朝日のようにさわやかに編
『ちょっと! 耕一! 起きなさいよ!!』
なんだぁ? 朝っぱらから…
『うーん なんだよぉ ゆっくり寝させてくれよぉ 今日は日曜日だろぉ〜』
『あんたは毎日が日曜日でしょ! ほら、早く起きた起きた!』
そういうとおれに至福の時をもたらす掛け布団が剥ぎ取られた
『なんだよ 圭織かよぉ…』
『もう朝ごはん出来てるって! おばさんが呼んでるわよ!!』
『母さんが? てか、まだ九時じゃん もうちょっと寝る…』
『寝る…じゃないっっっ!!!!』
そう怒鳴ると圭織はおれを布団から引き摺り出す
『てか、なんでおまえがうちにいるんだよぉ いくら近所で幼馴染だからって毎日毎日起こしに来なくたっていいだろぉ〜』
こいつはおれの幼馴染の徳久圭織、大学生だ
それもおれのようなボンクラ高卒と違って東京大学文学部在席のスーパー女子
近所に住む幼馴染だが幼少期よりスーパー女子ぶりを発揮し、勉強はもちろんスポーツ万能で明るく性格も良い…らしい…
というのは、おれには性格が良いとは思えんのだ…
今日だってこうしてわざわざおれんちまで来て朝っぱらからイジワルされてるし…
『誰が毎日よ! 毎週の間違いでしょ!! 私だって大学あるから昔みたいに毎日なんて起こしに来れません!! そんな事は良いからほら起きた起きた!!』
『じゃあなんで毎週起こしに来るんだよぉ』
『あんた私が起こしに来なきゃ日曜だろうが祝日だろうが寝っぱなしでしょ!? そんなことでどうするのよ! 働きもしないで毎日毎日食っちゃ寝して! ロクな大人にならないわよ!!』
『もう成人してるから大人だよ』
『同学年なんだから知ってます! 余計悪いじゃないの!!』
『耕一〜 ご飯冷めるわよ〜』
『ほらほら、おばさんも呼んでるわよ!』
『わあったよぉ…』
おれはしぶしぶ起きることにした
グッバイ、マイ・布団…
『う〜 さむさむ』
階段を降りてリビングへ行くと焼き魚の香ばしい匂いがした
『ん〜 母さん今日はなに?』
『塩鯖と茄子のお味噌汁とほうれん草のお浸しよ』
『兄貴、やっと起きて来たか… 朝ごはんが冷めるじゃないの! さっさと起きてよね〜 圭織さんにまで迷惑かけてさ 妹として恥ずかしいわよ…』
『陽子ちゃん、私のことなら気にしないで 私が勝手にお邪魔してやってることだし』
『そうだよ… おれの至福のお布団タイムを…』
『あんたがいわないのっ!!!!』
三人同時にツッコまれたよ…
なんでおれの周りはこう小煩い女ばかりなんだ…
『ホントに耕一はどうしてこうなっちゃったのかしら… お母さん育て方間違ったわ…』
『………………』
『昔はもう少しましだったんだけどねぇ… 小中学生の頃は勉強だってスポーツだって圭織ちゃんと張り合ってたし 高校も圭織ちゃんと同じところに行けたっていうのに… なまじっか努力しないでもなんでも出来たもんだから、お母さん油断しちゃったのが悪かったのかしら…』
『まぁまぁ 過ぎたことを悔やんでも仕方ないよ それよりご飯本当に冷めちゃうよ?』
『あんたがいわないのっ!!!!』
また三人同時にツッコまれたよ…
もう、ヤダ… こんな生活…