大人っぽい秋葉
「私は角見千春です。よろしくお願いします! 春花先輩、秋葉先輩!」
俺たちの教室にやってきた春花と秋葉に挨拶する。
二人は先輩と呼ばれ、少し恥ずかしそうだ。
「うーん……」
挨拶を終えた千春が、何かを考え始めた。
「ど、どうしたの? 千春」
秋葉が気になって、千春に聞く。
「なんか秋葉先輩って先輩っぽく見えないんですよねー……」
「えっ!」
「なんか、私より子どもっぽい感じがして……」
「ええっ!」
そう言われた秋葉は、こちらを向く。
「か、風峰先輩! 私、子どもっぽくないですよね!」
そう言われても困る。
身長は千春より低い。
胸ももちろん千春より小さい。
千春の性格はまだよくわからないから比べることはできないが、秋葉の性格が大人っぽいとは言えないだろう。
「……すまん」
俺は目をそらしながら言う。
「先輩!?」
秋葉はショックを受ける。
「じゃ、じゃあ春花は! 私が子どもっぽく見えるなら春花だって……!」
「春花先輩はそんな感じがしないので……」
春花はおとなしいので、秋葉よりは大人っぽく見えるのだろう。
「諦めろ秋葉。無理だ」
「そんなー……。……あ、ちょっと千春、こっちに来て!」
「何ですか?」
秋葉に呼ばれた千春は、教室の隅っこに行く。
そして、俺たちから見えないように何かを始める。
しばらくすると、こちらに戻ってきた。
「千春、私は先輩に見える?」
「はい! 秋葉先輩は大人っぽい先輩です!」
この数十秒間で何があったのかわからなかったが、千春を納得させることに成功したらしい。
「さて、それじゃあそろそろ帰りましょう!」
千春は教室から出る。
春花と美咲も千春に続いて教室から出る。
「なあ秋葉、千春に何をしたんだ?」
気になった俺は、秋葉に聞いてみた。
「ちょっとこっち来てください」
俺は、秋葉が教室の外から見えないように立った。
すると、秋葉はスカートの腰の部分を引っ張り、自分のパンツを見せてきた。
黒で避けている部分が多いパンツだ。
「何でいきなりそんなの見せるんだよ!」
千春が大人っぽくと言う理由はわかったが、いきなりパンツを見せるのは女の子としてどうなのか。
「これ、春花に内緒で買ったんです。大人っぽいですよね?」
「大人っぽいが……いきなり見せるのはやめてくれ」
「すみません……」
秋葉は反省する。
「風峰ー。早くー」
美咲が俺たちのことを呼んでいる。
俺たちは教室から出た。