9話 桃色お化けの糞女神.3
扉が開き、その存在が入って来る。
髪は桃色瞳も桃色薄っすらと桃色の化粧をしているな。
桃色の羽衣を身に纏い、桃色の高下駄を鳴らして静かに歩いて来る。
頭には桃色の装飾が施された簪をこれでもかと挿してもう眼が痛くなる程の桃色。
良し、"桃色お化け"と命名しよう。
頭の可笑しい遊女の形をしているが存在感とでも言うのだろうか。圧が尋常じゃ無いほどヤバいんです。威圧さんで何とか対抗してるけど桃色お化けが近くなればなるほど押されていくよどこまでも。
歩みを止め、椅子に腰掛けこっちを見てくるけど……何か言えよ桃色お化け。
何も言わないならこっちから攻めよう。
「移住希望の方ですね。今回移住を希望される理由と、今までの御職業をお聞きしても宜しいでしょうか」
お前とのやりとりはお仕事の一環ですから仕方無く対応しますよアピール!!
どうだ? イライラしてくれるかな?
「私は愛と献身を司る"美の女神"アルテラよ。貴方が壊した私の美しさを讃える像を弁償してもらう為にわざわざ降りて来たの」
何言ってるのこの桃色お化け? なんで俺がお前の気持ち悪い像を壊さにゃならん。
「お前の像なんて知らんし壊した記憶も無い」
本当に無いしお前の像なんて近づきたくも無い。見た瞬間粉微塵にしたくなるだろうし。
「大聖堂」
んっ? それは俺が粉微塵にしたな。
「大聖堂の最奥に飾っていたの……私の像を」
そうなの? 残念だったね粉微塵になって。
それで俺に弁償しろと? 馬鹿じゃん。
「俺に弁償しろと言う前にテメェの糞信徒共がやらかした事を先ず謝罪しろ。その件に関しては一切妥協しないし、謝罪したとしても弁償する気は無い」
ケモ耳っ子達を痛めつけた親玉が信奉する桃色お化けなんぞに下げる頭は御座いません。
なんだよ睨みつけてきて……全然怖くないんだよ桃色お化け!! 自己中!! 桃色厚化粧!! と心の中で言っておこう。
「全部聴こえているのよ……死にたいのかしら」
あ────!! 気持ち悪いわこの圧!!
桃色の桃色による桃色の為の桃色みたいな気持ち悪い圧……何か慣れて来た?
「おい桃色お化け、もっと強めていいぞ?」
桃色お化けって言葉に出した瞬間目の前の桃色お化けから"圧"ではなく"殺気"が飛んで来たよびゅーんって……なんで俺平気なの?
「なんで貴方そんなに平然としているの!?」
桃色お化けが驚いてるけどそんなの知らん。
とりあえず殺気向けてきたからお前敵確定な? 試したい魔法あるし実験しないと。
「耐えたから何よ!! 神の力を思い知るが良いわこの魔王!!」
桃色お化けが俺に飛びかかって来たその時、またあのアナウンスが頭に鳴り響いた
ピンポンパンポーン(上がり調)
レベルが──(神に魔王認定おめでた!!)
ピンポンパンポーン(下がり調)
レベルは? 上がったのかおいリシュエル? あっ魔法間に合わない!?
とりあえず今は──手に杖の様な物を持ち飛びかかって来た桃色の顔面にカウンターを──撃ち込む!!
メゴォっと顔面にクリーンヒットだ!!……えっ?
俺今すんごい速さで動いたなぁ、しかも力弱いのに桃色お化けが鼻曲がる程吹っ飛んで凄い威力出てるし何これ怖い……桃色お化けが凄い姿で白目むいてるよ気持ち悪いな。
履いている物も桃色ですね。
それに何だ?
神に魔王認定おめでた?
魔王……認定?
おい俺のステータス!!
【魔王】小々波 流 35歳
レベル 21→25(楽しい経験値効果)
能力
STA 15 INT 32→132
VIT 105 AGI 300→400
DEX 290→390
(村人男性平均100とした値)
スキル
・身体強化(これで貴方もマッスルバディに)
・楽しい経験値
・空間収納(大人の本の隠し場所として)
・基本魔法(一人暮らしのお供に)
・魔の叡智(なんでぇ〜!?)
・ー 判別不ー ー
称号
・逃げ惑うニート
・崖からダイブするニート
・獣族を愛する者(あっマズイです〜)
・異界の無法者(これなら〜)
・魔王(神に魔王認定おめでた!!)
・破壊者(破壊者乙)
・魔龍の名付け親(頑張れお父さん〜)
スキル
・身体強化(これで貴方もマッスルバディに)
レベルアップ時DEX能力プラス値補正
レベルアップ時AGI能力値プラス補正
レベルアップ時上記能力値以外の成長を妨害
・楽しい経験値
行動内容によりランダムにレベルアップ
レベルアップ時の効果音
レベルアップ時のリシュエルの楽しい一言
レベルアップ時の効果音
・空間収納(大人の本の隠し場所として)
容量制限無し
防腐効果 劣化軽減
効果範囲半径十メートル以内
手に持っている物は収納出来無い
己の物と認識している物のみ収納可
取り出す際は一覧を参照
・魔の叡智(なんでぇ〜!?)
使用時の心の揺らぎよる効果大
人種特攻 魔法効果大
レベルアップ時INT能力プラス補正
・基本魔法(一人暮らしのお供に)
小々波 流の固有魔法
全属性魔法中級まで使用可
使用回数制限無し
心の揺らぎにより範囲威力増大
INT ーより制御可
レベルアップ時INT成長を妨害
・ー 判別不能 ー
運---捻-----ー判別不能ー
称号効果発生
・異界の無法者
空間収納効果範囲拡張
レベルアップ時 VIT上昇補正大
レベルアップ時 AGI上昇補正大
レベルアップ時 DEF上昇補正大
・魔王
基本魔法制御解放
心の揺らぎにより範囲威力増大
特定の魔物好感度上昇
視認範囲内威圧効果特大
神聖物理魔法特攻効果特大
終わった……名前の欄に魔王って……全部桃色お化けの所為だろおい!!
俺は桃色お化けが倒れている所まで歩き、腹いせに身に付けている装飾品を剥ぎ取り空間収納内に入れていく。
剥ぎ取り剥ぎ取る剥ぎ取り剥ぎ取る涙を流しながら。
「衣服以外は全部没収だこの桃色お化けめ!!」
巨乳神官ルトリアが目を覚ました時には女神と呼ばれたアルテラの姿は無く、ただの半裸の変態痴女と……汗を拭う俺が……佇んでいた。
「おっ、起きたかルトリア」
「ひぃいいいっ!? 神よお助け下さい!!」