勉強 1
次の日、トイレに行くために廊下を歩いていると、千春に会った。
今度の休みの日に勉強を教えてほしいと言われたので、俺は千春の家に行くことになった。
そして、土曜日。俺は千春の家に向かう。
家の場所は教えてもらったので、迷うことなくたどり着くことができた。
千春の家は周辺にある家よりも少し大きく、新しかった。
ドアの前に立ち、インターホンを押す。
押してから少し経つと、ドアが開いた。
「風峰先輩! どうぞ、上がってください!」
「ああ、入るぞ」
靴を脱ぎ、千春の家に入る。
外見も綺麗だったが、家の中も綺麗だった。
二階に上がると、千春の部屋と書かれた看板が取り付けられたドアがあった。
千春はドアを開ける。先に入っていいと言われたので、俺は部屋に入る。
千春の部屋は、目立ってものが特にない普通の部屋だった。
「可愛い部屋を想像してだと思うんですけど、期待を裏切っちゃってすみませんねー。それじゃ、早速始めましょう」
千春ノートと教科書を開き、テーブルに置く。
俺は千春の近くに座り、勉強を教えることにした。
一時間が経過すると、集中できなくなってきたのか、会話が増えた。
「少し休憩にするか」
俺がそう言うと、千春は腕を上に伸ばす。
そして、そのまま俺の方に倒れてきた。
あぐらをかいていた俺の太ももの部分を枕にするようにして寝転がってしまった。
「お、おい! 何してんだ!」
「いーじゃないですか。美咲先輩はいないですし」
「まさか、このために美咲を呼ばずに俺だけ……」
「正解です!」
千春は笑う。
千春の言う通り美咲はいないが、俺は千春を起こす。
「えー? いいじゃないですかー」
少し機嫌が悪くなる千春。
しかし、ダメなものはダメだ。
「美咲がいないからって、そんなことしていいわけないだろ」
「意地悪!」
「意地悪でも構わん。ほら、あと少ししたら始めるから、落ち着いて休んどけ」
千春にそう言うと、諦めてくれた。