14話 続.幼女が怒ると美少女に?.4
で……何で俺がこの国王と対面して座ってるのかって? それは、村長よりも俺の方が位が上だからとドゥシャさんに言われ、村長も笑顔で任せたと言い、影さんはいつの間にか居なくなっていて、さすがに俺一人だと寂しいだろうからって、ミルンと黒姫が側にいる。
仕方ないからシャルネ御嬢様が何をやらかしたのかを説明して、引き渡し云々は女王ルシィと相談して欲しいと伝えた。
「そう言う事だよ国王様。まぁ俺達としては、女王の意向に従うけどもだ、そちらの御嬢様が不法に入国して、あまつさえ剣を向けて来た事を許すつもりは無い」
女王が来る前にここの立場を明確にして、出来るだけ話を進めておかないと……さっさと来ないかな女王。
「貴様ったかだか一貴族の分際で国王に意見するか!!」
後ろの護衛うるさいな、おまえが剣抜いたら戦争案件になっちゃうぞ?
「やめよ愚か者が。今、儂らが居るのはアルカディアスでは無い。ここはジアストールであるぞ。剣から手を離さぬか」
国王がちゃんと護衛に注意したよ……素晴らしいな。女王ルシィとは大違いだ。
「おとうさん。せんめつする?」
「いつでも焼き払えるのぢゃ!!」
二人共大人しくしてなさい。
ほら、クッキーあるから食べてなさいな。仲良く分けるんだよ。
「変わった奴じゃなお主……二人の獣族とまるで自らの子の様に接しておる」
「ミルンは俺の娘だからな。黒姫は……ペット?」
「ブホッ!? 我はペットではないのぢゃ!!」
あ──まったくもう、こんなに溢して駄目じゃ無いか黒姫。ほら、コレで綺麗になった。
「お父さん!黒姫は家族なの!!」
ミルンが怒っちゃった!? 冗談だ冗談っ。
「ミルンお主っ……有難うなのぢゃあぁぁ!!」
二人共、両手にお菓子さえ握ってなかったら、良い話になったのに……勿体無い。
「悪かったよ……黒姫はミルンの妹だな」
のぢゃ!?っと黒姫がやや不服そうではあるが、どう見ても今の姿だと妹だろ。
「ふふっ……ふはははははっ!! そうよな、親子とはその様なモノだな。うぬ、羨ましいわぃふははははっ!!」
急に笑い出したな……何が面白いんだ。護衛の奴等も驚いて眼をギョッ、と魚になってるぞ。お──いおさっん大丈夫か?
「すまぬなっふふ、久々に笑ろうたな。貴殿は流と言ったか……一つ頼まれてはくれぬか」
他国の国王が頼み? 何なんだ?
「内容によるぞ。俺も一応、ここの代表の一人だからな。無茶な頼みなら断るけどね」
急に真剣な顔しやがったな国王……無茶な事じゃ無いだろうな。
「うむぅ……娘に会いたいのじゃ。引き渡し前に無茶だとは理解しておる。たが、会えるのならば、言わねばならぬ事がある──この通りじゃ」
まじか──他国の人間に頭を下げやがった!
「王よ何をなさっているのですか!?」
「お止め下さい!ジアストールの者に舐められては、国の威信に関わりますぞ!」
「貴様ぁあ! 早く御嬢様を連れて来い!!」
外野が煩いなぁ……国王の心情を察する事が出来ないのかよこいつら。
「煩いわ馬鹿者共がぁあああ!! こちらの不手際で他国の者に傷を負わせたのじゃ!本来ならば娘は今頃死罪になっていてもおかしくは無い! それをこちらの要望通りに保護して貰っておいて、頭を下げぬなど親とは呼べぬ、王とも呼べぬ、ただの愚か者じゃ!!」
お…おお凄い剣幕だわ。
余程心配してるのか……父親だなぁ。
「分かった、女王が来るまでなら一緒に居ても良い。ただし、正式な引き渡し前に連れ帰ろうものなら────俺に対する宣戦布告とみなす。これで良いか?」
国では無く俺に対する宣戦布告。
その意味を理解する事は出来ないだろう。
もしも、引き渡し前にシャルネを連れ出そうものなら、即、山の中に居るオーガ達に命令を下すからね。
「分かったのじゃ、流殿の温情に感謝する」
連れ出される心配は無さそうだな。なら、連れて来て貰おう。
「ミルン、黒姫、シャルネ御嬢様を連れて来てくれ」