8話 色々ありすぎる日々.5
「なんや他にも色々言いたい事はあるけど、流にーちゃんはいこれ。女王からのお手紙や」
手紙? 今の内容本題じゃなかっの? もう無理だって明日か明後日か明明後日かその先まで待ってくれよ休ませて下さい。
「いつまで休む気や仕事せい!?」
仕事って何だよ絶対面倒臭い内容だろこの手紙しかも封に何でハートマークが描かれているんだよ普通家紋入った蝋印押すだろ何気に香水の匂いも付いてるし良い匂いさせてんじゃねえよあいつあの女王ルシィ俺に何の恨みがあってこんなことしてくるんだそうだこれは夢だゆめなんだよし寝よう!!
「おやすみなさ────ぐへぇ!」
寝ようとしたらミルンが腹にパンチしてきたぞ、どうしたミルン一緒に寝るか?
「お肉……下さいなあぁぁぁ……約束」
ミルンの眼が過去一光を宿していませんこれはヤバいあの筋肉人形さんよりもヤバい。
良しっ、起きて肉でも焼きながら手紙見てみるかな行くぞーミルン、黒姫、ははははは。
「肉なのぢゃーいっぱい喰うのぢゃ!」
「おにくーおにくーやくそくのおにくー!」
一瞬で機嫌が良くなったな……危なかった。
「リティナはどうする、一緒に肉食べるか?」
肉の在庫は空間収納内に沢山あるからいっぱい食べれるぞ? なんならケモ耳っ子達も呼んでバーベキューにしようぜ。
「ならウチも行くわ。ニアと他の子も連れて行くさかい、庭でええねんやろ?」
ああ。人数多いから建物内じゃ手狭だし、バーベキューは外でする物だからな。
「ほな呼んで直ぐ行くから用意しといてや」
リティナが走って呼びにいったな。
それじゃあミルンを肩車して、黒姫は最近お姫様抱っこが良いんだよなっと、行こうか。
「いっぱいくるの?」
「みんなで食べるのぢゃ」
そうだぞミルン、黒姫。美味しい物はみんなで食べた方がより美味しくなるからな。
※
ケモ耳っ子達が俺の前に列を組んで並んでいる……友達と話をしながら待っている子や、涎を垂らしながら待っている子、お腹をさすって空腹を我慢している子など移住して来た総勢五十名のケモ耳っ子達が肉を待っているこの状況……炊き出しか?
おいリティナ。
「なんや流にーちゃん」
コレどう言う事だ?
「他の子も連れて来るゆーたやん」
他の子って孤児院に居たケモ耳っ子達の事だよな?
「んな訳あるかいな、街の子供達の事やで? ニアが連れて来てくれたさかいこれで全員や!」
「疲れましたぁ。でも皆んな良い子達ですよ、ちゃんと大人しくついて来たのでぇ」
なんでだよ!?
この人数だと一人あたり五百グラム食べるとして掛ける事の人数分足すことのミルンや黒姫と孤児院のケモ耳っ子達の分イコールで約三十キログラムって……普通に足りてしまう。
そういや王都から戻る前にルシィから貰った支度金で大量に肉買ってそのまま空間収納に入れたんだったな。
孤児院のケモ耳っ子達とこっちに戻る時の野営地で食べて、こっちに来てから数回のみと。
前居た商人──ネガリ? ネギリ? だったかな名前忘れたけどそいつが持って来た食材は村長経由でドゥシャさんが買って移住者達に配ってるし、俺が持ってる肉を使う機会無いから丁度良いのか。
「流君、またせたな」
遅いぞ村長、鉄板の用意を頼む。
「よお兄ちゃん! 助っ人にきてやったぜ!」
「すみません流さん遅れました」
いや、助っ人はありがたい。
頼むぞ、リスタ! アジュ!
「今回は私も焼くのを手伝いますので」
影さん、他の影さん達は? 諦めずにまだシャルネを捜索してるのか……大変だなぁ。
「私は何をすれば良い!」
レネアさんは影さん達と給仕係頼む!
俺は確認作業だな。
鉄板良し、脂良し、肉良し。
焼く係は俺、村長、リスタ、アジュで、給仕係が影さん、リティナ、ニアノールさん、レネアっと準備はこれで良いかな。
「ミルンと黒姫宜しくねドゥシャさん」
「畏まりました旦那様」
「どぅしゃもいっしょにたべる!」
「まだなのぢゃ? 早よ喰いたいのぢゃ!!」
二人のお守りはドゥシャさんに任せておけば安心安全問題無し。
「それじゃあ皆んな……覚悟は良いか」
さあケモ耳っ子達、焼肉食べ放題の時間だよ。