14話 続.幼女が怒ると美少女に?.1
お前達……何やってるの?
「あづぃのぢゃあぁぁ……」
「おっおみずっおとうさ……」
「……暑いですわ」
三人揃って真っ赤じゃ無いか……長風呂するのは良いけどのぼせるまで入るなよ。
「三人揃ったら何とやらか……ドゥシャさん呼んでくるから、大人しくしてなよ」
よくシャルネ御嬢様みたいな頭のネジが無い奴と長風呂できるな。俺なら五分で出て来るぞ……いや、五分もたないな。
ドゥシャさんはどこに居るのかね……呼べば来るかな。
「ドゥシ────」
「お呼びで御座いますか旦那様」
うん分かってた……呼べば何故か背後に現れる不思議完璧メイドさんだね!
もしかして俺刺された時に呼べば直ぐ来たんじゃね?……まさかね。
「ドゥシャさん、ちょっとあの三人介抱してやってくれ。俺は一人で用事済ませてくるからさ」
あの感じならシャルネ御嬢様も暴れないだろ。俺は予定通り桃色お化けの様子を見に行ってから、アルカディアス一団の受入れ準備だな。
「承りました旦那様。行ってらっしゃいませ」
ドゥシャさんは思った通り、俺が死にかけた事で護れなかったと悔やむ表情だけど、俺が謝られるのを嫌う事を知ってか何も言わない。
「お願いするよ。有難うなドゥシャさん」
何だよ、鳩が豆鉄砲を受けた様な顔をして。俺からしたらケモ耳達を避難させてくれた事に感謝こそすれ、助けに来れなかった事を非難するなんて有り得ないぞ?
「旦那様……貴方と言うお方は……いえ、ミルン御嬢様の事、お任せ下さいませ」
ミルンだけじゃ無いからね!?
頼むわドゥシャさん。
「そう言えば……鳩ってこの世界で、まだ見た事無いな」
どうでも良いんだけどね。
みたいな事考えながら、のんびりと街歩きだよ一人だわっしょい! いざ、歓楽街へ!!
【14話 続.幼女が怒ると美少女に?】
なんか……異世界って凄いよなぁ。
昨日まで更地だった場所に立派な木造家屋が建ち並び、道が石畳で整備され、役所が上手く機能してるのか、移住者が増えに増えてケモ耳だらけの素晴らしい都市になってるよね。
「あとは……問題さえ起きなきゃ完璧なんだけどねぇ」
身から出た錆と言うのだろうか。
まさかこんな面倒臭い事になるって、誰が予想出来るんだよ。まぁ、文句を言うのも筋違いなんだけど。
「あの木もどんどんデカくなっていってるなぁ……見に行ってみるか」
丁度この都市の中心に位置する湖となった大穴で、心地よい緑の香を風に乗せ、その存在感を示している世界樹。
未だ成長を止めず、植えた時よりかは遅いが、それでも日に日に大きくなっている。
「うへぇ……三十メートル超えくらいか、お前も元気な様で何よりだよ。この場所で何かあったら助けてくれよな守護者さんや」
前に黒姫が世界樹に向かって『のぢゃぁのぢゃぁ』と話しかけていたので俺も真似てみる。世界樹に意思が有るかなんて俺には分からないが、お願いしておいて損は無いだろうしね。
「ん────誰か呼んだ?」
辺りを見ても俺の知り合いは居ない。
気のせいか……? 案外あの世界樹さんが何か言って来たのかも知れないな。
存在するのなら、いつか妖精達とも会ってみたいもんだ。
「んじゃ気分転換も済んだし、歓楽街の様子でも見に行こうかな……いざパラダイスへ!!」
ミルンと黒姫はお留守番だし、今がチャンスだ!!