第43話 初めての恋はパフェとコーヒーと絶望の味がした…(1)
まだ10歳だったセシルは、銀貨1枚握りしめて、1人で町に来ていた。
町にはいろいろなお店がたくさんあって、セシルが今までに見たことがないほどたくさんの人がいて…。
目にするなにもかもが新鮮で、セシルは楽しかった。
セシルはいつも最初に持っている銀貨で、アイスクリームを買った。
おばさんは、おつりをたくさんくれるので、まだまだお金は残っている。
そこで、セシルはアイスクリームを食べながら、商店街へと向かう。
それがセシルの日課だった。
商店街に向かう途中の道。
道端では、おばさんやおじさんが冒険に使うアクセサリーや薬などを売っていた。
薬草、魔法石のネックレスなど…。
セシルはあまり興味がなかったが、おばさんに勧められて、いくつか買う。
本当はあまりほしくないが、買ってあげるとおばさんがにっこり笑うので、つい買ってしまうのだった。
それからセシルは商店街にたどりつく。
そこには、いくつもの洋服屋さんがあって、かわいい洋服、きれいな帽子、いろいろな靴などがたくさん売っていた。
これこそセシルがもっとも欲しいものだった。
セシルはそれらをウインドー越しに眺め、時々試着して、気に入ったものがあると買う。
そうやって、商店街のいくつものお店をひととおり見回ると、セシルはそのまま町はずれのカフェに向かう。
ショートケーキ、チョコレートパフェ、ホットケーキ、クリームソーダ…。
セシルはカフェで、考えられる限りの甘くておいしいものを注文し、ゆっくりと食べながら優雅な時間を過ごした。
そうしているうちに、日が暮れ始める。
その前にセシルはいつもの地下道を通って、お城へと帰っていく。
これがセシルの1日だった。
時々、新しくできたお店や珍しいお店があると、中をのぞく。
新しい食べ物に挑戦する。
ささいなことだったが、それだけでも、まだ十歳のセシルにはドキドキする冒険だった。
こうして幸せな日々は、ゆっくりと過ぎていった。
時が過ぎるとともに、洋服や帽子など、店で売っているものも変わる。
だからいつまでも飽きることがなかった。
そんなセシルの平和な生活に、ある日、大きな変化が起きた。
いよいよ1章も最後のエピソードへ!
あと10話以内には1章が終わるはず!
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