二人でお茶を編
『よいしょ』
おれは家の前にある駐輪スペースに愛車のママチャリを停めるとママチャリの前カゴから荷物を取り、玄関を開けた
『う〜 さむさむ』
家の中は深夜なのもあって暖房は付けていなかったがそれでも寒さは外よりだいぶマシだ
帰宅したおれはさっそくコタツの中に入り、日頃から愛煙するJPSをくゆらせながらコーヒーを飲んで一服しようとしたが、その時だった
『兄貴、また夜食買いに行ってたの?』
どうやら妹の陽子がまだ起きてたらしい
『ああ、タバコ切れてたしなー』
おれはタバコに火を点け『フゥ〜』っと一服する
『タバコなんてやめなよ 身体にだって悪いし、ニオイはするしお金かかるし… そもそも親のすねかじりでタバコ吸ってるってどうなんだか…』
『うるさいなぁ タバコ代はおれの貯金で賄ってるだろ? いいじゃん タバコくらい気兼ねなく吸わせろよ〜』
『タバコ代は、ね 家に一銭もいれないでバイトで貯めたお金じゃない しかもいまはプーって… 妹として恥ずかしいよ』
『ホントうるさいね おまえ てか、母さんはもう寝たのか?』
『さっきお風呂あがって寝ちゃったよ もう一時だしね 兄貴もタバコ吸ったり夜食食べてないで早く寝なよ てか、さっさとバイトくらい見つけて来なよ 毎日毎日タバコ吸ってご飯食べてネットして寝るだけってどんだけ自堕落なんだか…』
『おまえこそ早く寝ろよ! おまえは高校生だから学校あるだろーが!!』
『明日は日曜だよ だからこの時間まで起きてるのよ 毎日が日曜日の兄貴と違ってね』
ぐっ… 相変わらず口の減らない妹だ…
おれは口喧嘩では敵わないのを悟り、灰皿でタバコの火を消すと五目幕の内弁当に取り掛かることにした
『これ食べたら寝るよ じゃあ、いただきま~す』
『ハイハイ じゃあ、お先におやすみ』
『おう おやすみ〜』
陽子は二階の自室で寝るため階段をあがっていった
おれはやっとゆっくり出来ると五目幕の内弁当を味わいつつコンビニのビニール袋に入ってるさっき拾った呪いの本をもう一度手に取った
『これ、どうすっかなぁ… まぁ、いいか そこらにほっぽっとくか』
手に取った呪いの本をその辺に投げ捨てると、おれは残された五目幕の内弁当をたいらげ、タバコに火を点けた
『う〜ん やっば食後の一服はうめぇ! 格別だな!』
ひとりでそう語ちるとようやく睡魔が襲ってきた
やはり夜食を食うと眠くなる
『さてと おれもそろそろ寝るかぁ』
おれはそうつぶやくと後片付けもそこそこに二階の自室で就寝する為、階段をあがったのだった