4話 異世界のお勉強.1
「では皆さん、こちらの文字を書き写していきましょう。旦那様、文字は丁寧に、正確に書いて下さいませ」
眼鏡メイドに変身したドゥシャさんが俺に注意をする。
周りにはミルンを含めたケモ耳っ子達が机を前に文字の書き取りをしているが、大人は俺一人だけだ。
「旦那様、そこはこの様に書くのです。先程もお伝え致しましたが?」
俺の書いている文字を指でなぞりながらまた注意してきたよ。何が違うの? 俺の文字変かなぁ。
「おとうさんのもじへん!」
「まおーさま文字書けないの?」
「うっそだー魔王なのに!」
「今までどうやって生きて来たんですか?」
「ばかまおうだ!」
「馬鹿魔王なのぢゃ?」
おい今馬鹿魔王って言ったの誰だ? 俺は文字を知らないから書けないだけだぞケモ耳っ子達と同じだ。だから決して馬鹿では無い!! ステータスの知力は低いけどね!!
「皆さん、人の事を悪く言うのは感心致しませんね。他人の振り見て我が振り直せと言う様に、旦那様のように成らぬ為に、努力を怠ってはいけませんよ」
ん? 俺今ドゥシャさんにも馬鹿って言われた様な気がするんだけど違うよね? 馬鹿とは言っておりません? だよね!!
「馬鹿って言って無いだけだよな!?」
なんで…こんな辛い目に。
【4話 異世界のお勉強】
ゆっくりと眼を開ける。
テントの隙間から光が差し込み、テント内の温度が上がり若干暑い。
いつもならミルンが起こしに来る時間なのにいくら待っても腹に衝撃が来ないけど…重さは感じるな。腹の上に何が? と視線を腹に向けると。
「なにこれ可愛い」
俺のお腹の上にミルンが寝そべり、ミルンの背中に角っ子がしがみついて涎が凄いでてる。
そっと俺の腹から横に転がして、あっ…角っ子ベッドから落ちたぞ大丈夫…だな。のぢゃのぢゃ言いながら床に角刺して寝てるわ。
ゆっくりと背伸びをして、テントの外へ。
冷えた空気が心地良いな。
さて、今日は何をして過ごしますかね。そう言えば昨日角っ子が今何年なのぢゃ? とか言ってたな。何年と言うか暦とか気にする事無かったし、ドゥシャさんか影さんに、この世界の事を色々聞いてみようかな。
「のぢゃ!? 起きれぬのぢゃ! 誰ぞ居らぬのか助けてなのぢゃ!!」
床に刺さってた角っ子が起きたな。
「なにしてるの? ぬいてほしいの? しかたないなぁ、ん────っえい!!」
テントの中からズボッと音が聞こえたぞミルンが角っ子を抜いてくれたのか。
「おはよう、おとうさん」
目を擦りながらテントから出て来て俺に挨拶して来たよ昨日の不機嫌さは無くなったな。
「頭がくらくらするのぢゃぁぁぁ」
右へ左へとふらふらじゃないか危ないな。
ほれ、二人共こっち来なさいな。今日はドゥシャさんと影さんに話があるから、屋敷の中で朝ご飯を食べよう。
「ごはん!!」
「食べるのぢゃ!!」
ミルンはご飯と聞いて眼がくわっと尻尾振り振り、角っ子は背中の小さい羽がパタパタと揺れて二人共御機嫌だ。
朝ご飯、何にしようかなぁ。