表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンが居る世界
131/314

7話 頭が可笑しい奴等達.6



「まったく全然知りませんお帰り下さい!」


 良し、今度は噛まずに言えたぞ!

 うぅっ、無表情で見つめて来るからやっぱり恐いぞこの筋肉人形さん。疑ってるのか納得したのか表情にだして下さいお願いします。


「そうですか、ご存知無いのですね。大変お時間を取らせてしまいました。申し訳御座いませんわ」


 嘘だろ今ので信じたの? やったよこれでその無表情フェイスから解放される。


「ですが困りましたわ、せめて原因が分かりませんと国へ帰れませんの。どなたかこの付近で起きた事、ご存知の方はおられませんの?」


 そこは俺じゃ無く村長に聞けよほらあっちに顔向けて、こっちを見るなよ何でだよここの責任者は村長だ!!


「確かに私は責任者と言える立場だが、流君、君は私の上役、相談役殿ではないか」


 村長、後でミルンの股間撲滅パンチをお見舞いするからな逃がさないぞ。


「一体何の話をしておるのぢゃ?」


「おとうさんがやっちゃ────!?」


 ミルンが言い終わる前に抱っこしている黒姫を離し肩のミルンを両手で掴んで前に倒し、逆さまミルンの出来上がり! 

 ちょっとミルンさんお口チャックでね!!


 後でまた焼肉するからお願いその事はあの筋肉人形さんの前で言わないでねと小さな声で伝えて腕を上げ肩に装着。およそ二秒の早業だな…ふぅ。


「危うく落ちかけたのぢゃ! むうぅぅ」


 さすが黒姫。しっかり俺の腹を掴んで落ちるのを阻止したか、すまんすまん撫で撫で。


「許すのぢゃのぢゃー」


 黒姫は本当に頭撫でられるのが好きだな。


「それで、どなたかご存知の方はおられませんの?」


 なんで俺に聞く、知ら無いぞ。誰がどこで何を見たかなんて知ら無いし、光の柱だとか隕石なんて俺は知らん!!


「そうですの、ご存知で無いのですね。それで、隕石とはなんですの?」


 村長がまた頭を押さえて溜息を吐いた? 

 ドゥシャさんは天井を見上げてる?

 んっ、俺なんて言った…煙? いん…せき…はっ!? ヤバい誤魔化さねば!!


「いや、なんか遠くから隕石? 岩? が落ちて煙が上がったのが見えたんだよーそこで気になって見に来たら湖が出来てたから開発しようって話になってだからここ建築中の家屋が多いだろって事だから俺は何も知ら無いんだー」


 はぁっはぁっはぁっ、どうだ…誤魔化せたか…無表情過ぎて分からん。


「あの湖なのぢゃ? 我が出てきた所かや?」


 黒姫が出てきた所? そう言えば黒姫って湖から出て来たよな…囮にしてみるか?


「そうだぞー黒姫。そう言えば黒姫の種族って何だったかな?」


 さあ言え! いつもの笑顔で自信満々に!!


「魔王は忘れっぽいのぢゃ! 我は古き高貴なる龍、魔龍なのぢゃ!!」


 のぢゃ!! っと俺に抱っこされたまま踏ん反り返るが角っ子幼女が偉そうにしている姿にしか見えないっ、悔しいが可愛いだけだ!!


「龍……魔龍ですか。それならマナグ製の大剣が折られたのも納得ですわ。あの光の柱も、煙も、その魔龍が関係しているのかしら」


 奇跡だ、奇跡が起きたぞー!!

 良く分からないが黒姫有難う! お陰で上手く誤魔化せたよ。後でミルンと肉をいっぱい食べさせてあげるからな!


 これで一安心。


 そう思っていた。うん本当に安心しきっていた。防音完璧のこの屋敷、ある意味欠陥だよね? だってバキッイッ!! って音たてて扉を壊して入る侵入者────


「おどりゃあ流にーちゃんはここかぁあああ!」


「バラしに来ましたよぅ流さーん」


────命に関わる危機が迫ってるのに外の音聴こえないもの。


 目を血走らせながら、リティナとニアノールさんが乱入して来た。


            ※

 

 地震による怪我人を治療し終えた聖女リティナと護衛のニアノールは、いそいそとマッスルホースに繋がれたコンテナへ物資を詰め込んでいた。


「うっひゃっひゃっひゃっ!! よーやく流にーちゃんに会える準備が整ったでー楽しみやなーニア!」


「そうですねぇリティナ様。馬車の中でしっかりとナイフの手入れをしないとーうふふふ」


 眼に光が無く、抱く感情は唯一つ。


「お主等、余りやり過ぎるでないぞ。殺す事はいかんが、痛め付ける事ぐらいなら儂が許可しよう。じゃが、ちゃんとその文も届けるのじゃぞ」


 女王であルルシアヌ・ジィル・ジアストールみずからが見送りに来ていても全く反応しない二人に若干の恐怖を覚えながら、しかし伝えなければならない事がある為なんとか堪える。


「聖女よ、未だ王都は復興中なれど防備は万全じゃ。しかし隣国、特にラクレル村に近い国、アルカディアスには注意しろと流やヘラクレスに伝えよ。良いな!!」


「わーっとるわ女王!! 煩いねん!!」


「分かっております陛下、黙ってて下さいねぇ」


 このままコイツ等を行かせて良いものかと考えてしまう女王だったが、この場から早く去りたい一心で何も言わずただ二人の出発を見送る。


「よっしゃー準備完了や! ニア、早よー乗りやいくでぇええええ!!」


「どうぞリティナ様! いつでも行けます!!」


 以前のマッスルホースからキングマッスルホースを超え、エンペラーマッスルホースへと進化を果たした二頭の化物筋肉馬が走り始める。


「行けや馬共ぉおおお! ラクレル村へ突撃やぁああああああああ!!」


「速く行かないと捌きますよぅふふふ」


 二人の殺気がエンペラーマッスルホースを刺激して、大地から巻き上がる砂嵐を後に、ラクレル村へと爆速で向かって行った。


「儂に、挨拶もなしかの?」


 既に遥か遠くまで行ってしまった馬車に、女王の言葉は届くわけが無い。


「うひゃっひゃひゅ!! この速さなら直ぐ着くでぇえええ流に───ちゃ───ん!!」


「もっと速くならないんですかお馬さん? うふふ」


 ヒッ!? ヒヒィイイイイイイインッ!!

 ヒヒッ!? ヒヒィイイイイイインッ!!


 魔物の集団すら軽く蹴散らすエンペラーマッスルホースでも、この二人に逆らえば終わると理解して全力で休む事なく走り続けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ