12話 幼女が怒ると美少女に?.5
「ふわっふぐんっ……変な欠伸でたな……?」
どれぐらい寝たんだ?
村長来てないからまだ昼前だよな……起きちゃったから行動開始しますかね。
「シャルネ御嬢様の様子見てから色々用意しなきゃだし、ここの城塞都市の名前と、団体客用の料理も考えないとなぁ」
ここの名前を決めないと絶対に泣き虫女王が何か言ってくるだろうし……一年ぐらい休みたい。
「この騒ぎ終わったら、ミルンと黒姫、他のケモ耳っ子達とのんびり生活をしよ……」
そんな事を思いつつ二つ隣の部屋に行きますよっと。だってそこに居るからね、筋肉人形シャルネ御嬢様が……なにしてるんお前達。
扉を開けたら……両手両足拘束されたシャルネ御嬢様が、ミルンの尻尾で首を絞められ、少女になった黒姫の頭の角で今まさに──尻を刺されようとしている……だから汚いぞ。
「えっと……ミルン、黒姫、離してやりなさいな」
若干青ざめてるだろシャルネ御嬢様が……俺に助けを求める様な眼差し向けて来ても、お前無表情だから可愛く無いんだよなぁ。
「ちっ!魔王起きるのはやいのじゃ! 後少しで此奴の尻で試すことができたのに!!」
「動いたら締める動かなくても締めるの!!」
何を試すんだ黒姫……ミルンさんや、素が出たままですよ?
「ミルン……止めないと今後7日間は野菜炒めに野菜ドリンクと野菜スティ『おとうさん!もうやらないからおにく!』ックと思ったけど止めたならお肉だな」
ミルンは野菜を出したら食べる……凄い哀しそうな顔でね。だから悪い事や、やり過ぎの時は野菜野菜野菜を出せば二度とやらない賢い子なんだよ。
「大丈夫かよシャルネ御嬢様?」
言いたくは無いが御嬢様がして良い態勢では無い。
あと、ぶっちゃけコイツ臭いの。
ずっと隠れてたからか髪はボサボサ、汚れ塗れ埃塗れで御嬢様の香りってドブの香りなんだね。
「魔王様が助けてくれるなんて、なんてロマンティックなのかしら。ついでにこの拘束も解いてくださらないの?」
その態勢でロマンティック言うなよ。
拘束ね──どうするか。汚いから風呂には入って欲しいんだよなぁ……臭いし。
「魔王よ。今此奴の拘束を解いたとて、今の姿ならば押さえるのは容易なのじゃ。此奴臭いから湯浴みでもして貰った方が良いのではないかえ?」
やっぱり黒姫も臭いと思うのか。
「なら、シャルネの監視ついでに、ミルンと黒姫も体を洗って来たらどうだ? 二人共絶対コイツの臭い付いてるぞ」
俺は雑だが綺麗好きだ。
一日の終わりは必ず風呂に入るし、この屋敷の風呂はドゥシャさん造りのミルン像があるからね。長風呂しちゃうぐらい眺めていられる。
「おとうさん……ミルンくさい?」
ミルンさんや……臭いか臭く無いかで言うと……臭いんだよ? 早く入ってきなさいな。
なんて言った日には口を聴いてくれなくなり、眼が鬼の様になりそうだから言わないけどね!!
「ミルン。黒姫だけじゃ心許無いから監視を頼むよ。ついでに風呂に入って来なさいな」
自分の体の臭いをスンスンと嗅ぐけどね、自分じゃ分からないモノなんだ。
「シャルネ御嬢様。拘束を解いて欲しいなら条件を付ける。一、殺しにかかって来ない。ニ、武器を持たない。三、こちらの指示に従う事。この三つの条件を守ると誓うなら、拘束を解く」
破ったら拘束して、黒姫の餌食だな。今度は止めないから確実に刺されるぞ……尻に。
「わかりましたわ……魔王に誓いましょう」
俺に誓うのかよ!?
誓うなら神──そう言えば最近見てないな。
まぁ、歓楽街で頑張っているだろう。
「ちゃんと守れよ御嬢様」
ミルン達風呂から出たら、見に行ってみるかな……桃色お化けの働く姿。