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異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンが居る世界
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14話 続.幼女が怒ると美少女に?.3



 とまあこんな感じでのんびりと過ごしていたら三日なんて『あっ!?』っと言うまに過ぎる訳で、その間シャルネはミルンと黒姫(少女バージョン)が見ていてくれたから、俺は自由に準備ができましたね。


「なぁ……村長」


「何だね流君」


 俺と村長、後ろにはドゥシャさんと影さんが控えており、魔龍の川側のいわゆる裏門にて、アルカディアスからの一団を待っているんだけど……山越えて来るのって大変なんだよね。


「一度も村長に聞いた事無かったけど、この山ってオーク以外に何が居るんだ?」


「うむ。ゴブリンやオーク、コカトリスが大半だが、まれにオーガが出るな。奴等は単独でしか行動せぬが……」


 どうりでこの場所に、国境線に絶対有る筈の関所が無い訳だよ。要らないもん関所。

 シャルネ御嬢様の様な化け物か、冒険者達ならいざ知らず、対人に特化した兵士は慣れていないから、魔物と戦うの厳しいだろうな。

 そう考えたら流れ商人って結構凄いよね。

 だって冒険者雇ってるとは言え、魔物蔓延る場所を馬車や背負いながら、商いしてるんだから、頭が上がらないよ。


「村長、あれ……助けなくて良いのか?」


「遠いから間に合わねし、向こうにも精鋭が居るであろうから待つしかあるまい」


 俺が空間収納で切り取った岩山の先で、アルカディアス一団と思しき者達が、必死にオーガの集団と戦っているのが見える。


「中心の奴が一団の代表かな……負けそうじゃん」


 山越えをする為か人数は十名と少なく、オーガは確認出来る範囲で二十体程。囲まれ無い様に立ち回っているが時間の問題だろう。


「村長、ドゥシャさん、影さん。試したい事あるから何かあったらフォロー宜しくね」


 俺のその言葉に村長が頭を抱え、ドゥシャさんは溜息を吐き、影さんは上を向く……俺信用無いって事だよね!?


「俺そんなに信用無い?」


「信頼はしているが信用はしておらん!!」


「流さん。あまり無茶は駄目ですよ」

 

「旦那様。周囲に被害の無いようご注意下さいませ」


 ドゥシャさん影さんまで酷く無いか?

 駄目だ、そんな事言い合ってたらアルカディアスの一団が全滅しちゃうわ。


「それじゃぁオーガさんに向けて──『威圧!!』──全開だね」


 この位置から威圧が届くのかと、いままで魔物に使った事が無かったから、その実験結果はどうかなぁ……そうくるか。


「流君……アレは……なんだね?」


 なんだろうな村長。こっちに向かって膝をついてるように見えるよね。


「魔王の称号の所為かな?」


 確か称号欄に……コレか?

 特定の魔物好感度上昇。

 いや、好感度と言うより服従してるよね、あのオーガ達。ここから命令って出来るのか?


「……両手を上げろ」

 

 上げたな……凄えな威圧。

 それじゃあお家に帰って貰おうかなオーガさん。


「人を襲わず、山の中で待機しろ」


 頭下げて山の中に帰って行った!? チート二個目だよこれは使える!!

 国境の防備に使えるし、山に入ってもオーガに護って貰えれば俺安全だ!!


「流君……今、何かをしたのかね?」


 ドゥシャさんと影さんは俺のした事気付いた様だけど、村長は気付いて無いな……誤魔化しておこう。


「してないぞ?良かったじゃん被害無くて」


             ※


 そんなこんなでアルカディアス使節団が到着したのは良いんだけど……今にも倒れそうな程疲弊してるな。


「ドゥシャさん、リティナを連れてきて来れ。あとニアノールさんも一緒に居るだろうから、ついでに何か食べ物を持って来る様に言って欲しい」


「畏まりました旦那様。直ぐに伝えて参ります」


 うんうん早いねドゥシャさんは。

 影さんはここで使節団の見張りですね。

 連絡あったとは言え他国の、それも武装した集団だから、何か有れば宜しく!!

 あとはこの都市としての名前だな。


「村長、ここの都市の名前、ファンガーデンね」


「待ちたまえ流君っ急に何を言うのだ!?」


 使節団に挨拶する時に、ここの名前必要だろ? 今さっきパッと頭に響いたから伝えたのに、そんなに驚く事か?


「ファンガーデンな、覚えやすいだろ?」


 ほら、使節団が地面に座りながら待ってるよ。早く挨拶に行かないと。一番偉そうな人は誰かなぁ……全員同じ様な格好してるから分からん!?


「むぅ、この様に唐突に言われるとは思わんぞ!!」

 

 そんな怒るなよ。

 村長が俺に決めて欲しいって言ったから決めたのにそんな事言うのか?じゃあ今直ぐ村長が決めてくれよほら早く!


「分かったから、その馬鹿にした様な顔を止めたまえ……ファンガーデンだな、うむ」


「それよりもさ村長。あの一団の中で一番偉い人って分かるか? 全員同じ様な格好だから俺分からんぞ」


 青色に染められたフード被って、顔も見にくいし、中心で護られてた人はどいつだ?


「そんな事、簡単だ流君」


 そう言って一団に近づいて行ったけど、どうするんだ……殴るのか村長?


「良くぞ参られた、アルカディアス使節団の皆様。私はここ、ファンガーデンが代表、ヘラクレス、ヴァントと申す! どなたが代表か!」


 あぁ……先に名乗りを上げて、相手の代表聞けば良いんだった。殴ると思ったからスマン村長、俺の勘違いだったよ。脳内も筋肉だから拳で語り合う的なモノかと思っちゃった。


「これは御丁寧に、この様な姿で申し訳ない。儂がこの一団の代表である、レイズ、アルカディアスである。海洋国家、アルカディアスの……一応は国王をしている」


 誰も何も言わない……だって今聞いた事が頭に入って来ないから。

 このおっさん何て言った……国王? 国王が護衛十名だけで山越えて来た?


「おっさん頭おかしいんじゃ無いか?」

 

 俺の一言で皆んながハッとなり、村長が拳を握って頭殴って来やがったよ痛てぇ!?


「アルカディアス王!連れの者が大変無礼な事を言ってしまい申し訳御座いませぬ!! 此奴は少し、いや、大変に頭がどうかしておるのです! 厳罰だけは何卒っご容赦を!!」


 なんだよ本当の事言っただけなのに!?

 魔物蔓延るこの糞デカい山越えて、護衛十名だけで来きたのが国王って頭おかしいだろ!


「よいよい。国王とは言え儂にはこの国の者を罰する力なぞ持たぬ故、罰を与える事なぞ出来ぬ。しかもこの様な少数で来たのだから、可笑しいと言われても納得するしか無いのう。はっはっはっ!」


 はっはっはっと笑ってるけど、何でこんな少数で来たんだろうか? 何か面倒ごとの臭いしかしないんだけど。


「おっと、リティナが来たか。村長、話はまた後だな。とりあえず治療してもらってから、屋敷で話しよう」


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