2話 この子誰の子元気な子.5
熱した鉄板に豚野郎の油が跳ねて香ばしい臭いが空気に溶け込んでいく。焼いては無くなり焼いて無くなり焼いては無くなりを幾度繰り返せば終わるのだろうか。
「なんで肉焼くの俺だけなの!?」
移住者だけで百八十名と孤児院から来たケモ耳っ子達に俺達を含めた総勢二百名弱が肉を平らげていくぞ誰か手伝ってよ!!
俺は四方を鉄板で囲まれて逃げ場を無くされ、空間収納から肉を出してはタレをつけ焼くを繰り返しながら懇願しているよマジで辛い。
「おにくモゴモゴおとうさんのやくめ! おいしぃモゴモゴ」
ミルンや、可愛いほっぺが膨らんでますよ。
そうだね、お肉は俺の役目だねって誰が決めたんだ? そうか村長かあの筋肉ぅううう!!
まあ、でも移住して来たケモ耳達も来た時とは違い、まだぎこちないが笑顔で肉食べて酒呑んでいるからやった甲斐はあるよな酒呑みてぇ。ちょっとそこのミルンさんや、あの飲み物を持って来てくれませんかね? 臭いが嫌? 見てくれよお父さん自分で取りに行けないんだ。分かった? 有難う我が娘よ!!
「はいおとうさん!」
「有難うミルン! んぐぅ、んぐぅ、んぐぅっぷはー!!」
全く冷えてないし味も雑だが美味いよーうミルンさんもう一杯!
「のみすぎはだめ!」
まだ一杯しか呑んで無いのに一気にのんじゃったのに村長は樽ごといってるのに駄目? 尻尾を膨らませてるから本気で言ってるなぁ…従いますよ娘の言葉だからね!!
影さんとドゥシャさんいつの間にか仲良くなってるよ、ミルンに近づいて食べさせ始めたしミルンの頬っぺたが更に膨らんでいく可愛いなぁリスさんかなリスさんだよね?
リスタとアジュ、レネアは相変わらず面倒見が良いな。肉食べながらもケモ耳っ子達をしっかりと見守っているしねぇ羨ますぃ。
さてさて、湖から出てこい角っ子? 幼女よ。その時が貴様の最後だふはははははは! 宴会だぞ皆んにゃあ! 騒げや踊れぇえええははははは!!
俺こんなに酒弱かったかなぁ何か楽しくなってきたぁああああああ!!
※
むぅ…もういいかのぅ…いやまだかのぅ。
お腹が空いたのぢゃ。
ちょっとだけ、確認してから行くのぢゃ!
そーっと、そーっと、水音を立てずに。
のぢゃ? あそこに居るのは先程の新鮮なお肉なのぢゃ!! 今がちゃんすなのぢゃ!!
「がぽぽちゃぽぽっのぢゃ!!」
走るのぢゃ! 走るのぢゃ! 気付かれる前に食べるのぢゃ! もう少しっなのぢゃ!!
のぢゃ?
「あそーれほいっ! ほぃ! そぅらほぃ!」
何を…しているのぢゃ?
「おら村長もやれやぁあああああ! あほぃ!」
お主ら何をしておるのぢゃ?
「仕方ない! ふんぬぅはああああああ!!」
恐いムキムキまで何をしておるのぢゃ?
「はっはっは良いぞー魔王ぷあっはっは!」
「きゃあああ! チラッ、きゃあああ!」
「二人して何やってんだ! もっとやれー!」
なぜ皆笑ってるのぢゃ?
「あっ、さっきの子だ!」
「まおーさまーさっきの子いたよー!」
気付かれたのぢゃ!?
ここまで来てお預けは嫌なのぢゃ…のぢゃ?
「のぢゃぁあああああああああああああ!?」
全裸のムキムキと魔王が笑って走って来るのぢゃ嫌なのぢゃ恐いのぢゃ助けてなのぢゃ嫌なのぢゃムキムキ魔王嫌なのぢゃ!?
「のぢゃっふ!?」
「はっはっはっ捕まえたぞぉおおおおお!!」
「もう逃さねぇよ角っ子ちゃああああん!!」
ぎゃあああああああああ全裸ムキムキ魔王が誰か我を助けるのぢゃあああああああ!!
ピンポンパンポーン(上がり調)
レベルが1上がりました(ムキムキ魔王恐!?)
ピンポンパンポーン(下がり調)
何か久々にレベル上がった気がするけど俺と村長を合体させるな気持ち悪いわ!?