 「ふぅっふぃっふぃ────っ死ぬかと思ったあぁぁぁ──ふぅ。どうだミルン、まだ黒姫見えるか?」


 何とか山へと逃げ、そこにあった洞窟に隠れていますマジで死ぬるわ。


「お空をぐるぐるしてるの!」


 俺達を探していると。

 迂闊だったなぁ……リティナから気をつける様に言われていたのに、まさか急にブチ切れ全開になるなんて……全部女王のせいだな。


「やってくれたなルシィ」


 いや、女王の所為と言うより初代の所為かな……でも、ジアストールの女王はルシィだしな。


「儂は何もしとらぬわ! それよりアレはなんだ魔王!! どう見ても王家の書に記された、伝説の魔龍にしか見えぬのじゃが!?」


「アレは黒姫なの!!」


 ミルンの言う通りアレは黒姫だな。伝説の魔龍とは似ても似つかない、のぢゃっ子ドラゴンの、のぢゃ子だ。


「ミルンや、その黒姫と言う者を儂は知らぬ。どう言う事か説明するのじゃ」


 何か……ルシィと黒姫の口調にてるなぁ。

 黒姫が大人になったらルシィみたいな姿になるのか……嫌な事考えてしまった。

 それよりも、ミルンが説明しようと頑張っているけど要領を得ない。

 最初は喧嘩したけど、少しずつ仲良くなって、頬っぺたがぷにぷにで美味しくて、お腹がぽよぽよで、大きくなったらお胸が悔しくてって……何言ってるんだミルンさんや。


「ルシィ、俺から話すよ」


 俺が開けた大穴、今は湖になっている所から黒姫が現れ、捕まえてからの日々。そんなに日は経っていないが、ミルンとも仲良くなり、今や家族同然だと言う事。


「リティナが持って来てた本に、黒姫らしき記述があったけど……まさか本物の龍?ドラゴン?だったとはね」


 あの姿を龍と認めて良いものか……いや、あれはまごう事なきドラゴンだな!


「黒姫怒ってたの……ミルンのせいなの?」


 ミルンが泣きそうじゃないか。尻尾と耳が垂れてぷるぷる震えている。

 違うぞミルン。ミルンの所為じゃ無い。悪いのはそこに居る女王様の御先祖様だぞ。

 

 ミルンを抱きしめて背中をさすると、垂れ下がっていた尻尾が左右に揺れてきた。

 これで大丈夫かな……ふぅ。


「確認なんだけどさルシィ。あの黒姫を元に戻す、又は弱体化させる方法なんて知らないよな」


 俺の話を聞いて地面に胡座をかき、何かを考えているルシィに聞いてみる。


「少し待て魔王、今考えておるわ……まさか本当に魔龍が存在するとはのぅ」


 さて、どうしたものか。

 ルシィに考えが有れば良いんだけどなぁ……出来れば黒姫に魔法を撃ち込みたくは無い。


「流君……私の事を無視しておらぬか」


 全裸の筋肉はちょっと黙ってなさい。


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