表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/107

第53話 第2章 プロローグ ~大切なものを守れる強さ~


 外は騒々しかった。

 少女はドアを小さく開けて、そっと外を見た。

 たくさんの軍服を着た男たちが、こちらへ向かってくるのが見えた。


 あちらこちらの家から、悲鳴や大きな物音がする。

 ところどころ、燃えている家さえあった。


 男たちは、少女の家の方へも向かってくる。


 どうしよう?

 迷っている時間はなかった。


 少女は外に飛び出すと、男たちとは反対の方へと夢中で走った。


 村を抜けて、草原へと。

 後ろを振り返る余裕はなかった。


 しばらく走った後、ようやく一息ついた。


 再び歩き始めようとしたとき、前からゆっくりと一人の男が歩いてくるのに気付いた。


 やはり軍服を着ているその男が、無表情に少女を見た。

 少女はこわくなって、とっさに横の方へと逃げだそうとした。


 そんな少女に男が声をかけた。


「行くあてはあるのか?」


 抑揚のない、感情のこもらない声だった。


 少女はこわごわと男の顔を見る。

 初めて目があった。

 やはり、男は表情を見せずに、遠い目をしていた。


「いいえ・・・」


 少女がかすかに首を振る。


 男はしばらく突っ立って、少女をまるで値踏みでもするかのように眺めていた。

 少女は恐怖で、その場で身動きひとつできない。

 長い沈黙。

 それからようやく男が言った。


「もしも・・・もしもお前が『大切なものを守れる強さ』が欲しいのなら、ついてくるといい」


 そのまま男は、少女に背を向けて、また歩き出した。

 大切なものを守れる強さ?

 少女は、男の言葉を完全に理解したわけではなかった。

 それでも少女は男の後を追いかけた。


 今の自分が持っているものなど、なにひとつないと思ったから・・・。



第2章 スタート!


まずはプロローグですので、かなり短め…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ