マスメディアとギャラの話【実体験】
文学とは縁もゆかりもない別のジャンルで活動していた私は、いくつかのマスメディアに取材を受けたり出演させてもらったりした。
とはいえ、ノーギャラである。
紙媒体はまだよかった。
当時はweb記事が今ほど主流ではなかった。記者とカメラマンを兼任した人が私の地元まで来てくれたのだが、「 お前に興味はないが仕事だから 」感を漂わせながら淡々と取材をはじめた。
内心、なんだコイツ? と思わなくもなかったが、掲載された記事を見るとまあこれが見事なもので、めっちゃ持ち上げて良い書き方をしてくれた。さすがはプロである。
FMラジオはきつかった。
私は現在内戦中の某地方都市に住んでいたため、放送局まで夜行バスで向かったのである。自腹で。もっぺん言う。自腹で。
FMラジオは何回か取り上げてもらい、番組内で私専門のお便りコーナーまで作って貰えたほど優遇された。なお、そのコーナーは応募が少なすぎて速攻で打ち切られた。
案外知らない人もいるので言っておくが、FMラジオは地方放送であり全国区ではない。仮に東京のFM番組で放送されたとしても、当時聞けたのは関東の人だけなのだ。
つまり、私の地元では一切流れなかったのである。
似たような話として、当時運営していた自分のサイトに掲載していた作品が某国でバズったらしく、毎日数万単位のアクセスが殺到したことがあった。
最初は喜んでいたが、自分の知らないところで価値観の違う人たちが大騒ぎしているのである。エゴサーチすると「呵呵呵呵」という文字が目立つので基本的に笑われているらしい。
微妙に怖かったので、鎮静化するまで人に言わず大人しくしていた。いや、本当に怖いんだよ。数字は暴力だよ。あと借りてたサーバーから警告を受けた。
……で、それらが自分のキャリアとして役立ったかと問われれば、いや別にと答えよう。プロである以上お金にならなければ無意味だし、そもそも知名度は大して上がってない。
だが、思い返せば当時は注目を浴びたい一心で、あの手この手を駆使していた。必死だった。恥ずかしくもあり、楽しくもあった。
今、なろうで当時と同じような体験を味わっている。ランキングだ。上位に入って注目を得られればうれしいし、不評な作品は憤慨しつつも、それはそれで楽しかったりする。ただ、悲壮感はない。だって仕事じゃないから生活困らんし。
思えば感想やレスポンスも当時と比べて桁外れに良い。
制作に半月、調整に何か月もかけた作品が、何年も無反応で淡々とダウンロードされていたあの頃より、ぶっちゃけ一時間もかけず気ままに書いた作品が、わいのわいのと感想が貰える今が最高じゃん。
なろう最高。
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「拝啓 エタりそうな作者様、エタが嫌いな読者様。これがなろうの現実です。」
作者: 応援されたい作者 先生
https://ncode.syosetu.com/n4624eq/
怪物だ。怪物がいる。名前に騙されてはいけない。この作者の他作品を掘って、そのガチな怪物っぷりを知るべきだ。もし打倒なろうを考えるなら、この作者の力を借りるべきだ。
本作を真に楽しむために重要なのは、データをもとに真剣に創作へ取り組むことよりも、あきらかに作者は面白がって書いてるだろうというメタ視点である。
感想欄に書き込む人々が真面目で愛らしい。かわいい。しかし私は作者を疑っている。これは膨大で有益なデータを武器に腹筋へ切り込む危険なコメディー作品だ。
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「『すげどう杯』という企画をやった結果の、主催者としての感想」
作者: あっちいけ 先生
https://ncode.syosetu.com/n7633fj/
まず、企画運営者および参加者は必読と言える。組織やシステムは先人の知恵をもって構築される。賢人がそれを記し、愚者はその名を語る。
それは一端置いて (置ける内容ではないが) 私が注目するのは作品としての圧倒的な面白さである。緊張感、生々しさ、尋常ではない。読者諸兄も一気に読んでしまったのではなかろうか?
リアリティは技術であると私は思う。創作に関して事実などテンションを高めるための道具に過ぎない。
誤解無きよう申し上げるが、この作品に嘘はないと私は確信する。
しかしひとりのクリエイターとしては、ファンタジー等の完全な創作においても、これだけの緊張感を出せる作品を書けるようになりたい。
本当に、本当に作品として面白かった。読ませた者が勝者、優れた作家であると断言できる。
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「数字の魅力〜そこにナンバープレートがあるから〜」
作者: ful-fil 先生
https://ncode.syosetu.com/n0138jw/
今さっき目にして、作品タイトルが気になったのと、作者名がかわいくて読んでしまったのだが、あるある。超わかる。
先日「 666 」のナンバーの車から上品なお婆さんが降りてこられるのを見て、実はこのお婆さま魔法が使えるとか……と妄想してしまった。マナーの悪い車に呪いかけたり。
そして作中ラストで書かれる高笑いのキャラクターが渋すぎる。これでハートを射抜かれてしまった。
なお余談だが、そろいのナンバーの高級車は絶対に関わらない方がいい。
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そろそろ更新が途絶えると思うが、すぐにシレっと戻る。本作は書いてて楽しいし、私なりに使命感もあるからだ。
途絶える理由は 漉緒 氏 である。彼が参考と称して、読み始めると止まらない長編小説を私に推薦したからである。あと、彼のブックマークも罪深い。名作多いンゴ……
けっしてリアル友人からもらったPS4のゲームが原因ではない。「ジャッジアイズ 死神の遺言」などというゲームなど知らない。聞いたこともない。キムタクェ・・・