表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界とは愛すべき者達の居る世界  作者: かみのみさき
二章 異世界とはのぢゃっ子ドラゴンが居る世界
129/318

7話 頭が可笑しい奴等達.4



 何だよあの金髪少女。脚の鎖を力だけで引き千切って影さん達一蹴してるしマジで化物じゃん。汗一つかいてないし無表情のまま瞬きせずにって────


「影総員でかかりなさい!! 命令です!!」


────ドゥシャさん殺る気!?


 黒姫を囲んでいた影さん達が全員纏う雰囲気を変え、金髪少女に向かって行く。その手には各々、ナイフ、剣、斧、弓、籠手、鞭、針、黒姫など様々な武器持ち、金髪少女の命を絶つべく振り下ろされ──っん? 黒姫が振り下ろされ、金髪少女が初めて感情露わに腕で防ごうとするが、その鋭利な角が金髪少女の肩に刺さり、更に、黒姫をその肩から引き抜いて、金髪少女の顔面に黒姫の硬いデコをぶち込んだ。


「のぢゃぁああああああのふぶっ!?」


 黒姫を武器扱いするって何やってるのあの影さん馬鹿じゃないのか? いや、ある意味天才か? 黒姫を金髪少女の顔面にぶち込んだままの体勢で残心してるし頭可笑しいんじゃ無いの? 


「おーい黒姫さんやーい。手足バタつかせてのぢゃのぢゃ言ってるから大丈夫そうだ」


 うぇ!? 変な声でちゃったよ…笑ってる。あの金髪少女笑ってる? 無表情なのに声だけ笑うって怖いよ!?


「ふふふふふ痛いではないですか、こんなにもか弱い私を複数で囲んで暴力だなんて酷いですわふふふふふ」


「のぢゃ!? こやつ恐いのぢゃ恐いのぢゃ! 離さぬか黒いの!! 押し付けるで無いのぢゃこやつ恐いのぢゃ!?」


 金髪少女の顔面にめり込んだままだから黒姫が一番近くであの声聞いてるんだよな、そりゃ恐いよ。ミルンなんか耳をペタンってして手で押さえて尻尾丸めて…可愛い。


「おー凄い、簀巻きにされていくぞ」


 影さん達は、金髪少女の腕、脚に、手に持つ得物を撃ち付け刺して動きを封じ、そのまま荒縄? 紐? で金髪少女の身体をぐるぐる巻きにしていったけどーなぜ縄? 強度大丈夫?


「あの縄は竜の髭と云われる物に御座います旦那様。オーガ十体分の力に耐えうる強度を持っておりますので、御安心下さい」


 オーガ十体分の強度…と言うことは、あそこで簀巻きになっている金髪少女の力はオーガ十体分って事だよな。


「よもや人に使う日が来るとは思いもしませんでしたが、やむ得ないかと存じます」


 それ程の化物って事ね、あの金髪少女。


「殺戮人形じゃ無くて筋肉人形に名前変えたら良いのに」


 金髪少女に話す機会が有れば、筋肉人形と呼んでみよう。

 話す機会が有ればだけど。

 ミルン、もう大丈夫だからなー肩に乗っておくれ落ち着かないんだ。


「おわった? のる!」


 鼻をスンスンさせながら俺をゆっくりよじ登るこの安心感…ドゥシャさんは怪我してるから抱っこ出来ずに残念そうだなふははは!! これで一安心かなぁ。


「我の事忘れるななのぢゃぁあああ!!」


 解放された黒姫が涙目になりながら走って来たよお疲れさん、はいはい抱っこだな。


            ※


「以上、報告終わり! じゃあな村長あとは宜しく。ミルン、黒姫、次の木を植える場所を探しに行こうぜ!」


 ミルンを肩に乗せ黒姫を抱っこして、さあ次の候補地へレッツゴーだよ逃げましょう!!


「待ちたまえ流君! 君が居てくれないとシャルネ嬢が話をしないと言っているのだから逃げるでない!!」


「えっ? 嫌だよ。こんな狭い一室に影さん達がミッチミチに詰まってて簀巻きの筋肉人形さんが椅子に座ってこっちを無表情で見つめてくる部屋に長居をしたく無いと言うか何で見てくるのこの筋肉人形さん?」

 

 あの後影さん達に簀巻きにされた筋肉人形さんはそのまま屋敷へと連行。この街の代表である村長の前で座らされ、事情を聴こうとしてるのだけど────


「そちらの殿方とお話したいのですわ」


────と俺を見つめて意味不明なんですこの筋肉人形さん。俺に惚れたのかい? 御免な、俺は普通のケモ耳女性が好きなんだ諦めてくれ。


 影さん達は殺る気を出したままだしと言うか一人だけずっと筋肉人形さんの首元にナイフ当ててハァハァ言ってる影がいるけど絶対お前だろ黒姫を武器にした影は。お前だけは影さんじゃ無い、唯の影と呼ぶからな若しくは狂人だ。


「お逢いした時にお伝えしたでは無いですか。貴方にお尋ねしたい事がございますの」


「おとうさんにぶきむけた!」

「我の頭を剣で叩いたのぢゃ!!」


 そうだよお前いきなり俺の脚をチョンパしようとしたじゃ無いか。ステータス低かったらマジでさようならしてたぞ俺の脚。


「だって逃げようとなされましたので、お引き留めした迄ですわ」


 引き留め方が最早病んでるんだよなんだよ何その気に入らないから首チョンパみたいな考え方は。頭は病んでて身体はオーガ、しかしてその正体は──筋肉人形シャルネ御嬢様って何その面白生物、面倒臭いわ!?


「面倒臭いなぁ…筋肉人形さんが俺に尋ねたい事ってなんだよ」


 おっ、今瞬きしたよね? 急にどうした?


「どうしたんだ筋肉人形さん?」


 こんどは眼をくわってしたぞ? 何だ?


「先程から仰られている筋肉人形さんとは、一体どなたの事を仰られていますの?」


 お前しか居ないだろ筋肉人形さん。

 おいどうした筋肉人形さん? 何その信じられない者を見た様な眼をしてどうした筋肉人形さん。尋ねたい事があるんじゃ無いのか筋肉人形さん? おーい眼を逸らすな筋肉人形さん。両手で顔を隠して震えてどうした筋肉人形さん。


 何泣いてるんだ? 筋肉人形さん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ