4話 異世界のお勉強.3
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「これが、を、でこれが、ん、だな良し」
文字は案外何とかなりそうだ。最初はドゥシャさんに貶されて何かに目覚めそうだったが、喋れてるのなら後は文字を並べて、どの文字がどの言葉になるのかを書き出せば良い。
なんか当たり前に紙使ってるけど、貴重品じゃないのか紙って。こんな質感の紙どうやって増産してるんだ? いや、後で考えよう今は文字だなドゥシャさんがこっちを見てくるし。
「ほいドゥシャさん。一通り書いたぞ」
子供の頃に勉強で使っていた漢字練習ノートを参考に文字一覧を作成して、それを雛形に別の紙に自分の名前やら国の名前やらを書き写したぞ簡単じゃん。
「この短い時間に…御見事です旦那様」
そりゃそうだ。伊達に三十五年も生きてませんよ。でも文字一覧が無いと読めないし書けません無理です取り上げるなよ。
「旦那様。この文字の一覧を増産しても宜しいでしょうか」
良いぞーと言うか今迄無かったの?
「はい。子は親から言葉を学びますが、文字の読み書きは学舎で教わりますので」
孤児や獣族は学べる環境に無かったと。
確かに、ここで文字を教わっているケモ耳っ子達は移住してきたケモ耳っ子達ばかりで影さんの孤児院に居たケモ耳っ子達ここには居ないもんな。影さんがしっかりと教えていたのか。
「おとうさんもうおわったの?」
「我はまだなのぢゃ! 早いのぢゃ魔王!!」
ふははは大人を舐めるなよ俺はもう終わったぞふははは?
ドゥシャさんが何か渡して来たよ? 何これドゥシャさん。
「この街の決済書に御座います。文字が読めるのなら此方を確認して頂き、承認頂きたく存じます。ヘラクレス様は出かけておりますので」
俺相談役よ? 決済権無いよ? 有るの?
「相談役とはヘラクレス様より上位のお方にて、決済の権限は御座います故」
「僕文字読めないよーぅ。それじゃあ復興具合でも確認して来まっ…見るなよ分かったよ!!」
ミルンや角っ子、他のケモ耳っ子達の可愛い視線が突き刺さり逃げるに逃げれぬこの状況。作ったのは貴女ですよねドゥシャ先生。
「それでは此方に、執務室へご案内致します」
調子に乗るんじゃ無かった…。
働きたく無いよぅ。
※
それでここが執務室と。
何々、移住者名簿に建築費用概算と、冒険者ギルドの立上げ申請書に商会の申請書等々。山積みの書類だからけだね村長何もやってなくね?
「言い難い事なのですが、ヘラクレス様は書類を見ますと直ぐに半裸となり運動し始めて…出来うる範囲で私が執務を取り仕切っておりましたが…流石に決済となりますとヘラクレス様か旦那様しか出来ませぬ故、何卒お願い申し上げます」
頑張ってやってると思ってたのにあの筋肉帰ってきたらミルンの股間撲滅パンチと角っ子の角ドリルを尻に刺してやる!!
「ドゥシャさん。住所録とかどこにあるんだ?」
可愛く首を傾げて何ですかそれはって、おい巨乳さんそこからですか!?
「はぁ…溜息でちゃった。ドゥシャさん、俺が今から言う事を書き出して即実行な」
ドゥシャさんがピシッと背を伸ばし、畏まりました旦那様と言うけど、大変だぞこれから。