悪魔
「君たちも知っているとは思うが、カーデルリア人は悪魔の血の影響を受けやすい。だが、それは裏を返せば不死身人体実験の対象になるということだ。」
白い電気が四方から一つの被験体を照らし、壁にはマジックミラー、そして、白衣をまとった二人の男と複数の手術衣を着た男女がちらばって立っている。
「今回の対象は、左足欠損、腹部重症だ。血の検査結果は純。まったくもっていいサンプルがあったもんだ。最近のカーデルリア人は混血しているらしいからなぁ―――」
「・・・。」
ごく最近の研究で、悪魔の細胞を採取したことがある。そしてその細胞を分析したり、研究をしているうちに、カーデルリア人に近い細胞であることが判明した。いや、ほぼ一致していたのだ。カーデルリア人の細胞は独特で、他の国の者たちとは違い、TS攻撃細胞というものがある。これは過剰に敵意を向けられた際に、脳がTS攻撃細胞に刺激を与え、肉体を異常なほどに硬くするものだ、そのTS攻撃細胞が、悪魔の肉体にも発見されたわけである。つまり、簡単に説明すると、カーデルリア人と悪魔は同じ種であった可能性が高い。
それからだ、この途方に暮れるような実験が始まったのは―――
―――細胞が似ているのであれば、悪魔の血液を与えれば悪魔に神聖器――悪魔に対抗するための聖なる力を得た武器――で抗う必要性がなく、悪魔のように不死身な生物を作り上げれるのではないか。と
私は最初、反抗し続けた。だがしかし、どうやら国は新しい兵器が欲しかったようだ。英兵隊にカーデルリア人を連れて来いと命じてから、どうもこのアクトリアから笑顔は消えていった―――
「―――レーデン・ブルグ博士。」
「ん?あぁ、今もってくる。」
ポケットに突っ込んでいた手を抜き取って、冷凍保管庫へと私は向かう。そこに例のものが保管されているからだ。・・・しかし、いつ見ても奇妙な見た目である。なぜならば—――人の心臓と同じ形であり、何やら寄生生物のような、人差し指ほどの太い針金のようなものが心臓そのものを覆いつくすように生えているのだ。そして、赤く、時には紫にまがまがしく輝いている・・・。
「どうぞ。」
「うむ・・・諸君!離れたまえ。」
透明なガラスが円柱をかたどり、底をふさぐようにつけられた銀色の蓋に、回転式のハッチがつけられている。取っ手をつかみまわすと、中にたまっていた空気と液体が勢いよく噴出する。
「もっと気を付けたほうがいいんじゃないか?デーヴェント博士。」
「問題ない・・・。」
悪魔の心臓を鷲掴みし、被験体の切り開かれた腹にそれを―――――入れた。




