プロローグ
とりあえずこの状況を整理しよう。
月明かりが照らすこの場所。
長く愛用している赤色ジャージOK。
長く愛用しているスポーツシューズOK。
レジ袋不要の買物用リュックOK。
右見て先が見えない森。
左見て先が見えない森。
上見て空が見えてるな森。
下見て鬱蒼と草。
草、草、草。
はい、10秒数えましょうーーーーーーーーーー
「さぁっ皆んなも一緒にっ! ここは何処ですかああああああああ──────!?」
心の中では、『ヤッホ──っ!』
などと叫んでは見たものの、何も変わらず。
ただ一人、静かな森で、ぼっちです。
何故に森?
「俺今、スーパーから出て来たよな……夢?」
なーんて、森で大声を上げた後に、のんびりしてるお馬鹿さんなんです。
気付けよって話だよね。
森だよ森。
野犬とか、熊とか、色々居るし、アイツら夜でも元気だからね?
そんな事を思いながら、ぼーっとしていたその時、背後から、草木を掻き分ける音が、凄い速さで近付いて来た。
────ドズンッズンッズンッ!
その足音は、辺りに鈍く響き、『人生初! 殺る気満々殺気全開!』の圧を感じて、足が勝手に動き出した。
これが、生存本能ってヤツですか?
はい、そうですね!
────ズンッズンッズンッ!!
「そりゃあ森だもんね! 森で叫んだら駄目だよね! あぁ何かスマイルで涙でてきたよ!」
────ズンッズンッズンッ!!
全力疾走フルMAXっ!!
俺は何から逃げてるのかなあああっ!?
止まったらっ、死ぬのは分かるっ!
けど何なのマジでぇっ!
「はっはっはっふっふ──っ!」
とりあえずっ、木の間をジクザクにっ、チラッと後ろを見てみます──っ!!
ズンッズンッズンッ────『プギャアアアアアアアアアアア──ッ!!』
ハイッ来てます!?
なんか二足歩行のでっかい豚が来てます!?
めっちゃ涎垂らしながらっ、笑顔でオノ持って来てます!?
「オークさん!? あのファンタジーあるあるの豚野郎!?」
いや、雌だったらごめんなさぁあああぃっ!
豚野郎(仮)の投擲。
顔面スレスレで右横の木に激突。
木がへし折れた。
豚野郎(仮)が悔しがっている。
「なぁんてなっ! あっはっはっは──っ、死ぬうううううう──っ!?」
ピンポンパンポーン 上がり調
レベルが1上がりました(微笑)
ピンポンパンポーン 下がり調
「はぁ!?」
何!? 何なのこの状態で!?
古!? アナウンス古!?
というかなんか笑ってたよね!
レベル? レベルかぁ……って!!
「今それどころじゃ無くねえええ───!?」
『プギィイイッ! プギャアアオヴァヴァ!』
あっやばい。
めっちゃ近づいてる。
鳴き声雄と言うか渋い漢!?
「はっ、はっ、はっ、あぁーヤバいっ、無理っ、息っ苦しっ、脚がっ上がらっ!」
どれ程走ったのか。
息苦しさと只々よく分からない恐怖で頭が回らない。
後ろが気になるので、再度チラッと見てしまう。
前を見ずに、チラッと見てしまった。
豚野郎(漢)が、オノを振り上げている。
「またっ、投げる気かっ!」
そう思い、腰を低くし、前を見て、知らぬ間に、地面が無くなる。
流、心の一句。
夜空が輝いて見えるぜ。
「ははっ……」
さあ皆んな、森って知ってるよね。
森がある所の大半は、山って僕は思ってるよ。山って上がれば下れるよね。
でも時には上がっても下れない事もあるんだ。森ってね、途切れる事もあるんだよ。
そんな時はね、こうなっちゃうんだ。
ピンポンパンポーン 上がり調
レベルが1上がりました(合掌)
ピンポンパンポーン 下がり調
「落ちるんだよねえええだからそれ今じゃ無くねええええええ──────!!」
闇に落ちていく中で、豚野郎(漢)の鳴き声が遠くなっていった。
11/7 加筆修正!!




