6話 この木何の木? 世界樹ですが.2
屋敷を出て行こうとしたら久々に影さんとレネアが素晴らしきかなケモ耳っ子達と戯れていた。
「おはよ影さん、レネア。ケモ耳っ子達も何か久々に見た気がするぞ」
ミウちゃん、メオ、モスク、ラナス、ノリス、コルル、ラカスだな。
「ノーインと…モンゴリ君はどうした?」
狐っ子男子と変態っ子が居ないな。
「二人ならば冒険者になる為ギルドで講習を受けています。モンゴリはまだ六歳なのですが体格が既に大人である事と、本人の希望で行かせております…彼なら大丈夫でしょう」
「私が鍛えてるからな! 野良オーガならモンゴリ一人で倒せるよ!!」
何してんのレネアさん!? モンゴリ君ちょっと見ない間にどれだけ成長したんだよ村長二号か!? 筋肉二号になるのか!?
「そんちょまだおしごと?」
「みにいっていい?」
村長大好き犬耳ミウちゃんとハム耳メオが聞いて来るよ可愛いなぁ撫で撫で。
「村長のとこ行っていいぞ俺が許可する。ドゥシャさんも居るから静かにだけどね」
わーい! と屋敷の中へ入って行ったな。村長もドゥシャさんも癒されてくれモフモフに。
「俺達はちょっと見周りに行って来るから、ケモ耳っ子達また後でな」
影さんとレネア、ケモ耳っ子達が行ってらっしゃいと送り出してくれた。めっさ嬉しい何この気持ち。
それにしても、ミルンと黒姫やけに静かだぞ? どうした? あぁまだ眠いのか。
俺の頭にミルンが手を乗せ枕にして寝てるし、黒姫は俺の背でのけぞって口を開け、ミルンの尻尾をムグムグ甘噛みしているな。
「そのうち起きるか…娘が二人なぁ」
嫁はどこに居るのやら…居ないかなぁ。
※
「おとうさんによめはまだはやい!!」
起きて話をしたらミルンに胸を抉られましたよ何早いって俺三十五のおっさんだよ?
「嫁は百歳超えてからなのぢゃ!!」
それ俺死んでるかヨボヨボのお爺ちゃんになってるぞ黒姫さんや?
「大丈夫なのぢゃ! 我の血を飲めば若返る故、魔王は死なぬのぢゃ!!」
えっ? 黒姫の血って若返りの効果あるの?
「我が死ぬなと命じぬ限りただの血ぞ? そんなお薬発見みたいな眼で見るで無いのぢゃ!!」
そうなのか残念。まあ俺はゆっくり爺になって、ミルンと黒姫や皆んなに看取られて死にたいから、寿命超えて長生きは要らないかな。
「そんなこといっちゃだめ!!」
痛い痛い御免よミルン。まだ先は分からないからな。今を楽しく生きるだけだ。
「全く乙女心が分からぬ魔王なのぢゃ」
いや、お前乙女にはまだ早い幼女だからな。
「そんな未来の事は置いといでだ、どこに植えよう樹木さんだなぁ」
行けども行けども石畳、建築中の家々が埋め尽くし、職人さんの声が彼方此方と響き渡って忙しそうにしているな。空き地を発見したと思ったら看板があり、馬車停留所と俺が考え伝えた案の一つが障害になってるよ…駄目だ。
試しに歓楽街予定地を見に行ってみたけど。
「既に営業しているっ…だと!?」
まだ陽も明るい内から猫耳犬耳獣耳、お胸に目線が行っちゃうよ? 身体がくねっとしなやかにお尻の尻尾で招いてる。虎耳羽っ子悪魔っ子、皆んなが客引きしているよ。俺は脚を前に出し、走り始めて頭を引っ張られ、背中を小突かれ地面に倒れ、ミルン黒姫激怒だー。
「お父さん、ここは駄目」
「魔王は節操無しなのぢゃ!!」
ミルンが顔を近づけて甘えた声では無く平坦な声で静かに俺に注意をして来たよ…こんなミルンは初めてだ…ちょっと恐いぞ。
「黒姫、俺は節操が無いんじゃない。ケモ耳女性のあの姿を良く見るんだ!! 素晴らしいじゃ無いかぁあああああああ引き摺るな待つんだミル──ン!?」
俺はミルンに脚を掴まれ、どこにそんな力が有るのか引き摺られながら歓楽街を後にする。
歓楽街のケモ耳女性がくすくすと笑い、手を振っていた。
「何を泣いておるのぢゃ魔王」
いつか! いつか必ず! 俺は行く!
あのパラダイスへ!!