告白した理由
下校中、春花と秋葉と途中で別れ、俺と美咲と千春の三人で歩いていた。
千春の家は美咲の家の近くにあるらしいので、一緒に下校している。
「ねえねえ千春ちゃん。どうして風峰に告白したの?」
美咲は言う。
それは俺も気になっていた。
顔も名前も知らないのに告白されて、俺は困惑した。
だから、なぜ告白したのか理由を知りたかった。
「まあ、中学の時に一目惚れしたからですね。詳しく話しましょうか?」
「ああ、話してくれ」
「じゃあ……」
千春は、なぜ俺に告白したのかを話し始めた。
「まず、風峰先輩のことが気になったのは中学一年生の時です」
中学一年ということは、三年前から俺のことを知っていたということになる。
「それで、学校での風峰先輩を見て、カッコいいと思ってたんです。でも……」
「でも?」
「私、中学の頃は友達がほとんどいなくて大体ひとりぼっちで……。いわゆる、陰キャってやつです。そんな私が風峰先輩に話しかけたら、風峰先輩に迷惑がかかると思って……でも、だからって明るくなったら周りから気持ち悪いと思われそうだったので……」
意外だった。
まさか、千春が中学の頃、そんな性格だったなんて。
さっきの告白からは想像もつかない。
「でも、高校に入っちゃえば同じ中学の人が少なくなるので、チャンスだと思いました。なので、私は人との接し方を学び、性格を変え、明るく振る舞うようにしたんです。その結果、今の私が誕生しました。そして、私を変えてくれた風峰先輩のことを私は好きになり、告白した。というわけです」
「そうだったんだね……」
「はい……でも、風峰先輩が付き合っていたなんて……」
「わ、悪かったな……」
とりあえず、俺は謝った。
「ごめんね……? 私が風峰を奪っちゃって……」
「いえ、いいんです……。あ、私ここ曲がったところが家なので、さようなら……」
千春は、俺と美咲に頭を下げ、歩いていった。