千春と話す風峰
「風峰先輩、どうして私のことを呼び出したんですか?」
俺は何も喋らない。
「 もしかして、告白ですか? 美咲先輩と別れて、私と付き合ってくれるんですか? ……風峰先輩、さっきからなんで黙ってるんですか?」
「……千春、これを見ろ」
俺は、携帯の画面を千春に見せる。
「えー、なんです……か……」
俺の携帯の画面を見た瞬間、千春の表情は一気に変化した。
「……なんで! なんで私の携帯の画面が! ……もしかして、秋葉ちゃんが間違えて持って帰った時に……。でも、ロックが……」
「今はそんなことどうでもいい」
今は、このメモについて話してほしい。
「千春、なんだこれは……」
「なんだこれはって……。えーっと……」
千春は視線を逸らす。
俺の目をまともに見ようとしない。
「……お前が美咲を追い詰めたのか?」
「いや、そんなこと……」
「このメモには日曜日に美咲を家に呼んで、二度と目の前に現れなくなるくらい追い込むと書かれてる。そして、美咲は月曜日から学校に来なくなった。そして、入院した」
「私は……」
「発見されてなかったら、美咲は死んでいたかもしれない。お前は、美咲が自殺するまで追い込んだんだぞ! 」
「……そうですよ。やりましたよ」
さっきまで否定していた千春は、はっきりと言った。
「私が美咲先輩から風峰先輩を奪い取るためにやりましたよ!」
「やっぱりお前が……」
「私は風峰先輩が好きだった。でも、あいつが風峰先輩の彼女になってた。この世から消えてしまえ場合と思った。だから、私はあいつを追い込んだ」
「千春、俺は俺のことが好きなんだろ……」
「好きですよ! この世で一番!」
「お前は、好きな人を傷つけるのは好きなのか……」
「……え?」
千春は、俺の言っていることが理解できていないらしい。
「美咲が二度と家から出てこなかったら、死んでしまったら、俺が悲しむことに気がつかなかったのか……?」
「そ、それは……」
「お前がやったことは、好きな人を悲しませる行為だ……。それなのに、お前は美咲を追い込んだ」
「風峰先輩……」
「お前は、俺の悲しむ姿を見たかったのか……?」
この時千春は、自分が過ちを犯してしまったことに気がついた。
風峰の言う通り、千春がやったことは、好きな人を悲しませる行為だ。
「ごめん……なさい……」
千春は床に膝をついた。
涙を流しながら、謝り続ける。
「私は、とんでもないことを……」
「そうだ。お前はとんでもないことをしてくれた」
「もし、このまま美咲先輩が引きこもっていたら……。死んでしまったら……」
「もしかしたら、俺も同じように引きこもってしまったかもしれない」
「本当に、ごめんなさい……。でも、ごめんなさいで許されることじゃないですよね……」
突然千春は立ち上がると、俺の部屋から出て行ってしまった。
「おい、千春!」
千春は、ものすごい速さで俺の家から出て行ってしまった。




