第5話:未来の話をするとケルベロスが笑う
第5話です。
新戦騎と新キャラが出てきます。
ストーリーは進みません。
「こっからは……俺の無双だァァァァァァァァッッッ!!!!!」
カラミティへ助走を付けて殴りかかるイッカイ。
イッカイは親の農業を手伝い身体も鍛えられ、地元で一番ケンカが強かった。
その一撃は余りにも大きく、カラミティは吹っ飛ぶ。
が、カラミティの装甲も中々の強度で―――――
「イッッテェェ!これ絶対骨折れただろォォォ!………って折れてなーい!」
「何やってるんだ彼は……」
一人ではしゃぐイッカイを冷めた目で見るポーロニア。
その隙に起き上がったカラミティは翼を広げ、イッカイに突っ込む。
完全に不意を突かれたイッカイは、そのまま勢いよく転がる。
「イッテェなコラァ……おっ?」
その時、マスク内部のバイザーに情報が表示される
「えー何々……『ブラックロウウィングを展開します。御注意くださ―――」
読み終える前に背中の飛行ユニット『ブラックロウウィング』が展開され、空を飛んだ。
絶叫しながらも体勢を整えカラミティを追う。
カラミティに追い付いたところで両足で挟み、そのまま人気のない廃工場へ吹っ飛ばす。
土煙の中から呻き声を上げながら、カラミティが立ち上がり翼を広げ、羽根を飛ばしてくる。
が、イッカイは身体を捻ってそれを回避し、その後ドロップキックを喰らわせた。
「ここがテメェの墓場だ……」
ウェイクアンロッカーのスイッチを押し、左足へエネルギーを溜める。
そして『ブラックロウウィング』を展開し、助走を付けてジャンプ、低空飛行でキックを繰り出す。
[C R O W F I N I S H !]
[WONDERFUL!]
「喰らいやがれェェェェェェェェッッッッッッ!!!!!」
そのキックが命中した瞬間、カラミティは廃工場の壁まで吹っ飛び、爆発した。
と同時に、イッカイは変身を解除し地面に倒れる。
「あー駄目だ。メッチャ疲れた。ヤベェ、これ……は…寝…る……」
イッカイの意識はそこで途絶えた。
◆
「―――イくん……カイく……」
朦朧とした意識の中に声が響く。
繰り返し放たれる声に段々苛立ちが帯びていく。
「イッカイくんっ!」
「うわぁぁ!?」
叫びながら飛び起きるイッカイ。
きょろきょろと辺りを見渡す。
目に飛び込んできたのは白一色の壁と天井。
それと耳を塞いだポーロニア。
「ここは……」
「見て分かるだろう、病院だよ。それより――――」
ポーロニアが呆れ顔で言う。
そして問い詰めた。
「どーしてウェイクアンロッカーを使った?ん?良いかい、力を持つって事はそれ相応の責任を負わなきゃならないって事だ。それを分かって使ったのか?というかそのエレメントキーはドコで手に入れた?父さんか?エニグマか?それとも他の――――」
「ストップストップ!分かりましたから!俺が悪かったですから!」
「……幸い、明日には退院出来るそうだ。全く、家政夫がいないと困るんだが……」
「……すいません」
「とにかく、今日1日は安静にしていたまえ。またケガされたら堪ったモノじゃないからな」
「おっ、来てたのかよポーロニア」
「邪魔するぜ~」と言いながら、二人が話しているところに入り込むファント。
その手にはフルーツが多く入った籠が抱えられていた。
「ファントさん!」
「“さん”は止めろ“さん”は。ムズムズする……そんで、コイツも戦騎になったのか?」
「戦騎?何ですかソレ」
「ポーロニアとかお前が変身した戦士の総称だ。因みに、俺も戦騎だ」
「へぇ~」
「……もうちょい驚いても良いんじゃねぇか?ほれ、リンゴ」
「え、丸かじりですか?」
「?当たり前だろ、何言ってんだ?」
アンタ仮にも王族だろ――と突っ込もうとしたが、心に留めておくイッカイ。
その時、ポーロニアの掌サイズの薄い長方形の板から警報が鳴り響く。
「またカラミティか……」
「行くしかねぇな。じゃあなイッカイ!また来るぞ!」
◆
カラミティが出現した現場に駆け付ける二人。
そこには、トカゲの様なカラミティが居た。
「4Cの情報だと、カラミティを能動的に召喚している人物が居るらしいが―――」
「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!やっほー!ケロちゃんだよー!」
突然ケルベロスが現れた。
思いっきり顔をしかめるファント。
「テメェ…!また出てきやがったな!」
[紅眼のハイジャンパー!RA!RA!!RA!!!RABBIT!WONDERFUL!]
[HO!HO!!HO!!!HORSE!GREAT!]
二人はそれぞれ変身し、ポーロニアはカラミティへ、ファントはケルベロスへ向かって行った。
ケルベロスはファントの剣をバリアを展開し防ぐ。
「生身の人間に斬りかかるなんて、野蛮だなぁ。戦騎っぽくないよ?」
「ほざいてんじゃねぇ!テメェのせいでどれだけの人間が死んだと思ってやがる!?」
「そんなの関係ないよ。ヒーローを引き立たせるのは何時もモブだし、別に良いでしょ?」
「ふざけんなあああ!!!!!」
怒りの感情をたぎらせ、何度もケルベロスを斬りつける。
が、それでもバリアは破れない。
溜め息を吐くケルベロス。
「はぁ~ぁ、君って戦騎に相応しくないなぁ。しょーがない、私が直々に、戦騎とは何かってゆーのを教えてあげるよ」
「っ!それは!」
そう言うと、黒いウェイクアンロッカーを取り出し、腕に装着する。
そして、エレメントキーを装填し、回す。
すると『ソニックドライブファクトリー』に酷似した高速ファクトリーが展開される。
[ORIGIN UNROCKER!]
[CAT KEY!]
[UNROCK!]
右腕を上へ、左腕を胸の前へ移動させる。
「変身」
そう言い、右手でオリジンアンロッカーのスイッチを押す。
高速ファクトリーからケルベロスへアーマーが装着され、姿が一変する。
[TRANSFORMATION!]
[甘甘小悪魔!CA!CA!!CA!!!CAT!]
「あれは……」
「―――戦騎ジテルヴェン、只今参上!」
◆
「ふざけやがって…!この野郎ぉぉぉぉ!!!」
キレたファントが斬りかかる。
しかし、それは直前で避けられる。
その後も、何度も何度も斬ろうとするが、全て避けられてしまう。
遂には蹴られ、ファントは地面を転がる。
「何だアイツ…全然攻撃が当たんねえ…!」
「同時攻撃だファント。それなら避けられない」
いつの間にかカラミティを撃破していたポーロニアがそう助言する。
ジベルヴェン―――ケルベロスに焦った様子は見られない。
ファントがケルベロスに斬りかかった。
「学ばないなぁ、君も」
何気なく攻撃を避ける。
しかし、着地したケルベロスに向かって、既にポーロニアが放ったエネルギーの矢が迫っていた。
が―――
「それも予測済みっ!」
巧みに身体を捻り、矢をも避ける。
「っ!?何でだよ…!」
「……恐らく、ヤツは未来を予測している。ラプラスの悪魔、ってとこかい?」
「せいかーい!やっぱ君は頭が良いねぇ~!じゃ、そろそろ終わりにしようか」
オリジンアンロッカーのスイッチを二回押す。
すると、ケルベロスの左側にエネルギー体の猫『デストロイングキャット』が現れた。
そして、回し蹴りをする。
『デストロイングキャット』は二人に向かって駆けて行く。
防御する二人だったが、圧倒的な威力を誇る必殺技の前に倒れる。
[C A T D E S T R O Y !]
そして―――爆発した。
◆
ポーロニアとファントを倒し、アジトへ帰ってくるケルベロス。
ドアを開け、ソファーへ飛び込む。
「あー疲れたー!ロントナー!お菓子出してー!」
「煩いぞケルベロス。今日はヴェルゼフも来ているんだ」
「やっほー、久し振り、ケルベロス」
マスカレイド用の仮面を着けた青年が出てくる。
その風貌とは裏腹に、口調は少したとだとしい。
「それより、見ていたぞ。何故二人も戦騎を殺した?」
「殺してないよー!ちゃんと手加減したもん!」
「そうだとしても、奴らはカラミティを倒す為に利用できる貴重な兵器だ。第一、奴らに姿を見せるなとあれ程―――」
「落ち着いてロントナ。それで、カラミティ・プロジェクトは順調?」
「順調だよ!まだエネルギーは15%位しか貯まってないけど」
「気長に、行こー」
「ああ、全ては我らが王の為だ……」
森の中に聳え立つ塔を見上げるロントナ。
塔は妖しく輝いていた。
如何でしたでしょうか。
未来予知、シンプルで恐ろしいですよね。
いい加減ストーリーを進めたい。