フリースタイルじゃんけん
先生は言った。
「人間は議論に行き詰まったりすると、じゃんけんという行為でどの案を採用するかを決めていたことが確認されている」
生徒たちは感動からか、感嘆している。
そして、我先にと手を上げて先生に呼びかけた。うちの一人が指名を受けて立ち上がる。
「その方法を用いれば合理的な選択をすることができるということですか」
先生は「フッ」と鼻を鳴らす。
まさに「よくぞ聞いてくれた」という風に。
「人間はじゃんけんを行う場合、合理性なんてものは無視するようにできているんだ」
「「「!?!?!?!?」」」
ざわめく生徒たち。もはや指名を待たずに口々に話し始める。
一人の生徒が立ち上がり、叫ぶ。
「じゃあ、そもそもじゃんけんという行為が行われなくても、結果なんでもいいというわけですか?」
「ああ、そうだ」
「じゃあ、そもそもじゃんけんで選ぶという行為自体が無駄ですよ!」
そうだそうだ!と生徒たちの威勢が膨らみつつある。
しかし、それを受ける先生はどっしりと落ち着いている。
「いいかい、諸君」
サッと生徒たちは静まる。
待っている。先生の次の言葉を。
固唾を呑む生徒と対象に、先生は昼間の猫のようにのんびりと教壇についた右手をあげて鼻頭をかく。
「だから人は滅びてしまったのだよ」
生徒たちは押し黙っていた。
ぼってりと重い沈黙だった。
最中、一人の生徒がおずおずと手を上げた。
「あの、そのじゃんけんというのはどうやるのですか」
先生はそれを聞き、手を顔の前に出した。
「手を使って表現した3つのアイテムで戦っていたようだが、私達の体ではできないのだよ」
生徒たちはそうなのか、と納得するしかなかった。




