12話 幼女が怒ると美少女に?.1
一つ一つの問題を潰していると、あっ?と言うまに時間が過ぎるね全然休めてないんですけど……ブラック企業じゃん。
畑を何やかんやして、役所勤めになるケモ耳男女に業務の流れを落とし込み、気付けば太陽が三十回巡って来たよと……死ぬる。
「おとうさん、おめめがしんでる?」
そうだねミルン、お父さんは働き過ぎると眼が悪くなるんだ。ミルンの尻尾で癒させておくれモフモ────はぃ!元気になりました!!
「ミルンの尻尾はいつモフっても最高だなぁ」
疲労回復肩こり解消の素晴らしいモフモフだよ……はぁあああ溜息が止まらん。
「疲れておるのぢゃ? 少し休むのぢゃ!」
俺の膝の上であまりもぞもぞ動くんじゃありません黒姫さんや。御偉い人の前なんだから。
「気にしないのぢゃのぢゃ」
自由だねぇこののじゃ子さんは……この状況でそんなにリラックス出来るなんて。
「元気な子供ではないか、儂は一向に構わんよ」
立派なお髭を手で触わり、座っている椅子の背後には立派な護衛が五人と並び、俺達の傍若無人な振る舞いにも寛容な態度で接して来る。
海洋国家アルカディアス国王、レイズ・アルカディアスさんねぇ……帰ってくれないかなぁ。
事の発端は三日前に遡る。
【12話 幼女が怒ると美少女に?】
「はぁ? 村長、今なんて言ったんだ?」
俺はいつもの様にミルンを肩車して、黒姫を抱っこしながら街をぶらぶらする予定だったのに、村長から変な事を言われた。
「うむ!もう一度言うぞ。女王陛下より指示書が届いてな、この場所でアルカディアスと会談するとの事だ。その準備と、陛下が到着される前に来るであろうアルカディアスの一団を接待せよとの御命令だ!!」
いや接待せよって俺はやらんぞ。
そもそもあの筋肉人形……シャルネ嬢をけしかけて来た厄介な国の一団だろ? 絶対面倒臭い奴等だって。
「俺は接待しないぞ。それでも良いなら応対はするが……どうなっても知らんからな」
応対はするよ? 応対するだけだよ? 喧嘩売って来たらミルンをけしかけ、黒姫を武器に暴れまわるからね。
「流君に接待を求めてはおらん! それよりもだ、どうやらシャルネ嬢の保護、引き渡しを要求してきておるのだ」
また面倒な……あいつ未だに見つかってないじゃん。どうするんだ村長? 確かアルカディアス国王の一人娘?なんだよな……ヤバくね。
「下手したら戦だよな?」
村長最近頭抱えるの多くなったよね? いつか禿げるんじゃ……禿げでマッスルは怖いぞ村長。
「せめて足取りが掴めればいいのだか……山を越え、自国に戻ったと言う噂も聞かぬし、どこかに潜伏している筈なのだがな……見つからぬ!」
ドンって机叩くなよ村長、ヘコんじゃってるよ机……確かにな、影さん達の追跡掻い潜りながら逃げ続けてるって無理があるよな。
「まさか……まだこの屋敷内に潜伏してるとかは無いよなあっはっはっは…………村長、探すぞ」
俺が魔法で吹き飛ばした後、村長が影さん達に捜索をお願いして見つからないって事は、まだこの屋敷付近に居るって事にならないか……恐ろしいわ!!
「それもありうるか……うむ!影殿やドゥシャ殿、他の者達にもお願いして屋敷内をくまなく探すとしよう!!」
杞憂ならそれで良い。万が一にもまだここに居るのなら確保しなきゃ……面倒臭いなぁ。
試しに角生やそうかな? 威圧も強くなってるだろうし、悲鳴上げて出て来るかも……それは無いか。
さてさてどこにいるのかねぇ。