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邪断戦騎"クローズ"  作者: 智神
2/12

第2話:雇い主が変身ヒロインだった件について

第2話です。

初っぱなから戦闘シーンです。

上手く書けてるか心配です。

「ポーロニアさん…ですよね?」

「―――スプリット」

「え?」

「バネって意味のスプリングと、ラビット(ウサギ)、それと分裂って意味のスプリットを掛け合わせた名前の―――ちょっとした、変身ヒロインさ」


高らかにそう名乗るポーロニア―――否、スプリット。

その姿は、全体的にウサギに似ていた。


『スプリットヘッド』のデータ収集装置『SPノーズシグナル』でカラミティのスペックや能力をスキャンする。


「実験―――」


右脚へ重心を掛け、脚の脚力増強バネ『ホップジャンプスプリンガー』を縮ませ―――


「―――開始!」


一気に解放し、カラミティへ肉薄する。

あまりのスピードにカラミティはスプリットを認識できず、モロにパンチを喰らってしまった。

そうして出来た隙を突いて、スプリットは高速ジャブをお見舞いする。

カラミティも負けじと腕のクローでスプリットを引き裂こうとするが、スプリット自慢のスピードで躱された。


「そんな単純な動きじゃあ、私には到底敵わないよ」


チッチッチ、と言った風に指を振る。

ならば、とカラミティは糸を吐き出す。

しかしスプリットは、それすらも軽く避けてしまう。

が、避けるという事は流れ弾が何処かに当たるという事なので―――


「あ」

「う、動けねぇ……」


糸を解こうとジタバタするイッカイ。

そんな彼を横目に、スプリットとカラミティは戦闘を続ける。

しかし、カラミティはスプリットに翻弄され、ダメージが溜まっていく一方だ。

ある時、カラミティが膝を着く。


「よし、データも集まったし、実験終了といこうか」


ウェイクアンロッカーのスイッチを押す。

すると、ウサギ型のエネルギー体『スプリットラビット』が現れる。

カラミティへ近付き、アッパーを喰らわせ上空へ飛ばし、自らもスプリットラビットと共にジャンプするスプリット。

そして右足を突き出す。


「はああぁぁぁぁっ!」


スプリットラビットがスプリットを蹴り、キックを加速させる。

そして――――


[R A B B I T F I N I S H!]

[WONDERFUL!]


カラミティの身体を貫いた。

黒い爆炎と断末魔を上げ、カラミティは消滅した。

スプリットはそのまま地上へと―――


「ふぎゃっ!?」


不時着した。

勢いを殺し切れず、転がっていく。

結局誰かの家に激突し、スプリットは止まった。


「え、えぇ……」


非現実的な光景に、唖然とするイッカイであった。



「あーあ、クモさんやられちゃった。お気に入りだったのに」


そんな彼らをとある屋根の上から見ていた人物が居た。

声質から少女だろうか。

紫のミニスカートを履き、ダボダボのセーターの上にネコミミが付いたパーカーを羽織っている。

屋根から飛び降り、黒い鍵型デバイスを拾う少女。


「ま、いっか。また造ればいいんだし」


鼻歌を歌いスキップしながら、そこから去っていく。


「じゃ、またいつか会おうねポーロニア、イッカイくん」



カラミティを撃破してから30分。

イッカイに纏わりついた糸がラピッドアローでも切れず、四苦八苦していたのだ。

と、そこへ馬車がやって来る。

ボディアーマーを身に付けた人間が十人程降りてきた。


「やっぱお前か、ポーロニア」


隊長らしき人物が話し掛けてきた。

藍色の髪はボブで、琥珀色のつり目は不機嫌な雰囲気を醸し出している。

腰からは奇妙な形の剣を携えていた。


「やあファント、遅刻とは感心しないな」


ファント―――そう呼ばれた青年は、不機嫌そうな顔をして否定する。


「違えよ、元々これとは他の任務やってたんだ。急にココにカラミティが出現したらしいから来たんだが―――もう片付いたらしいな」

「ああ、私は天才だからね!サクっと終わらせ―――」

「で、あの一般人は誰だ?」


話を途切れさせられ、頬を膨らませるポーロニア。


「え、俺っすか?」

「お前以外誰が居んだよ」

「彼はイッカイ・トリニティクロウ。私の家政夫だ」

「へぇ~……」


興味深そうにジロジロとイッカイを見るファント。

何故か剣の柄に手を掛ける。


「えっ、えっ?何?何何何何?!」


腰から剣を引き抜き、勢い良く降り下ろす―――


「うわぁぁぁぁ!止めろォォォォ!」

「フンッ!」

「うわァァァァ……えっ?」


糸が切れた。糸だけが切れた。

イッカイは身体どころか、彼が着ているモッズコートにも傷一つ付いていない。

ファントは再び剣を腰に納める。


「ったく、俺が守るべき市民を斬るわけねえだろ。王子なんだし」

「お、王子ぃ?!」

「そう、正真正銘王子だ。ファント・ヴァイスシュヴェールト。つっても第2だけどな。ついでに言うとポーロニアの知り合いでもある」

「マジかよ……」


ふんす、と言い胸を張るポーロニア。

イッカイはその時、ポーロニアのとある部位(どこかとは言わないが)が残念である事に気が付いた。

気が付いてしまった。


「おいイッカイ君、何か物凄く失礼な事考えてないか?」

「イエ、ナニモ」

「あ、あぁ~…気にすんなイッカイ。コイツの胸囲は昔っから―――」


そこまで言いかけて、ファントはポーロニアにシャーマンスープレックスを喰らわせられる。

沈黙するファント。地面からは煙が上がっている。


「さ、そろそろ帰ろうか、イッカイ君?」


ポーロニアは笑顔だった。

張り付いた笑顔だが。

イッカイはとてつもない恐怖を感じていた。



その日の夜。

イッカイとポーロニアはテーブルを挟んでハンバーグを食べていた。

因みにポーロニアの希望である。

「ハンバーグは脳の回復に一番良い」とか言っていたが、要するにハンバーグが大好きなのだ。

雇い主の意外に子供っぽい一面を見たイッカイであった。


「あの……」

「ん?なんだい?」

「ポーロニアさんが変身に使ってた鍵みたいなのって何ですか?」

「ああ、これか。これはエレメントキーと言ってね。動物の力や、様々な属性が宿っている鍵型デバイスだ」

「へぇ~……どっかで見たような……。あっ、そう言えば、俺って住み込みなんですよね?」

「ああ、そうだけど、それが?」

「いや、ポーロニアさんは大丈夫なのかなぁ~って……」

「ん、ああ。大丈夫だよ、別に。いや、君が私に対して疚しい気持ちを持っていなければの話だけどね」


思わず飲んでいた水を噴き出すイッカイ。

その様子を見て、ポーロニアはニヤニヤしている。


「そそそ、そんな訳ないじゃないですか!」

「えぇー、ホントかなー?もしかしたら、君の中にケダモノが潜んでたりして……」

「ご馳走さまでした!失礼します!」


席を立ち、ポーロニアに与えられた自室に籠る。

ポーロニアも席を立つ。

そして、黒板の隣にある本棚を移動させる。

すると、隠し通路が現れた。

奥には部屋が見える。

そして―――


「彼にもコレを知らせないといけない、かな」


次回は新戦騎が二人登場します。


3/31 必殺技の際のウェイクアンロッカーの操作を変更しました。

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