告白 2
「……無理だ。すまない」
「ええっ!?」
女子生徒は驚く。
「な、なんでダメなんですか!? 普通、漫画とかだったらいいよって返事すると思うんですけど!」
「漫画の話だろ! 名前も知らないのにいきなり告白されても困るし、そもそも俺は既に付き合ってるんだ!」
それを聞いた女子生徒は、口を開けたまま動かなくなる。
数秒ほど硬直し、喋り始める。
「つ、付き合ってるって本当ですか!?」
「ああ、俺の後ろの席にいた美咲とな」
「嘘……」
女子生徒は地面に手と膝をつき、落ち込む。
だが、すぐに顔を上げる。
「だったら、浮気しましょう!」
「ダメだ!」
俺がそう言うと、再び頭を地面に向けてしまう。
しかし、また何か言うことを思いついたのか、今度は立ち上がり、俺の前に来る。
そして、俺の手首を掴む。
そのまま自分の胸を触らせようとしたので、俺は力を入れてそれを阻止した。
「なに考えてんだ!」
「胸触らせてバラされたくなかったら付き合えって脅そうと……」
「ふざけんな!」
「じゃ、じゃあ私と付き合ってくれたらおっぱい触り放題ですよ! ほら、今の彼女はこんなことさせてくれないですよね!」
女子生徒は胸を強調する。
しかし、俺は胸でつられるような男ではない。
「絶対にダメだ! もう戻るぞ!」
「あぁ! 待って!」
面倒になったので、俺は教室に戻ることにした。
女子生徒は俺のことを呼び止めようとしているが、無視して教室に戻った。
「おかえりー風峰。それで、何してたの?」
「ああ、なんかいきなり告白された。」
「告白? なんて返事したの……?」
「無理だって言った」
美咲にそう答えると、美咲は安心したのか大きく息を吐いた。
「なんだ? まさか、いいって言うかと思ってたのか?」
「ううん。でも、もしかしたらって思っちゃって……」
「心配するな。他の人と付き合う気は無い」
「風峰……!」
美咲は笑顔になった。
そして立ち上がり、俺に抱きついた。
「ちょっ、人前だぞ!」
「あっ、そういえば……」
教室にいるほとんどの人が、俺たちのことを見ている。
恥ずかしいので、俺はすぐに美咲を離した。
「ごめんね風峰……私、嬉しくて……」
「謝らなくていいって」
美咲が座ると、チャイムが鳴った。
俺も座り、担任が教室に来るのを待った。