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2・窮地の時

 ラウルがいつも通り登校し、教室に向かっていたその時だった。


「よお、落ちこぼれ。」


 ジンがアンディを含めたいつもの取り巻きを引き連れラウルの前に現れた。


「今日はお前に言っておくべきことがある、今日の午後の決闘学の合同授業の実技、俺とお前でやる事になったからよ。」


「!?」


 ラウルは驚愕した、決闘学というのは文字通り「決闘」について学ぶ授業だ、実技はクラスの中で二人の生徒に実際決闘をやるのだが、通常は教師が事前に選んだ二人の了解を得るものである、しかし、今回ラウルは一言もその事を聞いていないのだ。


「ちょっと待て、聞いていないぞそんな事!」


「俺が教官に進言したんだよ、お前が逃げないようにな」


「なっ……」


「教官も了承してくれたぜ、逃げ道を与えたらお前のためにならないってな。」


 ラウルは絶望した、恐らく家の力を使って教官を買収したのだろう。ジンはラウルをクラスメイトの前で痛めつけて楽しむつもりだ。


「お互い頑張ろーぜー! ハハハ…」


 ジンは笑いながら取り巻きを連れてその場を後にする。


「……」


 ラウルは拳を握りながら顔をしかめる、教師でさえグルになっている今の状況では絶望するしかなかった。



――――――――――



 二時限目、召喚術の授業、魔法陣でモンスターを呼び出し、契約を結んで従魔とする魔法だ。巨大なモンスターが呼び出される可能性を考え、校庭で行われている、すでに複数のクラスメイトが順番を終え、グリフォンやペガサス、ユニコーンなど様々なモンスターとの契約に成功している。そして、ラウルの番がやって来た。


「落ちこぼれの番か。」


「せいぜいゴブリンでも召喚できるといいな。」


「いやいや、スライムだろ。」


「てか、召喚出来んのかも怪しくね?」


 クラスメイトは嘲笑いながらラウルの様子を見る。


「静かにしなさい! 大丈夫よロックヴェルト君、リラックスして、想いを込めて。」


 眼鏡をかけた長髪の女性教官が生徒を叱り、ラウルに話しかける。ラウルは魔法陣の前で両手を翳し、目を瞑る。


(もうこんな人生は嫌だ……)


 すると、突然魔法陣が強い光を放ち始め、教官とクラスメイトが驚く。


「な……何だ!?」


(誰でもいい……)


 続いて、魔法陣に罅が入り始め、スパークが走る。


「こ……これは……まさか……」


 しかし、目を瞑って集中しているラウルはその事に気付いていない。


(助けてくれ!!)


 魔法陣は完全に砕け散り、闘技場が光に包まれる。


「……!?」


 ラウルが眼を開けると、表情が驚愕に包まれた、何故ならそこにいたのは―


「お、おい……あれって……」


 巨人をも上回る巨大な体躯、長大な尻尾、強靭な手足。


「まさか……」


 そのモンスターは、その体躯を包み込めそうな程の翼を翻す。


「嘘だ……そんな筈は……」


 その頭部には、一対の角を携えており、額には大きな傷があった。真紅の鱗と甲殻に包まれたその種族の名は―


「ドラゴン……?」

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